階層別教育のご提案

公開セミナー・講師派遣

通信教育・オンライン

DVD・テキスト他

組織開発と人材開発はどう違うのか

2019年4月 3日更新

組織開発と人材開発はどう違うのか

組織開発と人材開発の違いや手法、アプローチ、ウエイトの置き方等を、PHPゼミナール講師が解説します。

研修と組織開発のアプローチ

人材開発における教育・研修の場では、能力・スキルアップのために知識、理論、情報等を使って個人の学びに繋げます。DVD等の映像や音声の活用、演習による体験、ロールプレイ実習を活用して学びを深めることも行います。

このような場においても受講者のプロセスの変化が学習効果を促進することは多々あります。さらにプロセスの変化や気づきから感情が動くこともあり、PHPゼミナールでは受講者に感動を感じてもらう研修を目指しています。

人材開発と組織開発の現場での取り組みの違いを明確に区別することは難しいですが、アプローチやウエイトの置き方から述べるとすると次のようになります。

人材開発では、主に情報や理論、知識といったコンテントを活用し能力アップやあるべき人材像を学びます。そのことから講師自身も知識や在り方の手本という存在で研修の場の一資源となります。

それに対して、組織開発ではその場の体験からプロセスを感じ、緻密な「ふりかえり」によってさらなる学びや自分自身のリソースがもっと活用できるという気づきを得ることを重要視しています。組織開発においては参加メンバーからお互いが学ぶということに主眼がおかれ、参加者どうしの対話は必ず実施されます。組織開発におけるコンサルタントは、支援者、コーチ、ファシリテーター、情報提供者、必要に応じて講師、トレーナー等の様々な役割を担います。

組織開発はコンサルタントがメンバーともに豊な場を築きあげる場であるとともに、コンサルタントにとっては臨機応変に柔軟な対応を行う「ライブ」の場なのです。

診断型と対話型2つの組織開発

診断型と対話型2つの組織開発

組織開発においては、対象の組織のニーズや問題内容に応じて様々な取り組みが行われます。全体構造としてのプロセスには「診断型組織開発」と「対話型組織開発」の2つに分類されています。

診断型組織開発はリッカートの「サーベイフィードバック」がベースとなり発展してきたもので、組織開発の具体的な取り組みの前にサーベイ(調査、測定等)を行いその結果のフィードバックを実施した後に具体的な取り組みを開始します。アンケート調査やヒアリング、ツールを使った社内調査は、今日も多くの企業で実施されています。

診断型組織開発で注意する点として、組織開発コンサルタントが、サーベイの結果に影響される、囚われた見方・考え方をしてしまうリスクがあります。診断結果というものは何かしら評価や問題の明確化につながることが多いわけですが、組織開発の現場においては診断結果を1つのデータ、スナップショットだと認識することもポイントです。組織開発コンサルタントと対象者の関係性には十分注意が必要であり、メンバーからの存在としては、先生や専門家ではなく、歪な依存関係を生んではいけません。

エドガーシャインがいうところの支援者の3つのモデルでいう、医者患者モデルでも、専門家モデルでもなく、プロセスコンサルタントモデルが一番近い存在で、メンバーの外側から支援する者という認識が必要だと思います。組織開発コンサルタントはメンバーに与える影響に敏感でいる必要があり、そのマインドセットは非常に重要です。

ポジティブアプローチ

対話型組織開発は、診断型組織開発の診断・フィードバック部分が除かれた構造になっています。対話型組織開発は、1990年代から2000年代に広まった「ポジティブアプローチ」をベースにした多数の手法があります。代表的なものとして、1987年に米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のデビッド・クーパーライダー教授、ダイアナ・ホイットニー氏によって開発された「アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)」や「OST(Open Space Technology)」、「フューチャーサーチ」、「ワールドカフェ」といったラージグループ介入と呼ばれる数十人規模から数百人規模までを対象とする手法が広まり、今日でもイベントや組織全体の取り組みなどで広く実施されています。

前述の2つの組織開発のモデルにある、対話型組織開発におけるアクション実施の部分で行われるものです。このポジティブアプローチベースの組織開発手法の普及が、今日の日本の第2次組織開発ブームに影響を与えているものの一つに、このポジティブアプローチベースの組織開発手法があることは明らかです。

スモールグループ/チーム作り

一方、数人から20~30人規模の組織、チームを対象に行うものとしてアクションラーニング、オフサイトミーティングなどがあります。またコーチングのスキルを活用した組織開発手法としてチームコーチング、システムコーチングがありますが、PHP研究所でコーチ養成を行っているチームコーチングは非常に効果性の高い手法であると言えます。

スモールグループの場合、ラージグループに比べ、組織開発コンサルタントの直接的な影響が大きくなり、プロセスへの働きかけが多くなります。組織の問題解決や、チーム作りにおいては非常に有効ですが、それだけ組織開発コンサルタントの質と在り方が重要なのです。

対話型組織開発の名付け親で2018年に来日した、カナダ・サイモンフレイザー大学のジャルヴァース・R・ブッシュ教授が実施した組織開発の現場では、効果的な質問を活用した介入を行っており、対話型組織開発におけるコンサルタントの場への問いかけ、質問やコーチングのスキルも非常に大切であると実感させられました。

PHP公開セミナー

講師派遣・インハウスセミナー

福田祥司(ふくだ・しょうじ)
NECグループ、三菱ケミカルホールディンググループにて、システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、事業企画管理、経営企画管理担当。2014年、組織開発、人材開発、経営コンサルティングを柱とするインテリジェンスフィールド合同会社を設立。業界業種を問わず幅広い企業、組織を対象に経営改革、組織変革、人材育成の支援を行っている。PHPゼミナール講師。

新着記事企業は人なり~PHPの人づくり・組織づくり

  • 公開セミナー
  • 講師派遣・研修コンサルティング
  • 通信教育
  • eラーニング
  • DVDビデオ教材

×