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新しいリーダーシップ教育の理論と立教大学経営学部の実践

2023年7月13日更新

新しいリーダーシップ教育の理論と立教大学経営学部の実践

リーダーシップ教育の第一人者・舘野泰一氏(立教大学経営学部 准教授)に、リーダーシップ教育のあり方を学ぶシリーズ。第1回は、立教大学経営学部の「ビジネスリーダーシッププログラム」での実践をもとに、新しいリーダーシップ教育の理論や教育方法を紹介していただきます。

INDEX

立教大学経営学部の「ビジネスリーダーシッププログラム」とは?

私は今、立教大学経営学部でリーダーシップ教育を専門としていまして、企業や教育機関のなかでどうやってリーダーシップを育んでいったらいいかということを研究・実践しています。

そこでまず、私が立教大学経営学部で実施している「ビジネスリーダーシッププログラム」(Business Leadership Program 以下、BLP)の内容や、こうした実践がどのような理論をもとに開発されているのかということをご紹介しようと思います。

立教大学経営学部には、毎年、学部生が約400名入ってきます。経営学部と聞くと、昔からある学部のように感じられるかもしれないですが、実は2006年に創設された比較的新しい学部です。BLPは経営学部のコアカリキュラムという位置づけで、企業とコラボレーションして実践的なリーダーシップを学ぶ機会を学部生に提供しています。

コラボレーションしてくださる企業の理由はさまざまですが、その一つに、企業の中でも新しいリーダーシップの考え方を学び、採り入れたいというニーズが増えてきていることがあるかと思います。毎年3社ずつコラボレーションしていくのですが、たとえば2023年度は、サントリーホールディングス株式会社様、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社様、株式会社サンシャインシティ様と組んで授業を行っています。

リーダーシップの3つの誤解と新しい定義

リーダーシップというと、何か権限を持ってから発揮するものというふうに思われがちです。よくご紹介するのが「リーダーシップの3つの誤解」です。

1.リーダーシップはリーダーだけが発揮するものである
2.リーダーシップは人を引っ張りまとめるものである
3.リーダーシップはセンスや才能で決まるものである

では、私たちの考えるリーダーシップとは何なのか、どう定義しているかということですが、BLPでは「自分らしさを生かした全員発揮のリーダーシップ」をキーワードに、リーダーシップの育成を行っています。

「自分らしさを生かした全員発揮のリーダーシップ」

1. リーダーシップは権限によらず全員発揮できる
2. リーダーシップは陰から支える行動も含まれる
3. リーダーシップは学習可能である

リーダーシップをどう教育するのか

では、学生たちはどのようにリーダーシップを学んでいるかというと、学ぶ方法として、大きくは「知識スキル型」と「経験学習型」に分けています。知識スキル型というのは、理論を学んで身につける方法。そして経験学習型というのは、実際にリーダーシップを発揮して学ぶ方法です。BLPは、この2つを交互に実施する経験学習型のリーダーシップ教育プログラムになっています。

リーダーシップをどう教育するのか

出典:舘野泰一氏 講演資料(2023.6)

立教大学経営学部に入学すると、まず「リーダーシップ入門(BL0)」を学ぶことになります。これは、企業から提示される課題にチームで挑む、プロジェクト型授業で、実践を通し、各々のリーダーシップ発揮方法を見つけていきます。そして秋には、より詳しいレクチャーを聴いて学んでいくというように、「知識スキル型」と「経験学習型」の学びを行ったり来たりするプログラムになっています。

BLPのもう一つの大きな特徴が、「学生スタッフ制度」です。自分たちの授業を、ただ受け取るだけではなく、学生スタッフとして運営する側にも関わる仕組みです。学んだリーダーシップを発揮して自分たちの環境そのものをつくるというような、ポジティブなサイクルを回すというところを大切に運営しています。

若い人たちが本気になる環境を作る

たとえば2023年度は、サントリーホールディングス株式会社様の未来事業開発部とコラボレーションして「お互いの距離が一歩縮まる新たなドリンクを開発せよ」というプロジェクト課題を提示しています。学生たちは、その課題に対してグループワークでプランを作っていくのですが、最初に「チームに対して自分がどういうような貢献をするのか」ということを宣言してもらっています。それが、一人ひとりのリーダーシップの発揮の仕方ということになります。

プレゼンテーションで優秀な班は、クライアントの方も含めて約600人の前で発表をします。そして自分たちが発揮したリーダーシップ行動に対して、相互フィードバックや振り返りを行います。そうした経験を通して、学生たちは、自分がどういうふうにしたらチームに貢献することができるのか、自分のリーダーシップの強みや弱みは何なのかということを学びとっていきます。

BLPでは、若い人たちが本気になる環境を作ることができます。実際、学内の調査データでは、立教大学経営学部を選んだ理由のトップ3に「BLPのプログラムをやりたいから」というのがランクインしています。大学名や立地、偏差値で志望大学を決めるのではなく、「リーダーシップを身につけたい」「本気になるプログラムを体験したい」という理由で立教大学経営学部を選んでいるということを考えると、そういうニーズが若い人たちにあるということがわかります。

そして、企業における若手社員向けリーダーシップ開発プログラムについても、BLPで実践している経験学習型のリーダーシップ教育をもとに構成しています。

第2回「メンバー全員が発揮するリーダーシップと具体的な行動」

若手社員向け リーダーシップ開発研修・通信教育のご紹介

舘野泰一(たての・よしかず)

舘野泰一

1983年生まれ。立教大学経営学部 准教授。青山学院大学文学部教育学科卒業。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学後、東京大学大学総合教育研究センター特任研究員、立教大学経営学部助教を経て、現職。博士(学際情報学)。大学と企業を架橋した人材の育成に関する研究をしている。具体的な研究として、リーダーシップ開発、越境学習、ワークショップ、トランジション調査などを行っている。近著に『パラドックス思考 矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる』(ダイヤモンド社・共著)、『これからのリーダーシップ 基本・最新理論から実践事例まで』(日本能率協会マネジメントセンター・共著)など。

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