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社員教育体系のつくり方

2020年11月 7日更新

社員教育体系のつくり方

経営戦略に基づく人材を育成するためには、階層別、職種別、目的別に教育テーマを抽出し、能力開発の方法を体系化する必要があります。ポイントをご紹介します。

策定のポイント

・教育担当者は教育コンサルタントになったつもりで教育体系をつくる
・教育体系はタテ軸・ヨコ軸に何を設定するかで決まる
・プロセスを明確にし、スケジュールを立てておくことで確実に推進できる

社員教育体系を設計する前に

経営戦略に基づく人材を育成するためには、階層別、職種別、目的別に教育テーマを抽出し、能力開発の方法を体系化する必要がある。教育体系は、決して経営者と教育担当者だけでつくるものではない。現場の上司や社員のニーズをしっかり把握してつくりあげることが大切である。
教育体系を構築するための成功ポイントは、最初のステップにある「教育ニーズの収集」にある。教育ニーズを収集するには、経営者のニーズ、上司のニーズ、現場の社員のニーズ、そして、長期的ニーズ、短期的ニーズ、また会社のニーズ、業務上のニーズ、個人のニーズなど多角的に見る必要がある。経営の課題は何で、その課題に対して誰にどのような教育をしていくか、教育の課題を明らかにすることである。
教育担当者は、教育コンサルタントになったつもりで、経営者や現場の上司や社員を「顧客」と見なして、現場の上司や社員にとっての要望や満足を追求するくらいの気持ちで取り組んでいただきたい。

教育体系の設計ステップ

教育体系はどのようなステップで設計していくのか、はじめに全体の流れを確認しておく。
基本的には6つのステップをふまえて教育体系を構築していく。

教育体系設計のプロセス

【ステップ1】現状の調査・分析

経営戦略、経営計画、人事制度や各種制度などを確認するとともに、経営者・上司・社員からヒアリングし、自社の現状調査、および教育ニーズ、これまでの教育実績などを調査し、教育ニーズと今後の課題を導き出す。

【ステップ2】教育の基本方針の策定
経営理念及び経営戦略、経営者の人材に関する基本的な考え方に基づき、自社の教育の目的及び基本方針を策定する。ステップ2,3をもとに、経営者と打ち合わせを重ね、考え方・スタンスを一致させる。

【ステップ3】求める人材像の明確化
経営ビジョン具現化のために、教育ニーズ・教育課題に基づいて求める人材像を明確にし、キャリア・パス、職務、職能要件書などを再整備する。

【ステップ4】教育体系の設計
教育ニーズに基づいて、中・長期的な視点と短期的な視点の両面から、教育体系を設計する。また、現在の人事評価制度と連動させるために、人事部長とも打ち合わせを行う。

【ステップ5】社員教育の企画
階層別・職能別・目的別の教育テーマに対し、最も適切な教育方法(OJT,Off-JT、自己啓発)を検討し、それぞれ連動させる。研修カリキュラムは、目的、教育項目、対象、期日、日数、時間、期待効果を詳細に設計する。

【ステップ6】運用ルールの制定
人材育成の管理組織および教育担当者の職責、運用管理について検討・設計を行う。そして、継続的かつ体系的に運用するために、人材育成会議、人材育成面接、人材育成カルテなどの精度や運用ルールを構築する。

教育体系、2つの構築パターン

教育体系にはその会社独自の考え方や特色が出る。階層別研修からはじめていって、その後職種別、目的別の研修に展開していくパターンと、最初からしっかり教育体系を設計して、個別の研修を展開していくパターンがある。
一般的に、教育体系はタテ軸に役職や等級などの階層のセグメント、ヨコ軸は階層別・職種別や目的別など研修をセグメントしたマトリックスで考えると分かりやすい。その横に、選抜研修、選択研修、キャリアデザイン研修などを配列する企業が多い。分かりやすいモデル例として社員1200名の製造業の教育体系を紹介しておく。

製造業の教育体系

構築のスケジュール化

教育体系を新たに構築する場合は、スケジュールを立てて行わないと、なかなか前に進まないことが多い。また、他社のものを真似て形だけ整えてみても意味がない。教育体系設計のプロセスはどこまで精緻にやるか、研修会社と共同で設計するのか、外注することで任せてしまうのかで大きく工程が変わってくる。まずは、何をどの順番でいつやるのかを決める必要がある。
一般的に教育体系の構築や見直しには、1年間程度の期間をとることが望ましい。しかし、教育企画だけが仕事ではない教育担当者にとって、じっくり時間をかけて行うことは難しいかもしれない。業務の繁閑を見極めて、他の仕事に支障のないように取り組んでいただきたい。
特に、経営者からのヒアリング、現場のニーズ調査は重要である。ここを疎かにすると良い教育体系はつくれない。さらに、今日のような厳しい時代にはなかなか希望の教育予算が取れないことが多く、事前に必要な費用を見積もっておいたほうがよい。
次に、基本的なスケジュール表を掲載するが、このスケジュール通りに進める必要はないので柔軟に進めていただきたい。同時並行でやったほうがいいこともあるので、効率的に進めることが望ましい。

