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「デザイン思考」のプロトタイプ(試作品)とは?

2021年9月 8日更新

「デザイン思考」のプロトタイプ(試作品)とは?

デザイン思考のプロセスである「プロトタイプ」をご紹介します。プロトタイプ(試作品)をつくって実証実験を繰り返し、ユーザーのフィードバックを活かして新しい商品・サービスを開発する過程です。

INDEX

デザイン思考の6つのステップ

デザイン思考6つのステップ

商品開発の専門家であるプロダクトデザイナーの考え方を体系化したものを「デザイン思考」といいます。「デザイン思考」においては、(1)まずユーザーを理解し、(2)次にユーザーをよく観察し、(3)真のニーズを定義化したうえで、(4)さまざまなアイデアを出し合い、そこからベストな案を絞り込んでいきます。次に、(5)選択したアイデアのプロトタイプ(試作品)をつくり、(6)テストを行うことで、実際の商品化に結びつけていきます。

参考記事:「イノベーションをもたらす『デザイン思考』とは?」

「プロトタイプ(試作品)」は3段階に分類される

新しい商品や新しいサービスは、量産したり店舗で提供したりする前に、まず「プロトタイプ(試作品)」をつくり、いろいろなレベルで実証実験を行なっていく必要があります。試行錯誤を繰り返し、初期の段階で失敗を経験して学習し、改良を行うことで、よりよい商品やサービスをつくりあげていくのです。
プロトタイプは、「見た目や動作が最終製品にどれだけ近いか」という「忠実度」によって「低・中・高」の三段階に分類されます。それぞれの特徴と目的は以下の通りです。

(1)忠実度が低いプロトタイプ
入手しやすい材料でごく簡単につくり、開発チーム内や社内でコンセプトやイメージを擦り合わせたり、改善点を考えたりするために用いる。

(2)忠実度が中程度のプロトタイプ
全体としては未完成だが、実際の製品やサービスの主な機能を一定のレベルで理解できる試作品のこと。ユーザーに体験してもらい、リアルな感想を聞き出すために用いる。

(3)忠実度が高いプロトタイプ
見た目や中身が仕上がっており、きちんと動く製品やサービスの形になっている試作品のこと。製作に費用、時間、技術が必要となる。ユーザーや関係者に広く公開し、評価してもらうために用いる。

「ダーティープロトタイプ」と「ロールプレイ」

「忠実度が低いプロトタイプ」の例として、「ダーティープロトタイプ」と「ロールプレイ」があります。ダーティープロトタイプとは、例えば新しく開発するスマホアプリの操作画面や機能を紙にスケッチしたり、新しい電気製品のイメージデザインをもとに段ボールで簡単に形をつくったりすることを意味します。とりあえずつくってイメージを共有することで、改善案を集めることができるでしょう。
新しいサービスのアイデアは、メンバーが顧客役とサービス提供者役に分かれてロールプレイを行います。ロールプレイを通して、それまで気づかなかった欠点を見つけたり、新しい発見を得たりできるはずです。

IBMの「音声認識技術」に関する実験

「忠実度が中程度のプロトタイプ」の例として、「オズの魔法使い法」という手法があります。「オズの魔法使いが実は詐欺師の老人だった」という物語になぞらえたもので、IBMの「音声認識技術」に関する実験が有名です。両手でタイピングする代わりに、マイクで話した言葉がコンピュータに入力される音声認識技術について、ユーザーのニーズが本当にあるのかどうか、という実証実験が行われました。コンピュータとマイクを設置して、ユーザーにしゃべってもらい、実際には隠れた場所にいるタイピストが入力したところ、最初は声が文字に変換されたことに驚きの声が上がりました。しかし途中から、「うるさい」「のどが痛い」「他人に聞かれたくない」という不満の声が多く出たそうです。この反応を見て、IBMは音声認識技術の開発を保留にしました。

実用最小限のプロトタイプでユーザーテストを行う

「忠実度が高いプロトタイプ」の例として、「ユーザーに価値を提供できる最小限の機能を備えたプロトタイプをつくる「MVP(Minimum Viable Product)」という手法があります。実用最小限のプロトタイプを一点物で制作して実証実験を行ない、仮説を検証していくのです。手順は以下の通り。

(1)ユーザー像の再確認
「誰のためにMVPをつくるのか」「誰にMVPを試してもらうのか」を再確認する。また、「どのような問題点を解決するのか」「ユーザーのどんな行動に役立つのか」という点も合わせて確認する。

(2)開発計画の作成
商品の開発に向けて、ユーザーの課題を解決するために、どのような機能が最低限必要で、それをどのように具現化するのかといった全体計画を立てる。

(3)検証方法の設定
MVPをユーザーに繰り返し使用してもらい、フィードバックを測定・検証する。検証方法として、「継続的なアンケート」「インタビュー」「使用する場面の観察」などを適宜行う。

ユーザーのフィードバックを活かす

プロトタイプをつくったら、デザイン思考の最終ステップとして「テスト」を行います。テストとは、「実際に商品として機能するかどうかの最終確認作業」のことです。プロトタイプを使い、社内外で可能な限りテストを繰り返すことで、プロトタイプに落とし込んできたユーザーのニーズやそれに対する解決策が、本当に的を射ているかどうかを検証します。一つのプロトタイプでフィードバックを得るのも有効ですが、二種類のプロトタイプを用意して、それぞれのユーザーの反応を測定する「A・Bテスト」も効果的です。両者の反応を比較検討することで、改善点が見つけやすくなるでしょう。

デザイン思考に適性がある「T型人材」とは?

「デザイン思考」を実践していくうえで、自らの「創造性に対する自信」を持つことが大切であるといわれています。創造性に対する自信とは、「自分には周囲の世界を変える力があるという信念」であり、「自分のしようと思っていることが実現できるという確信」のことです。もちろん誰もが生まれながらにそのような自信を持っているわけではなく、努力や経験を積み重ねることで、少しずつ養っていくことが大切です。
またデザイン思考においては、専門分野の知識追究に特化した「I型人間」よりも、専門分野の深い知識に加えて、幅広い知識・興味関心・理解力・洞察力・伝達力などを兼ね備えた「T型人間」のほうがより適しています。専門性を高めることだけに満足せず、幅広い知識を貪欲に吸収する意欲的な姿勢を持つことが重要だということです。

中堅・若手社員に「デザイン思考」の教育を!

「デザイン思考」が目指すものは、「顧客に寄り添ったイノベーションを生み出すこと」に他なりません。そしてイノベーションを実現するには、「技術的要因」「経済的要因」「人的要因」という三つの要因を満たす必要があります。

(1)技術的要因:技術的に実現可能であること
(2)経済的要因:ビジネスとして成立し、利益を生むこと
(3)人的要因:顧客のニーズを捉えていること

これらをすべて満たすことは非常に困難であり、イノベーションがめったに起こらない理由もここにあります。しかし多くのユーザーに喜ばれ、収益を得て事業を継続しながら社会を変えていくには、この三つの要因を徹底的に追究する以外に道はありません。
ザイン思考は、国内外の多くの企業で、クリエイティブな製品開発に活かされています。特に、中堅・若手社員には、デザイン思考を身につけ、イノベーションの担い手として成長してもらえるよう、教育の一環にとりいれていきたいものです。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『顧客視点からはじめる「デザイン思考」入門コース』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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