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セクハラ研修のポイント~ケーススタディ、ロールプレイの進め方

2021年12月 6日更新

セクハラ研修のポイント~ケーススタディ、ロールプレイの進め方

セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)について社員研修を実施する際のポイントや、ケーススタディ、ロールプレイの具体的な進め方を解説します。セクハラについての共通認識を持ち、正しい対応方法を身につけることで、誰もが気持ちよく働ける職場づくりを目指していきましょう。

INDEX

セクシュアル・ハラスメントの定義と企業の義務

男女雇用機会均等法では、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)を「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したり抵抗したりすることによって解雇、降格、減給などの不利益を受けることや、性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること」と定義しています。
従来、同法では「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「職場におけるセクシュアル・ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応」などの措置を講ずることを事業主に義務づけていました。そして、2020年6月、パワハラ法制化とあわせて同法も改正され、「事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止」「自社の労働者等が他社の労働者にセクシュアル・ハラスメントを行った場合の協力対応(努力義務)」などのセクハラ対策の強化が求められることになり、ハラスメントのない職場・社会の実現に向けた取り組みがより一層重要となっています。

対価型セクハラ、環境型セクハラ

ひとくちに「セクハラ」といっても、性的な言動や身体を触るといった明らかな迷惑行為だけではありません。厚生労働省では、セクハラを次の2種類に分類しています。

  • 対価型セクハラ
  • 意に反する性的な言動などに対して、拒否したり抵抗したりした労働者が、解雇・降格・減給・不利益な配置転換・労働契約の更新拒否などの不利益を受けること。
    [例]
    ・人事考課や処遇などを条件に性的な関係を求める
    ・性的な関係を拒否されたのを理由に配置転換する

  • 環境型セクハラ
  • 意に反する性的な言動などによって、その労働者の就業環境が不快なものとなったり、能力の発揮が妨げられたりするなど、就業するために見過ごせない支障が出ること。
    [例]
    ・職場で性的な発言を頻繁にする
    ・恋愛経験をしつこく聞き出す

セクハラの二次被害

また、セクハラで特に問題視されているのが、ハラスメントの被害を受けた人がその事実を訴え出た際に受けるハラスメントです。「ハラスメントの二次被害」「セカンドハラスメント」とよばれています。
たとえば、セクハラ被害を相談したり報告したりした相手から、被害を軽視されて不利益を被ることがあります。「なぜ拒否しなかったのか?」「本当はあなたから誘ったのでは?」「そんなのは昔からよくあること。我慢が足りないのでは?」といったことを言われ、セクハラ被害者の精神的なダメージが増幅してしまうのです。

なくならないセクハラ被害と、その悪影響

セクハラに関する法整備や、社会的な機運の高まりにもかかわらず、現状では、職場におけるセクハラ被害の相談件数がゼロになるという状況にはなっていません。
ひとたびセクハラ事案が発生すると、職場でさまざまな問題に発展する可能性があります。具体的には、職場での人間関係に亀裂が生じて修復不能になったり、被害者がメンタルヘルスの不調を抱えたり、配置転換された加害者あるいは被害者が会社に対して不満を抱き、新たなトラブルの種となるようなケースが考えられます。さらには、裁判沙汰になって企業イメージが低下したり、貴重な人材が流出したりすることにもなりかねません。そうした事態を防ぐためにも、企業や団体では、セクハラ研修を「定期的に」実施し、セクハラの発生防止に努めることが求められるのです。

セクハラ研修を実施するポイント

セクハラ

※社員研修用DVD『ケースで学ぶセクシュアル・ハラスメント』の場面写真より

セクハラの被害を防止するために、企業ではどのような対策をとればいいでしょうか。ここでは、対策の一環として実施するセクハラ研修について、その実施ポイントをご紹介していきます。

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ケースドラマの視聴で理解を促進する

セクハラ研修の効果を高めるためのポイントの一つが、セクハラを「他人事」とせず、身のまわりで、あるいは自分にも起こりえる被害ととらえてもらう工夫をすることです。たとえば、セクハラについて理論的な説明を聞いただけでは、それがどういう状況なのか、どういう被害をもたらすのかといったことが実感できず、理解しにくい場合があります。当事者意識をもってもらうためには、実例に基づいてつくられた映像を用いたケーススタディをとりいれるのが有効です。

例えば「男性上司が部下の女性社員をしつこく食事に誘うシーン」をドラマ化した映像を視聴すれば、当事者の女性社員がどのように感じているのかがリアルに伝わってきます。こうした映像を用いて学ぶことで、どういう行動がセクハラに該当するのか、実感を持って理解することができます。

また、会社の飲み会で、上司から部下に「彼氏(彼女)はいるのか?」「○○さんと△△さんは、お互い独身でお似合いだから、つきあってはどうか?」などとぶしつけに問いかけるのも、当事者である部下が迷惑に思ったり、苦痛を感じたりする、あるいは周囲の人が不快感を持ったりする場合には、セクハラに該当する可能性が高くなります。

