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管理職が不足するとどうなる? マネジメント人材を育成するための考え方と手法

2023年1月 6日更新

管理職が不足するとどうなる? マネジメント人材を育成するための考え方と手法

マネジメントの役割が重要性を増す一方、その担い手である管理職が不足傾向にあると言われています。そこで本稿では、マネジメント人材を育成するための考え方と手法について考察いたします。

INDEX

マネジメントを担う管理職人材の不足

バブル期に入社し、これまで管理職として組織を牽引してきたシニア世代の人たちが役職定年を迎えたり、早期退職に踏み切ることで、マネジメント経験者が大量に社外に流出しています。
一方、中堅クラスの人材に目を転じると、マネジメントの知識とスキルが不足しているので管理職として登用されない方が増えているとも言われています。(そもそも管理職にはなりたくないという考えをもった人も、一定数存在します。)
こうした事情があいまって、組織と事業をマネジメントする管理職が足りないという問題が、多くの企業、特に急成長を遂げた企業で顕在化しつつあります。

参考記事:PHP人材開発「マネジメントとは? 5つの機能やマネジメント能力を強化する方法を解説」

管理職が不足するとどうなる?

管理職は組織の中間に位置し、人間の体に例えると「腰骨」にあたる、非常に重要なポジションです。その管理職が不足することによる弊害にはどのようなものがあるでしょうか。

1.組織の遠心力が高まる
管理職は、理念、ビジョン、方針等を組織内に浸透させる「伝道師」の役割も担っています。その役割が機能せず、価値観でつながる状態が崩れると、遠心力が高まって人と組織がバラバラになる恐れがあります。

2.生産性が低下する
管理職不在で一体感が損なわれると、情報共有が進まず、「タコつぼ」状態の組織になります。当然、シナジー効果が発揮されず、生産性の低下や、ミス・トラブルの多発につながるでしょう。

3.人材育成機能が弱まる
人材育成の基本はOJTであり、その担い手が管理職です。「人を育てる人」の不足は、組織の人材育成機能の弱体化につながります。そして、成長実感を得ることのできない人材は、いとも簡単に見切りをつけて転職していきます。

4.不祥事が発生するリスクが高まる
職場には「怖い人」の存在も必要です。法に触れる、あるいは人に迷惑をかけるような行為をしないよう、管理職が目を光らせることで職場に緊張感が保たれます。その空気が緩むと、「この程度のことはいいか」という行動が誘発され、それがやがて重大な不祥事につながっていくのです。

5.一部の管理職の負担が増す
ある部門の管理職が不在になると、他部門の管理職がその部門のマネジメントを兼務することになります。兼務が続くと負担が増し、疲弊感が強くなって、「疲れた管理職」になってしまいます。その悲哀の姿を見る、中堅・若手クラスの人材が「管理職にはなりたくない」という思いを強くし、管理職不足に一層の拍車をかける結果となるのです。

参考記事:疲弊する管理職。負担感の要因と活性化のポイントを解説│PHP人材開発

マネジメントスキルは、一朝一夕には習得できない

マネジメントは「他者を通じて成果をあげること」(getting things done through others)であると言われます。つまり、人を動かすことが、成功するマネジメントの絶対条件なのです。
そして、人を動かすためには「人はどのような状況下で、やる気が出るのか」「どのような仕事をするときに、やりがいを感じるのか」「どのような働きかけをしたときに、こちらの要求を受け容れてくれるのか」等々、人間の本性に関する理解を深めておく必要があります。

若手社員のうちからマネジメント能力を育成する必要性

昨今は、できるだけ時間をかけずに手軽にできる能力開発のツールや教材が花盛りです。しかし、マネジメントの土台に置くべき、人間の本性に関する学習は短時間でできるものではありません。ある程度の期間、反復的な学習と経験を通じて、少しずつ理解が進むものなのです。
したがって、真にマネジメントスキルをもった人材を育てないと思うなら、若手社員のうちからマネジメントに関する学びに触れるような機会を意図的に作っておく必要があります。

若手社員向けマネジメント研修の企画のポイント

前述のような状況を打開することを意図して、若手社員を対象にしたマネジメント研修を実施する企業が少しずつ増えてきました。若手社員対象のマネジメント研修を企画する際に、留意すべきことは以下の3点です。

1.自分ごと化させる
「マネジメント研修は自分には関係ない」と思わせるのではなく、この学びが自分の将来のキャリアを作るうえで、どれほど重要であるかを理解させ、自分ごとと思わせることが重要です。

2.点から線へ
単発研修には限界があります。理想的には、「学習」⇒「実践」を3回程度、繰り返すような「アクションラーニング」スタイルの研修を実施することが望ましいです。それが難しければ、既存の研修(例:3年目研修⇒5年目研修⇒主任登用時研修、等)のつながりを強化して、ストーリー性のある展開にすることです。工夫次第で、マネジメント人材の輩出にある程度の効果を上げることが期待できます。

3.上司を巻き込む
若手社員のマネジメント能力を高めるためには、上司の巻き込みは必須です。研修参加時のフォローももちろんですが、それ以外の機会にも、マネジメントに関する持論やその形成のきっかけになった経験を語ることは、若手社員にとってリアリティの高い、生きた教育になるでしょう。

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今後、求められるプロフェッショナル・マネジャー

今後、より一層経営環境の変化は激しく、スピードを増すことが予想されます。難しい時代を企業が生き抜くためには、プロフェッショナル・マネジャーの育成は必須と思われます。
そうした観点からも、各社の経営者、人事ご担当者の方がたには、マネジメント教育の前倒し実施を強くお奨めしたいと思います。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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