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自責と他責 ビジネスで成長するための考え方はどちら?

2021年10月19日更新

自責と他責 ビジネスで成長するための考え方はどちら?

自責思考と他責思考、ビジネスで成長するための考え方はどちらでしょうか?
仕事で成果を出し成長し続ける人たちには、結果と原因のとらえ方が似通っているという特徴があります。本稿では成長するために必要なスタンスについて、考えてみたいと思います。

INDEX

自責か、他責か

何らかの事象が起きたとき、その原因のとらえ方には二通りのスタンスがあります。その二つとは、自責(自分に責任・原因があると考えること)のスタンスと、他責(自分以外の人や状況に責任・原因があると考えること)のスタンスです。

自責と他責について、「個人の成長や事業の発展のためには、どちらのスタンスに立つべきか?」と問われると、ほとんどの人が「自責」と答えるでしょう。その回答のとおり、自責の人や、自責の人が多い組織のほうが、そうでない個人や組織よりも成長や発展が期待できるでしょう。なぜならば、自責のスタンスは、うまくいかなかったのは自分(あるいは自分たち)にどんな原因があったかを考えるので、自らの改善点に気づきやすく、結果として成長・発展が促進するからです。

でも、自責のスタンスが強くなりすぎるのも問題です。すべての事象を自責で受け止めてしまうと、「自己肯定感」の低下につながる恐れがあります。従って、自責を基本としつつ、時には他責のスタンスに立つのを否定しないことが大切です。

日々の仕事や生活のうえで、思いどおりにならないことも多々あるでしょう。そんな時には、「自分にも至らない点はあるけれど、努力はしている」とがんばっている自分を認めてあげて、その上で「うまくいかない原因として、このような外部要因がある」というように自責と他責を上手に使い分けることが大切になるのです。

事例:不満を提案に変えた中学生

ここで事例をご紹介しましょう。

小高い丘の上にある公立中学校では、「置き勉(教科書などを学校において帰ること)」が禁止されていました。毎日、教科書や習字道具、部活動の道具など、すべてを持って帰らなければいけなかったのです。持っているカバンの重さは、18キロ以上に及ぶこともあります。「この状況を何とかしたい」。これは全校生徒の思いでした。
一方、学校側は、荷物の重さには問題を感じていましたが、「自宅学習をしなくなるのでは?」「置いて帰ると管理上の不安が出る」などの心配があり、置き勉を認めることができなかったのです。

そこで、放送部の生徒たちが動きました。自作の動画を作って、置き勉を認めてもらおうとしたのです。動画では、現状を伝えるために、たくさんの生徒にインタビューをしました。また先生に実際の重さを体感してもらう実験もしました。そうして、改めてカバンの重さを訴えかける工夫をしたのです。さらに、学校側が懸念している「自宅学習への影響」「管理上の不安」を解消するために、あるメッセージを生徒たちの声で収録しました。
「忘れ物が多くなるんじゃないか。家で勉強をやらなくなるんじゃないか。教室やロッカーがぐちゃぐちゃになるんじゃないか......。『大丈夫だろう』と思わせる『生徒力』が問われているのです」
このように「置き勉がしたい」と要求するだけでなく、学校側が心配している事態にならないように、「自分たちも変わる」と訴えかけたのです。

動画は学校側を動かしました。先生たちは、置き勉の実現に向けて、何度も話し合い、ルールを検討しました。その結果、生徒を信頼して、自分たちで持ち帰る教材を決めてもらうという判断を下したのです。現在、その中学校の生徒のカバンは、これまでと比べてかなり軽くなりました。

動画制作の中心にいた生徒はこう言っています。 「カバンが重いと伝えるだけでなく、自分たちにできることは何なのかを伝えることも大切だと思ったんです」

出典:広島市立牛田中学校PC放送部制作ビデオ「The School Bag is Heavy」

自責と他責の使い分け

自責と他責

事例でご紹介した中学校の生徒たちの発想と行動からは、たくさんの示唆を得ることができます。

最初は、「カバンが重い」という不満をもっていましたが、それを言い続けていてもなんら事態が変わらないことに放送部の生徒たちが気づきます。そこで、なぜ学校側はカバンを置いて帰ることを認めてくれないのか、自分たちなりに考えた結果、"自宅学習への影響""管理上の不安"などの面から、先生たちは不安を感じていることがわかりました。
そうであるならば、そうした不安を払拭するために、自宅学習はきっちりやること、教室の整理整頓も必ずやることを先生たちに約束しました。こうしたやりとりを通じて、教材を学校に置いて帰ってもいいという新ルールが適用されたのです。

問題意識をもった数名の人たちの行動によって不満が提案に変わり、見事に受け入れられた事例です。

受け入れられる提案のポイント

●相手の立場、言い分を考慮する
「なぜ学校側はカバンを置いて帰ることを認めてくれないのか」

●「人」と「事」を分ける(効果的な他責のコツ)
問題を指摘する場合、人を責めるのではなく、事象に焦点を当てる

●言いっ放しにしない(自責のスタンス)
自分たちは何をやるかを決め、約束する
「自宅学習はきっちりやります」「整理整頓も必ずやります」

基本は「インサイド・アウト」という考え方

私たちは多くの場合、何か問題が起きたとき、アウトサイド、外側からのアプローチで解決しようとします。 たとえば、上司から理不尽な指示を受けることがあったとしても、その原因を上司に求め、上司だけの問題にしてしまいがちです。しかし、その考え方では、一方的に上司を責めるばかりで、自分は何もしないことになります。
自分にできることはないだろうか? 自分から、働きかけられることはないだろうか? ビジネスにおいて裁量権や相応のポジションが欲しければ、自分がそういうビジネスパーソンになればいいのです。
このように、"相手を変えようとする"(=アウトサイド・イン)のではなく、"自分から変わろうとする"のが、インサイド・アウトの考え方です。
自責と他責を上手に使い分けながら、最終的には自分の内側と外側の両方にいい影響力を行使していく。そんなスタンスが、自らの成長を大きく後押しし、充実した仕事と人生が実現するでしょう。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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