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人材開発支援助成金とは? 社員のキャリアを形成するのに役立つコースや申請方法を紹介!

2023年7月25日更新

人材開発支援助成金とは? 社員のキャリアを形成するのに役立つコースや申請方法を紹介!

少子高齢化で労働人口が減少するなか、生産性を上げるには従業員一人ひとりの能力向上が求められています。しかし、人材育成に課題を抱えている企業も少なくありません。今回は、人材育成の効率化を目指して策定された人材開発支援助成金について解説します。

INDEX

PHP研究所の公開セミナー、講師派遣研修も人材開発支援助成金の対象になる可能性があります。過去、公開セミナー等にご参加の企業様で実際に助成を受けられているケースもございますので、お気軽にご相談ください。

人材開発支援助成金とは

少子高齢化で労働人口が減少する日本で、人材不足の課題を抱える企業は少なくありません。このような課題を解決するために、従業員の生産性向上を目的とした人材育成に力を入れる企業が増えています。しかし、人材育成をおこなうには費用がかかるため、金銭的に余裕がない企業は積極的な取り組みが難しい場合があります。

人材開発支援助成金は、従業員の能力向上や教育研修にかかる費用、またその間の賃金を国が助成する制度です。人材開発支援助成金を利用することにより、人材育成にかかる経費の一部を助成金で補填でき、経費節減効果が見込めます。

令和5年度の厚⽣労働省予算案における重点事項三つのうち一つに、「成⻑と分配の好循環に向けた『人への投資』」が挙げられ、予算が拡充されています。労働者の生産性向上は国にとっても優先して取り組むべき課題だといえるでしょう。企業が従業員の育成、教育を実施するには絶好の機会です。

参考:PDF「令和5年度版パンフレット(人材育成支援コース)詳細版(R5.6.26~)」(厚生労働省)
参考:PDF「令和5年度厚生労働省予算案の概要」(厚生労働省)

人材開発支援助成金とキャリアアップ助成金の違い

人材開発支援助成金と似た制度に、キャリアアップ助成金があります。キャリアアップ助成金は、資格取得のための費用を国が助成する制度です。どちらの制度も人材育成において国から助成金を受け取れるという点では同じですが、対象者に違いがあります。

キャリアアップ助成金の対象者は、「有期契約労働者・無期雇用労働者」です。有期契約労働者とは、派遣社員・契約社員など契約期間が定められている労働者のことで、パートやアルバイトも含まれます。無期雇用労働者は、契約期間を設けられていない正規雇用以外の労働者です。
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の労働者の正社員化、処遇改善を目的にしています。

一方の人材開発支援助成金は、「雇用保険の被保険者」が対象です。基本的に、支給条件に該当する労働者であれば、有期契約労働者や正規雇用労働者に関係なく助成の対象となります。

参考:「キャリアアップ助成金」(厚生労働省)

人材開発支援助成金の目的

人材開発助成金の目的は、国の助成によって、企業の人材育成を促進することです。
労働人口が不足している日本で、製品・サービスの質を向上させたり、生産性をアップさせるには、従業員一人ひとりがその能力を発揮することが不可欠です。
その能力を開発するためには、教育研修の実施や資格取得などが必要ですが、多額のコストがかかります。

人材育成に十分な投資ができない中小企業では、人材育成にかかる費用を捻出することが難しいこともあります。人材開発助成金を利用し、人材育成を活発に行うことで、従業員のキャリアアップやモチベーションアップ、ひいては企業経営の安定にもつなげることができます。

人材開発支援助成金の対象コースと助成額

人材開発支援助成金には、以下の7つのコースがあります。

  • 人材育成支援コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース

それぞれのコースの概要や助成額について確認していきましょう。

人材育成支援コース

職務に関連する知識・技能を習得させるための人材育成を計画的に実施した場合、訓練経費や研修期間中の賃金の一部等を助成する制度です。(※1)

