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「ストレスチェック」が義務化! データでみるメンタルヘルス不調の現状と対策

2016年5月10日更新

「ストレスチェック」が義務化! データでみるメンタルヘルス不調の現状と対策

2015年12月から、従業員50名以上の事業所では、年に1回「ストレスチェック」を行うことが義務づけられました。その背景には、メンタルヘルス不調を抱えながら働いている人が多くいる現状があります。データを見ながら、働く人のメンタルヘルス不調の現状と対策について考えていきましょう。若林邦江氏の解説です。

 

*  *  *

 

メンタルヘルス不調を抱えながら働いている人が増えている

・「仕事や職業生活に強い不安、悩み、ストレスがある」と回答した労働者は60.9%(出典1)

・仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の労災請求件数(2014年)は1,456件、支給決定件数497件で、過去最多(出典2)

・気分障害(うつ病または双極性障害)と診断された患者の数は1999年の44.1万人から2014年の111.6万人へと15年間で2.5倍増加(出典3)

 

メンタルヘルス不調=うつ病ではありませんが、2006年の日本生産性本部「産業人メンタルヘルス白書」によれば、気分障害(うつ病または双極性障害)が心の病の90.0%以上を占めていたとの報告があります。うつ病は自殺とも関連が深いことから、職場では注意が必要な代表的な疾患です。

さて、上記に紹介した数字から見えてくるのは、働く6割の人がストレスを抱えながら仕事をしており、メンタルヘルス不調での労災が増え続けている現状です。2014年の患者数からは全人口の約1%、つまり新生児から老人を含めた約100人に1人はうつ病などの患者ということで、職場でうつ病の人に接する可能性が高くなっているといえます。

 

職場ストレスのトップは人間関係、最初に把握できるのは上司

・仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの内容(複数回答可)は回答が多い順に、「職場の人間関係」(41.3%)、「仕事の質」(33.1%)、「仕事の量」(30.3%)、「会社の将来性」(22.8%)(出典1)

・メンタルヘルス不調者を最初に把握するのは「職場の上司など管理監督者」(48.4%)、「職場の同僚」(31.5%)、「社内外の相談窓口」(10.9%)、「家族・友人・恋人」(5.8%)(出典4)

・メンタルヘルス不調者の復職状況は、「休職を経て復職」(37.2%)、最終的に「退職」(34.1%。「休職を経て退職」14.8%、「休職せず退職」9.8%、「休職を経て復職後、退職」9.5%の合計)、「休職せず通院治療などしながら勤務」(14.1%)、「休職と復職を反復」(8.2%)(出典4)

 

職場のストレスの要因は人間関係の問題がトップです。そして、メンタルヘルス不調者を最初に把握できるのは職場の上司で、身近な家族よりも気づきやすいという結果です。メンタルヘルス不調者を出さないためには、風通しのよい職場環境を整えることと、職場の上司がメンタルヘルス予防の視点を持つことがポイントになってきます。

 

さらに、メンタル不調者のうち復職している人は3割を超えますが、最終的に退職する人も3割を超えています。人事採用のためには少なくないコストがかかっていますし、不調なまま働くことで本来あるべき生産性を発揮できず結果的に経済的な損失が生まれてくることも明らかになっています。人材不足が懸念される昨今、職場のメンタルヘルス対策に積極的に取り組めば、働きやすい企業としての認知度をさらに高めることにもなります。職場のメンタルヘルス対策は、いまや企業の最優先課題の1つです。

 

(出典)

1 厚生労働省「平成24年労働者健康状態調査」

2 厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」

3 厚生労働省「患者調査」

4 独立行政法人労働政策研究・研修機構「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」2012

 


 

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若林邦江(わかばやし・くにえ)

1989年PHP研究所入社。1999年退社。その後、大学院にて臨床心理学、システムズアプローチ(心理療法)を学び、2007年大学院修士課程修了。2008年臨床心理士資格を取得し、国立医療センター心療内科にて心理療法士として勤務。2015年より官庁職員の職場復帰支援業務に従事。PHPゼミナール講師。

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