経営者ヒアリングと教育課題の抽出
2014年6月 6日更新
教育体系を構築するために、現場のニーズ調査とともに重要なのが、経営者からのヒアリングです。また、社内各方面から教育ニーズを収集したら、そこから教育課題を抽出していきます。『実践 社員教育推進マニュアル』よりその具体的な方法をご紹介します。
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経営者ヒアリングから教育課題を抽出
ヒアリングにおいて大切なことは、質問項目の準備をしておくことである。特に経営者は時間が限られているため、効率的に質問していくことが大切である。質問項目が多い場合は事前にそれらを知らせておくことも必要だ。>
ヒアリングの時間は思った以上にかかるので、十分に時間を確保することが望ましい。あわただしいヒアリングでは、実りある情報収集ができないので注意されたい。
【経営者ヒアリング項目】
<1>経営理念
1 創業者が大切にしていたことは何ですか?
2 わが社の経営理念に込められた意味は何ですか?
3 わが社の社員として共有すべき価値観は何ですか?
4 わが社の社員に求める行動規範はどのようなものですか?
5 わが社の企業文化・企業風土で残したいものは何ですか?
<2>経営上の問題
1 今、一番何が経営の問題と考えていますか?
2 経営理念・経営方針が浸透していると思いますか?
3 経営計画が実行されていると思いますか?
実行されていないとすれば何が問題ですか?
4 今、機能強化すべき部門はどこですか?
5 将来想定されるリスクはどのようなものですか?
<3>経営戦略・経営方針
1 5年後、10年後のあるべき姿・ビジョンをお聞かせください。
2 将来どのような改革が必要であると思いますか?
3 わが社が成長していくためには何が必要でしょうか?
4 業界の中で他社との違いをどのように出していくべきでしょうか?
5 提供する商品・サービスに対してどのように取り組んでいくべきでしょうか?
<4>人事理念
1 わが社はどのような社員を求めていますか?
2 社員のどのような行動を賞賛し、どのような行動を叱責しますか?
3 社員を評価する上で大切にしている考え方は何ですか?
4 社員はわが社に満足していると思いますか?
5 現在、どのような人事理念を持っていますか?
<5>社員教育
1 人材育成、社員教育をどのように位置づけていますか?
2 今後どのように社員教育に取り組んでいきますか?
3 どの階層、どの部署の教育を強化したいですか?
4 今後、必要と思う教育のテーマは何ですか?
5 人材育成の方針、教育の方針をお聞かせください。
教育課題を抽出
自社の人材育成ニーズを収集したら、次に教育課題を抽出して、重要度・緊急度で優先順位をつけ、「求める人材像」を明確にしながら教育方針を策定する。多角的にニーズを収集していると、重複しているもの、因果関係があるもの、大分類・小分類できるものが混在している。そのような場合は、KJ法などで情報を整理すると課題が見えてくる。
KJ法とは、各種のニーズ調査から収集された雑多な情報を1枚ずつ小さなカード(紙片)に書き込み、それらのカードの中から同類のものを集めてグループ化していき、それらを小グループから中グループ、大グループへと組み立てて図解していく技法である。教育ニーズの整理がしやすいので活用されるとよい。
ところで、「教育ニーズ」と「教育課題」を混同してしまいがちだが、似て非なるものである。「ニーズ」は現状からあるべき状態とのギャップを満たそうとする欲求のことで、「課題」とはあるべき状態に到達すべく行動する内容手段のことである。