助成額
・人材育成訓練(OFF-JT)の場合
中小企業の雇用保険被保険者の場合、経費助成は45%、賃金助成(1人1時間あたり)は760円
例えば、PHP公開セミナー「部長研修」(2日間/13時間)を中小企業の雇用保険被保険者1人が受講した場合
経費助成:セミナー受講料88,000円×45%=39,600円
賃金助成:760円×13時間=9,880円
計49,480円の助成
※上記は計算の例であり、助成金受給が保障されるものではありません。

経費助成限度額(1人あたり)
【中小企業事業主・団体等】
支給対象となる訓練が10時間以上、100未満:15万円
支給対象となる訓練が100時間以上、200時間未満:30万円
支給対象となる訓練が200時間以上:50万円

(※1)人材育成支援コースは、2023年4月に「人材開発支援助成金の特定訓練コース」「一般訓練コース」「特別育成訓練コース」が統合したもの

参考:PDF「令和5年度版パンフレット(人材育成支援コース)詳細版(R5.6.26~)」(厚生労働省)

公開セミナー「部長研修」はこちら

教育訓練休暇等付与コース

労働者の自発的職業能力開発を受ける機会の確保等を通じた職業能力開発および向上を促進するため、休暇や所定労働時間の短縮を適用した事業主に助成する制度です。

以下、3つの制度があります。
●教育訓練休暇制度
●長期教育訓練休暇制度
●教育訓練短時間勤務等制度

助成額
【教育訓練休暇制度】
3年間に5日以上の取得が可能な有給の教育訓練休暇を導入し、実際に適用した事業主に助成(制度導入に対して30万円)

【長期教育訓練休暇制度】
30日以上の長期教育訓練休暇の取得が可能な制度を導入し、実際に適用した事業主に助成(制度導入に対して20万円を支給、有給の休暇に対して、1人につき1日6,000円 最大150日分の賃金助成を支給)

【教育訓練短時間勤務等制度】
30回以上の所定労働時間の短縮、所定外労働時間の免除が可能な制度を 導入し、実際に1回以上適用した事業主に助成(制度導入に対して20万円)

参考:PDF「令和5年度版パンフレット(教育訓練休暇等付与コース)詳細版(R5.6.26~)」(厚生労働省)

人への投資促進コース

人への投資を加速するために、国民からの要望を受けて創設された訓練コースです。
人への投資促進コースは、令和4年度の制度見直し以降、助成率が高くなったり、定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービスによる訓練)、自発的職業能力開発訓練(労働者が自発的に受講した訓練)の助成を新設するなど、助成金が拡充されています。 以下、5つの訓練があります。

●高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
●情報技術分野認定実習併用職業訓練
●定額制訓練
●自発的職業能力開発訓練
●長期教育訓練休暇等制度

助成額(中小企業の場合)
●高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
経費助成は75%、賃金助成(1人1時間あたり)は960円
●情報技術分野認定実習併用職業訓練
経費助成は60%、賃金助成(1人1時間あたり)は760円
●定額制訓練
経費助成は60%
●自発的職業能力開発訓練
経費助成は45%
●長期教育訓練休暇等制度
制度導入経費20万円

助成金限度額(1事業所1年度あたり)
成長分野等人材訓練を除く人への投資促進コース:2500万円
成長分野等人材訓練:1,000万円
自発的職業能力開発訓練は300万円

参考:PDF「令和5年度版パンフレット(人への投資促進コース)詳細版(R5.6.26~)」(厚生労働省)

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開に伴い、労働者に新たな分野で必要になる知識や技能を習得させるために訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の一部賃金を助成する制度です。

経費助成は75%、賃金助成(1人1時間あたり)は960円

参考:PDF「令和5年度版パンフレット(事業展開等リスキリング支援コース)詳細版(R5.6.26~)」(厚生労働省)

