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部下のストレスサインと対処法~職場のメンタルヘルスマネジメント

2017年4月 1日更新

部下のストレスサインと対処法~職場のメンタルヘルスマネジメント

部下に元気がなく、やる気がなさそうに見えるとき、どんなふうに声をかけていますか? 職場不適応、メンタルヘルス不全かもしれません。「しっかりしろ!」「やる気出せよ!」――これでいいなら苦労はないでしょう。管理職としての対処法を学びます。

部下のストレスサインをキャッチする

あなたは、今いる部屋の中にどんなものがあるか、把握しているでしょうか?
例えば、目を閉じて、部屋の中にあった赤いものを思い出してください。記憶の中で、あなたは赤いものをいくつ思い出せましたか? ほとんどの人は、記憶の中では、あまり思い出せません。
目を開けて部屋の中を見回してみると、赤いものが次々と見つかります。自分自身では、いつも生活している場所のことを知っているつもりでも、意外に気づいていないことが多いものです。これは職場の他の人に対しても同様で、一緒に働いていても、相手の微妙な変化に気づかないものです。
そうした変化に気づくためには、「アンテナを立てる」ことが大切です。つねにアンテナを立てて変化に目を配っていると、部下の様子を見たときに、「あれ? いつもと違うな」と部下のストレスサインに気づきやすくなります。部下のストレスサインをキャッチするときは、行動面から見たほうがつかみやすいでしょう。
下記に、行動面に表れるストレスサインをあげています。ストレスサインを知っていることで、アンテナの感性はより高まることでしょう。

行動面に表れるストレスサイン

攻撃的な攻撃的な行動に出る場合

・口答えや批判が多くなる
・些細なことに腹を立てる
・歩くのも食べるのも速くなる
・落ち着きがない
・結論を急ぐ
・人の話を聞かない
・ミスや失敗を人のせいにする
・相手の都合を考えずに話をする

逃避的な行動に出る場合

・口数が少なくなる
・仕事中たびたび休んでいる
・ぼーっとしている
・トイレの回数が増える
・やる気が感じられない
・欠勤や遅刻が増える
・仕事の能率が落ちる
・自分から発言しなくなった
・ミスが多く、指示が実行されない

ライフスタイルの乱れとなって表れる場合

・ひげを剃らずに出社する
・同じシャツを続けて着ている
・タバコやお酒の量が増えている
・ギャンブルに凝り出す
・急に太ったりやせたりする
・欠勤や遅刻が増える
・最近、ズボンに折り目がない
・極端に辛いものや甘いものを食べる

こうしたサインは、その人の性格、趣味、嗜好の部分もあります。ですから、すべての人にあてはまるということはありません。しかし、放置してよいものと、放置してはいけないものがあります。
そのさじ加減を見極めるポイントが二つあります。一つ目は、本人がコントロールできているかどうかです。二つ目は、業務に支障があるかどうかです。例えば、お酒を飲みすぎて、次の日のクライアントの約束をキャンセルしてしまうのは、自分でコントロールができず、業務に支障が出ているということになります。
もし部下のこうしたストレスサインに気づいたら、「これは本人の性格だ」と決めつける前に、まずは「ストレスが高いのでは?」という視点から見るようにしましよう。そのほうが、上司として部下の力を活かす方向に関われることがあるからです。
いずれにしても、サインに気がついたら、話を聴くようにしてください。そして、そのサインの背景にあるストレッサーを確定することが大切です。

部下のメンタルヘルスを把握する

部下のメンタルヘルスはあなたのコミュニケーション次第で、良くも悪くもなります。普段から部下とのコミュニケーションを大切にして、部下のサインを見逃さず、そのサインに適切に関わる姿勢を持つことが大切です。
例えば、ストレスサインを出している部下がいるとき、次の二つのことを直接聞いてみるのも一つの方法でしょう。聞くポイントとしては、一つ目は身体症状です。ストレスレベルが高すぎるときは、不眠、食欲不振、胃痛、抑うつ、腰痛、頭痛、じんましんなどの心身の症状が出ます。まず、そうした症状がないか聞いてみましょう。
二つ目は、アフター5や休日の過ごし方を聞いてみてください。職場不適応になっている場合は、社内では元気がなくとも、社外では精力的にレジャーや趣味に没頭していることがあるのです。ただし、つきあいで行っている場合もありますから、楽しかったかどうかを確かめてください。
身体症状の有無と、休日は休んでいるか活動的かの組み合わせで、4つのブロックに分けることができます。この状態の特徴によって、その対処法も異なってきます。

メンタルヘルスの把握チャート

まず、Aのブロックであれば、ストレスレベルが高すぎる状態です。この人には休養が必要です。休日はしっかり休むこと。時間を自分でコントロールできるようにし、新しい負荷は避けましょう。週末休めると思って頑張ってきたのに、休日の直前になって突然休日出勤をするように指示されると、とてもストレスに感じます。ですから、上司であれば、部下への休日出勤の指示はできるだけ前倒しで出すことです。


Bのブロックであれば、少し疲れている状態です。あまり過度の負荷をかけるとAへの移行の恐れがあります。
CやDのブロックであれば、職場不適応になっていることが考えられます。初めはDの「職場に不適応になる原因があって元気がない状態」だったのが、重くなってくると身体症状が表れてCの状態になってくることもあります。ストレスの原因を明確にし、対処法をコーチしてください。また、小さな成功から自信をつけることも有効です。

また、この中には、燃え尽きてしまっている人もいます。そういう人に「やる気を出せ!」とプレッシャーをかけても、車にガソリンがないのにアクセルを踏んでいるようなものです。こうした場合は、本人の内側からのエネルギーアップが必要です。それには傾聴とコーチングが有効です。

出典:通信ゼミナール「管理者のためのメンタルヘルスコーチング」

「管理者のためのメンタルヘルスコーチング」はこちら

監修者:高原恵子(たかはら・けいこ)
上智大学大学院修士課程修了。臨床心理学専攻。聖マリアンナ医科大学付属東横病院神経科にて臨床心理士として4年間勤務した後、(株)iBDにてコミュニケーションセミナー講師を14年間務める。1989~91年、iBD USA CO INCのGeneral ManagerとしてNew Yorkに出向。駐在員とその家族のメンタルヘルスにあたる。1998年、(株)コーチ21に取締役として出向。1999年、(有)コミュニケーション心理学研究所を設立。代表取締役。メンタルヘルス研修、カウンセリング、コーチングを中心に活動する。日本心理臨床学会正会員、日本精神分析学会正会員、横浜市教育委員会スクールスーパーバイザー。著書多数。

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