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管理職はどこから? 求められる役割や必要なスキルを解説

2022年6月22日更新

管理職はどこから? 求められる役割や必要なスキルを解説

組織の役職のうち、どこからが管理職になるのかを明確にすることは、社員教育において、役割意識を醸成する上で大切になってきます。そこで今回は、どの役職から管理職になるのか、そして管理職に求められる役割やスキルは何かについて解説します。

INDEX

管理監督者=管理職ではない

労働条件を決定する場合や部下の管理面において、経営者に準ずる権限を持つのが「管理監督者」です。一般的な社員とは異なり、管理監督者には労働時間や休日などに関して労働基準法に定められた規定が適用されません。

また、管理監督者と混同されやすい用語に「管理職」があります。管理監督者は管理職と同じ意味として捉えられがちではありますが、管理職は部下の育成やマネジメントをする立場にある社員を総称する用語です。とはいうものの、管理職には明確な定義があるわけではありません。

各企業によって管理職の定義が異なり、ある企業では係長以上、ある企業では課長以上が管理職とされます。一方の管理監督者は労働基準法で明確に定義されているため、企業はその定義に基づいて設置することになります。

管理職と一般職、役員との違い

管理職には、部下の育成やマネジメントをする役割があります。一方、役員は企業の方針や重要事項の決定に携わる立場であり、一般職は管理職の指示に従って業務を遂行する社員のことを指します。まずは、管理職とそれらにどのような違いがあるのかを確認しておきましょう。

管理職と一般職の違い

管理職は、会社側に立って業務の指示を出す側であり、一般職は指示にしたがって業務にあたる立場にあります。
管理職には、経営目標を達成するために、組織を動かし成果を上げる責任があります。そのため、一定の範囲内で、自ら判断を下し予算を執行することができます。一方、一般職は、自分の判断だけでは業務を進められません。

管理職と一般職には、手当てにも違いがあります。
管理職には、多くの場合、管理職手当が支払われますが、労働時間や休日など、労働基準法の規定が適用されず、たとえば休日出勤手当などの対象外になることがあります。

一方、一般社員には労働基準法が適用されるため、時間外労働に上限があります。そして、たとえば残業や休日に出勤した場合には、基本給とは別に手当てが支給されるのです。

管理職と役員の違い

管理職と役員には、契約形態や給与、責任の範囲に違いがあります。管理職は企業と雇用関係を結んでいるため、契約形態は従業員です。一方の役員は委任契約の関係にあるため、従業員ではありません。管理職は「労働者」であり、役員は「使用者」なのです。

管理職は企業の従業員であるため、毎月決まった金額が給料として支給されます。一方、役員には管理職のような給料はなく、株主総会などによって決められた役員報酬を毎月支給されるのが一般的です。役員は任務遂行に対して報酬を受け取ります。

管理職と役員では、責任の範囲も大きく異なります。管理職は自分の判断で部下に指示を出し、業務を遂行できる立場です。一般職よりも権限の範囲が広いため責任は重いものの、業務上で失敗しても個人で責任を負わされることはありません。

一方、役員の場合は個人に責任が及ぶことがあります。自身の失敗で企業に損害が及んだ場合には、会社法に基づいて損害を賠償する責任があります。会社法とは、会社の運営や管理などについて定めた法律のことです。

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どこから管理職に分類される?

どこから管理職に分類される?

管理職には明確な定義がなく、企業によって分類方法が異なります。ある企業では係長、ある企業では課長以上を管理職とすることもあるのです。

しかし、一般的には課長以上を管理職とする場合が多いでしょう。ちなみに、各店舗で働く飲食や小売業の店長に関しては、働き方や待遇によって管理職とみなされないことがあります。どこから管理職に分類されるのか、その境界線を確認していきましょう。

課長以上は管理職に該当する

企業によって線引きは異なりますが、管理職は課長以上からであることが多いでしょう。係長も自身の業務に加えて監督業務を遂行しますが、影響の及ぶ範囲がチーム内であるなど、限定的であることが一般的です。

また会社によっては、課長と係長の間に課長代理という役職を設ける場合があります。課長代理には課長と同じ権限が与えられるため、管理職とみなされるのが一般的です。
課長代理と似た役職として、課長代行や課長補佐があります。課長代行は一時的に課長の役割を務める役職であることが多く、役割や権限は、課長代理と同じであることが多いようです。一方、課長補佐については、課長をサポートする役割であるため、課長と同じ権限を与えられていないことがあります。

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店長は該当しない場合がある

飲食や小売業では、店長という役職があります。店長は、その店舗の運営において決裁権を持つ地位にあります。そのため、店長も管理職に当てはまると思われがちですが、働き方や待遇によっては管理職に含まれないことがあります。

少し前に「名ばかり管理職」が社会問題になりました。記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。店長の役職にある人が、店舗運営のために長時間労働を強いられる状態であるのにもかかわらず、管理職とされていることから、時間外労働の手当てが支給されていないことが問題となっています。
また、たとえば出退勤に制限があったり、管理職と同等の業務・役割を求められるのにもかかわらず、会社から適正な待遇を受けられていなかったりというケースもありました。