建設労働者認定訓練コース

建設事業主や建設事業主団体等が、建設労働者の雇用の改善や建設労働者の技能の向上等をはかるための取組みを行った場合に助成を受けることができる制度です。

(1)認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合
(2)建設労働者に対して認定訓練を受講させた場合

助成額
(1)経費助成 対象経費の1/6
(2)賃金助成 3,800円/人日

参考:PDF「建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内(建設事業主向け)令和5年度版」(厚生労働省)

建設労働者技能実習コース

若年者等の育成と熟練技術の維持・向上を図るため、キャリアに応じた技能実習を実施した場合に、経費を助成する制度です。

助成額
【雇用保険被保険者数20人以下】
経費助成:3/4、賃金助成:8,550円/人日

【雇用保険被保険者数21人以上】
経費助成:35歳未満の労働者は、支給対象費用の7/10、35歳以上の労働者は、支給対象費用の9/20
賃金助成:7,600円/人日

参考:PDF「建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内(建設事業主向け)令和5年度版」(厚生労働省)

障害者職業能力開発コース

障害者の職業に必要な能力を開発、向上させるため、一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う事業主又は事業主団体に対してその費用を一部助成する制度です。

【施設・設備の設置や整備、更新】
要した費用に3/4を乗じた額を助成

参考:人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース) |厚生労働省

人材開発支援助成金の支給条件

各コースに共通する支給条件として、自分の仕事に関連する専門知識や技能の習得を目的とした訓練を計画に沿って実施することが必要です。

人材育成支援コースでは、知識や技術を業務以外の場で学ぶ「OFF-JT」を実施し、知識や技術を実務の中で訓練する「OJT」を組み合わせるものもあります。
また、訓練対象者は雇用保険の被保険者です。各コースの支給条件に該当する労働者であれば、有期契約労働者や正規雇用労働者に関係なく助成の対象となります。
助成金を受給できる事業主は、雇用保険・労災保険への加入やOJT研修の記録など諸条件を満たしている必要があります。各コースで異なる条件が設けられているため、事前に確認しておきましょう。

人材開発支援助成金の受給の流れ

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1.訓練計画の作成

人材開発支援助成金を受給するには、訓練開始前に職業訓練実施計画届と必要な書類揃えて提出しなければいけません。
職業訓練実施計画届は、以下の厚生労働省公式ページから最新版のダウンロードが可能です。計画申請時に必要な書類一覧も確認できます。
また、人材開発支援助成金は、令和5年6月から雇用関係助成金ポータルでの電子申請が可能になり、より申請しやすくなりました。社会保険労務士や代理人による申請にも対応しています。

2.職業能力開発推進者を選定

以下のコースに関しては、職業能力開発推進者の選任が要件となります。

●人材育成支援コース
●教育訓練休暇等付与コース
●人への投資促進コース

職業能力開発推進者は、社内で職業能力開発の取り組みを推進するキーパーソンです。事業内職業能力開発計画の作成と実施をはじめ、従業員に対し、職業能力開発に関する相談や指導などを行います。一般的には、人事・採用担当や労務関連の業務責任者が選定されることが多いです。事業所ごとに1名以上の職業能力開発推進者を選任しましょう。

選定された職業能力開発推進者は、まず事業内職業能力開発計画の策定をおこないます。事業内職業能力開発計画とは、従業員の職業能力の開発や向上を段階的、かつ体系的におこなうために作成する計画です。仕事の種類やレベル別に、身に付けたい能力や要件と、そのためにどんな学習や訓練が必要かを整理します。作成した計画は、従業員に周知し、自社の人材育成方針を共有する必要があります。

3.訓練計画届を提出

職業訓練実施計画届の提出先は、事業所や事業主団体の所在地を管轄する労働局です。都道府県によっては、ハローワークでも職業訓練実施計画届を受け付ける場合があります。訓練開始日から、1ヵ月前までに申請をおこなうことが必要です。
また、職業訓練実施計画届の提出時には必要書類を用意して提出しなければいけません。必要書類はコース別に細分化されているため、厚生労働省の公式ホームページから確認してください。