このように職場で起こりがちなケースを題材にして、自分の職場でそういった迷惑行為が発生するような状況がないかを考えてもらうことで、受講者の理解は深まっていきます。

ジェンダーやLGBTに関する正しい知識を得る

セクハラについて広く理解されるようになった今でも、「女だから」とか「男のくせに」といったジェンダー発言をよく耳にします。これは「性別役割分担意識」に基づく考え方であり、職場においては好ましくないものと考えられています。また、性的マイノリティを表すLGBTという用語は今日では一般化していますが、正しい理解はまだまだ進んでいない面があります。セクハラ研修では、こうした事項について正しい知識を伝えることも重要です。

異なる性別、異なる年代、異なる立場のメンバーで話し合う

セクハラ研修で映像教材を用いる場合には、視聴後にグループディスカッションを行うことをお勧めします。たとえば、上記の事例では「女性社員に『彼氏はいるのか?』と尋ねることが、なぜセクハラに当たるのか」「既婚者の上司から食事に誘われたらどんな気持ちになるのか」「LGBTについてどのように考えればいいのか」といったテーマで話し合い、自分たちがどう行動すればいいのかを考えていくのです。
セクハラ研修のディスカッションでは、できるだけ異なる性別、異なる年代、異なる立場のメンバーをミックスして行うのが理想です。同じケースでも、性別や年齢の違いによって見方や考え方が大きく食い違うことがあるからです。立場の違う人の考えを聴くことが刺激になり、セクハラについての理解が深まりやすくなります。

セクハラ相談対応のロールプレイを行う

セクハラで問題となるのが、被害者が誰にも相談できず、一人で抱え込んで苦しんでいることが多いということです。会社に相談窓口があったとしても、実際に相談する勇気を出せずに、行動に移せないという人は少なくないのです。
そのため、職場で管理監督者の立場にある人は、日頃から部下との信頼関係を構築し、何でも相談できる職場風土づくりに力を注ぐことが大切です。そして、部下から相談があったときに適切に対応する準備も欠かせません。
管理監督者を対象としたセクハラ研修では、実際の場面を想定したロールプレイを行うといいでしょう。ロールプレイの進め方は以下の通りです。

1)ロールプレイをする人を2名選び、「セクハラを受けた部下」と「相談を受ける上司」の役を決める。

2)部下役の人にだけ、セクハラ相談のシナリオを渡す。上司役の人には、受けた相談に対して、その場で自分で考えて回答するよう指示する。

3)セクハラ相談のロールプレイを行い、他のメンバーはそのやり取りを見て、問題点がないかどうか考える。

4)ロールプレイが終わったあと、全員でディスカッションを行う。その際、上司役の人には「どんなところが難しかったか」「どんなことに気をつけたか」といった感想を、部下役の人には「どう感じたか」を話してもらう。見ていた人は「もっとこんな対応があってもいいのでは」といった意見を出す。

5)セクハラ相談に対応する際のポイントをまとめて、全員で共有する。

セクハラ相談を受けた際の正しい対応として、「まず相談者の話に真摯に耳を傾ける」「相談者がどのような解決策を望んでいるかを聞き出す」「プライバシーを守ることを確約したうえで、会社のしかるべき部門で対応することを説明する」といった点が挙げられます。全社でセクハラへの理解を深め、正しい対処方法を理解し、決して二次被害につながらないような対応をすることが不可欠です。

セクハラを生まない職場づくりのために

セクハラ研修においては、社会に根づいていると思われる「ジェンダー的な考え方」を、今一度よく考え直すことが大切です。「この発言はOK」「この発言はNG」といった具合に、「セクハラは使用する言葉の問題だ」などと考えているうちは、セクハラは解決しませんし、なくなることもないでしょう。

セクハラの背景として見逃してはいけないのは、「性別役割分担意識」がその根底にあるということです。性別役割分担意識とは、性別によって職場における役割を決めるということです。具体的には、「男性は過酷な労働に耐えなければいけない」「女性は職場を華やかにする存在だ」「接待の場面では、女性社員がお客様にお酌をする」といった「決めつけ」がこれに当たります。こうした「女性とはこうだ」「男性とはこうだ」というジェンダー的な考え方がエスカレートした先に、セクハラが発生すると考えることもできます。

職場では、さまざまな人が働いています。一人ひとり個性も価値観も違います。女性だから、男性だから、という価値基準ではなく、同じ職場で働く仲間として、一人の人間として尊重し合う姿勢が大切です。セクハラ研修を通して、セクハラを根絶するのはもちろん、セクハラがそもそも生まれない職場風土をつくっていくことが、何よりも重要だといえるでしょう。

※本記事は、野口&パートナーズ法律事務所 野口 大(弁護士)/大浦綾子(弁護士)の監修による社員研修用DVD『ケースで学ぶセクシュアル・ハラスメント』と、大浦氏による解説動画をもとに、編集いたしました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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