参考記事:疲弊する管理職。負担感の要因と活性化のポイントを解説│PHP人材開発

管理職に必要な3つのビジネススキル

管理職には、人材育成や組織マネジメントに関するビジネススキルが求められます。管理職に求められるスキルを説明するうえでおさえておきたいのが、カッツ・モデルです。

カッツ・モデルとは、アメリカの経営学者であるロバート・カッツ氏が提唱した、管理職に必要な能力を示すフレームワークです。カッツ・モデルで管理職に必要とされているスキルには、次のようなものがあります。

カッツ・モデル

・テクニカルスキル
・コンセプチュアルスキル
・ヒューマンスキル

それぞれの内容を確認していきましょう。

1.テクニカルスキル

業務を遂行するために必要となる知識や技術が、テクニカルスキルです。ビジネススキルの基礎であり、職種に問わず求められる能力とされています。
ただし、上位管理職になると実務を部下に任せることが多くなるため、テクニカルスキルを求められる場面は少なくなるのが特徴です。テクニカルスキルの種類には、次のようなものがあります。

・汎用スキル
・専門スキル
・特化スキル

汎用スキルとは、ビジネスマナーや文章力など社会人として必要な基礎能力のことです。事務職や販売職などのホワイトカラーに求められるパソコンの基本スキルや、情報収集力なども、これに該当します。

専門スキルは、専門的な知識や技術を必要とする職種や部門に配属されたときに求められるものです。たとえば、会計であれば簿記や管理会計、決済に関する専門的な知識が必要でしょう。営業であれば、商談スキルやプレゼンテーション力などが求められます。

特化スキルとは、限定された社員のみに任される高度な技術のことです。高度な技術を求められるため、特化スキルがある人材は組織で重宝されます。特化スキルは、職人と呼ばれる人材をイメージすると分かりやすいかもしれません。

2.コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を見極めて個人や組織の可能性を最大限まで高める能力のことです。コンセプチュアルスキルを構成する要素には、次のようなものがあります。

・論理的思考
・批判的思考
・水平思考
・多面的視野
・受容性
・柔軟性
・知的好奇心
・探究心
・チャレンジ精神
・俯瞰力

参考記事:コンセプチュアルスキルとは? 構成する要素と目利き力の高め方

3.ヒューマンスキル

対人関係能力といわれるヒューマンスキル。組織の目標達成のために周囲と良好な関係を築き、円滑にコミュニケーションをとる能力のことをいいます。
具体的には、交渉術・共感力・プレゼンテーション力・論理的思考などが挙げられます。経営層や管理職だけでなく、ビジネスパーソン全体に求められる能力といえるでしょう。構成する要素には、次のようなものがあります。

・リーダーシップ
・コミュニケーション能力
・プレゼンテーション能力
・ネゴシエーション能力
・向上心
・コーチング能力
・ヒアリング能力

管理職に求められる6つの役割

次に管理職に求められる役割を整理しておきましょう。昇格研修では、求められる役割とあるべき姿を伝え、管理職にふさわしい行動がとれるよう育成することが求められます。

1.業務の進捗状況を把握し、業績を管理する
2.部下の強み・弱みを理解し、機会を与えて育成する
3.経営理念や方針を浸透させる
4.既存業務のあり方を見直し、改善を図る
5.目標達成できるチームを作る

それぞれの役割について見ていきましょう。

1.業務の進捗状況を把握し、業績を管理する

組織として目標を達成し、成果を上げるためには、業務の進捗を確認し、業績を管理する必要があります。確実に目標を達成するには、現場で起こる問題を部下と共有し、解決に導くことも求められます。

2.部下の強み・弱みを理解し、機会を与えて育成する

管理職には、部下を育成する役割があります。部下を育成するうえで重要になるのが、コミュニケーションです。日頃からコミュニケーションをとることによって、仕事ぶりや成果などから部下の強みと弱みを把握できます。
強み・弱みや、能力・スキル・経験値を把握したうえでリソースを配分できれば、組織としてより大きな成果を上げることができます。
また、部下に挑戦の機会を与えることによって育成するのも管理職の役割です。

3.経営理念や方針を浸透させる

管理職には、会社の経営理念や方針を、組織に浸透させる役割があります。
有能な人材を集めたチームであっても、ばらばらの方向を向いていると成果は上げられません。管理職には、自分の言葉で会社の経営理念や方針を部下に伝え、日々の行動につながるように浸透させていくことが求められます。

4.既存業務のあり方を見直し、改善を図る

管理職は、既存業務の維持や見直しを行わなければなりません。既存業務の維持とは、ミスやトラブルに対処し、業務を円滑に進めて成果を上げることです。
ただし、業務を取り巻く環境は常に変化するものです。今のやり方で成果が上がらない場合には、管理職がリーダーとなって改革を進める必要があります。

5.目標達成できるチームを作る

管理職には、メンバーが切磋琢磨しながら高め合い、目標を達成していける職場風土をつくる役割があります。風通しが良い職場でコミュニケーションが活発になれば、業務を円滑に進められます。

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まとめ

管理職

管理職には明確な定義がありません。どこからを管理職とするのか、企業によって管理職の線引きは異なるものの、一般的には、管理職は課長以上とされます。
社員がキャリアパスを描くうえでも、正しい役割認識を持つためにも、人事部門が周知を図ることが大切です。まずは、社内でしっかりと定義し、管理職に必要な能力や役割を明確にして、管理職教育を進めていきましょう。

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