4.訓練を実施

提出した訓練実施計画届に沿って、訓練の導入を実施していきます。たとえば、人材育成支援コースの「人材育成訓練」の場合は、職務に関連した知識・技能を習得させるための10時間以上の訓練が必要になります。人材育成訓練は、実務と切り離した座学などのOFF-JTによって行われます。事業内(外部講師を社内に招へい等)、または事業外(外部の公開セミナーへ派遣等)で実施される訓練が対象となります。

訓練は、あらかじめ策定した計画通りの実施される必要があります。日程、場所、講師などに変更が生じた場合は、「職業訓練実施計画変更届」の提出が求められます。計画通りに実施されないと、人材開発支援助成金を受給できない場合があります。訓練実施計画届の内容に合わせて訓練を進めましょう。

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5.支給申請書の提出・受給

訓練実施計画に沿った職業訓練を実施したあとは、支給申請書と必要な書類を管轄の労働局に提出します。提出期日は、訓練を終了した日の翌日から2ヵ月以内です。支給申請書は、厚生労働省の公式ホームページから最新版をダウンロードできます。
また、各コースや導入する制度によって申請期間が異なる場合があります。指定された提出期限を過ぎると助成金を受け取れない場合があるため、あらかじめ訓練後の申請フローを確認しておきましょう。

人材開発支援助成金の申請を申請する際の留意点3つ

ここからは、人材開発支援金を受ける際の注意点について確認していきましょう。

提出から受給までの期間を確認する

人材開発支援助成金は、支給申請書を提出してから助成金を受け取れるまでの審査に数カ月単位で時間がかかることがあります。また、申請書類が一度で受理されるとも限らず、場合によっては労働局とのやり取りが発生することもあります。実際に経費節減の効果が得られるまでには時間がかかりますので、長い目で見て取り組みましょう。
助成金の支給までにどれくらいの期間がかかるのか、事前に確認して心づもりしておくことも重要です。

助成金支給対象者を確認する

人材開発支援助成金にはさまざまなコースが用意されていますが、それぞれ支給の対象となる労働者の要件が異なります。要件をすべて満たしていないと、人材開発支援助成金が受け取れません。 資料を確認しても理解が難しいときは、労働局に確認することをおすすめします。労働局や助成金に関する問い合わせ先は、厚生労働省の公式ホームページで確認できます。

対象になる経費を確認する

人材開発支援助成金支給の対象になる経費を確認しておくことが重要です。対象外の経費に対する助成金は受け取れないため、その費用は自己負担になります。また、企業規模や実訓練時間数で経費助成の限度額が変わることも多いです。「1労働者につき1年度で3回まで」など、支給に関する制限が設けられている場合もあるため、しっかりと確認しておきましょう。

人材開発支援助成金の申請は煩雑な部分もあり、初めての申請では難しいこともあるでしょう。社会保険労務士に助成金の申請を代行してもらうことも可能です。自社に顧問社会保険労務士がいない場合でも、スポットで外部の社会保険労務士に助成金申請だけを依頼することも可能です。

まとめ:人材開発支援助成金を申請して生産性を向上させよう!

日本は少子高齢化で労働人口の減少が進み、人材不足の課題を抱える企業が少なくありません。少ないリソースで企業が成果を出し続けるためには、従業員一人ひとりの生産性を向上させることが重要です。
人的開発支援助成金を申請すれば、育成にかかる経費や研修中に従業員に支払う一部賃金を国が助成してくれます。人材育成にかかる費用を助成金で補填できるため、これまで育成に費用を割けなかった企業の従業員も、キャリアアップの機会が得られます。人的開発支援助成金をうまく活用して、従業員の生産性の向上を実現させましょう。

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