教育体系構築のスケジュール

4月
 前年の教育効果の測定と集計
5月
 前年の人材育成施策・教育体系の反省

8月
 教育体系構築のスケジュール化
9~11月
 教育ニーズの収集・調査・分析
12月
 人材育成方針・教育方針の策定
 求める人材像の明確化
 教育計画・教育予算の申請
1月
 教育予算の策定
 教育体系の設計
2月
 教育計画のスケジュール
 研修プログラムの検討
3月
 各部署への周知
 運用ルール策定

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教育体系はタテ軸とヨコ軸で決まる

教育方針を策定した後は、教育体系を検討しなければならない。教育体系のフレームを設定することは、会社がどのような人材を求めているのか、どのような人材を育成していくのかを明確にすることである。また、教育を総合的に、体系的に進めていくためのモデルとストーリーがはっきりする。 教育方針で「求める人材像」を設定しても、実際にはさまざまな階層に分かれており、職種も機能別に役割分担されている。階層別・職種別に求められる人材像も、おのずとグループ化される。その際も、各階層別・職種別に「適性要件」「職能要件」「行動要件」に区分して考えると分かりやすい。求める人材像を階層別、職種別に具体化するためのシートを次に紹介する。

階層別・職種別人材像

次に、階層別セグメントごとに教育課題や開発すべき能力要件を抽出する。その基本的な手法は、階層別のセグメントごとに求める人材像(適性要件・職能要件・行動要件)と現状とのギャップ(すなわち問題)を発見し、課題を抽出することである。階層別に現状を正確に把握するためには、職能要件書と人事評価を活用するとよい。
また、知識・スキルなどの能力面のギャップは、課題として抽出しやすいが、姿勢・価値観あるいはモチベーションなどのギャップについては、あいまいになりがちだ。
さらに、業績向上やコストダウンなど短期的な成果を求めるだけではなく、次世代リーダー育成など長期的な育成や社員のキャリア開発研修にも留意しなければならない。 いずれにしても、ビジョンや経営戦略、人事制度との関係をしっかり見据え、経営者の教育方針や教育理念を落とし込めるように教育体系を構築すべきである。 教育体系を構築するにあたっては、求める人材像をどのような軸でグループ化するかで成否が決まる。多くは人事制度の役割区分に合わせるのが一般的である。部長、課長、係長、中堅社員、新入社員という「職位」で区分するか、職能資格で区分する場合もある。また、階層別研修、職種別研修、目的別研修、OJT、自己啓発という「研修の種類」で区分する場合もある。
ヨコ軸に階層別、タテ軸に研修の種類別をとれば、次の図表のような教育体系が考えられる。

教育体系モデル例

これから教育体系をつくる企業は、階層別と職種別に整理していくとよいだろう。次のようにタテ軸に階層を、横軸に職種を設定して、研修コースを検討していく。あまり細かくしないで、階層は、新入社員を含めた一般社員、中堅社員、管理者程度でもよい。
職種は営業・開発・生産・総務・経理・物流など機能で分類する。職種もすべてを詳細に列挙しないで、まとめられるものはまとめて分類するほうが分かりやすい。総務・人事・経理であれば「管理」というように設計すればよい。

教育体系検討シート

最も単純な教育体系フレームを掲載するので、自社に合うように拡張・増設していくことを推奨する。現場における能力開発ニーズと個人のキャリア開発ニーズを的確に把握し、教育体系を戦略的に構築していただきたい。

教育体系に盛り込む内容

教育体系は経営理念・経営戦略の実現に貢献するものであるとともに、社員個人の成長を促すものである。体系であることから、研修と研修のつながりやストーリー、研修と現場との連携、人事制度との連動、企業業績と個人の成長の両立などを仕組み化するようにしなければならない。
次に、教育体系のフレームワークの中に入れていく個別の研修や教育方法を検討する。次に一般的に盛り込むべきものを挙げておく。

構築の留意点

1)教育体系のフレームワークが分かりやすいか?
2)理想的なものでなく、現実的な視点でつくられているか?
3)経営戦略・人事制度と関連づけられているか?
4)経営者のビジョン、現場の経営課題を踏まえたものになっているか?
5)会社のニーズだけではなく、社員のニーズに応えたものになっているか?
6)中長期的ニーズ、短期的ニーズから検討されたものになっているか?
7)教育方針との整合性は取れているか?
8)研修テーマのバランスは取れているか?
9)OJT・集合研修・自己啓発のバランスと連携は取れているか?
10)随時、修正・変更できるようにしているか?

しかし、教育体系を検討していると、つい内容を欲張りすぎてしまう。漏れや抜けがあってはいけないが、盛りだくさんになりすぎたり、重複しないように気をつけてほしい。特に、精緻に教育体系をつくりすぎると、後々修正しにくいこともある。何よりも、構築までに時間がかかり、教育投資が多大なものになってしまうことが問題だ。今日のように経営環境の変化の激しい時代には、毎年見直す必要がある。

出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

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茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

松下直子(まつした・なおこ)
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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