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論理思考による問題解決の進め方

2016年2月16日更新

論理思考による問題解決の進め方

一生懸命、真面目に努力しているのに、仕事の成果がいまひとつ、という若手社員には、論理思考による問題解決スキルを身につけさせる必要があります。吉田繁夫氏の解説です。

仕事とは問題解決行動である

仕事とは、経営目標達成のための行動です。目標と現状の達成状況の差を問題といい、目標>現状であれば、問題が存在することになり、何らかの手を打つ必要があります。これが、問題解決策です。

言うなれば「仕事とは問題解決行動である」といっても過言ではないでしょう。成果獲得を目指す企業の社員にとって、その力は不可欠なものであり、その本質は思考力です。これが企業の業績実現に直結していることは言うまでもありません。

問題解決策の策定

目標達成や問題解決など、仕事の成果は適切な行動によって生まれ、適切な行動は適切な思考によって生まれますが、その適切な思考の中心が、今回のテーマである問題解決策の策定です。これにも思考図があり、これを持つことによって「どうやって解決策を考えたらいいのか?」という迷いから解放されます。その思考図とは次のようなものです。

問題解決策の策定

この思考図を使う手順は次の3ステップです。

(1)問題...解決したい問題を特定する。
(2)原因...問題を発生させた原因を抽出する。
(3)解決策案...原因を取り除く行動案を案出する。

まずは、問題設定です。問題解決策の検討では、複数の問題を同時に検討せず、一つひとつの問題に分けて解決策案を見出していきます。しかし中には「複数の問題が絡み合っているので関連させて考える必要がある」という場合もあるでしょう。こういうときは、一つひとつの問題に分けて解決策案を出し、最後にすべての解決策案を融合・集約させますが、問題を一つひとつ解決していくというのが基本です。

次に、原因です。原因を取り除くことが問題解決となるので、原因は漏れなく抽出することが大事です。特に、問題発生に対して影響の大きな重大原因を漏らすと、思考に致命的な損傷を受けることになりますので、思い込みや決めつけを戒め、しっかりと現場調査を行うことが大事です。

最後は、解決策案です。解決策は行動内容を示します。したがって、目指すことや心がまえなどを表すことにならないよう、客観的に実行したかどうかを測定できる行動内容を設定します。また、行動案はアイデアです。これまでの経験や知識、情報を駆使して、原因を取り除くための行動アイデアを出します。なお、"案"としているのは、最終的に解決策案の中から、より効果的、効率的なものを選択して実行策とするためです。

一生懸命努力しているのに...という社員

真面目に一生懸命、努力しているのに、仕事の成果がいまひとつ、という社員は、問題を特定せずにばくぜんと取り組み、原因を探らずに思いついた行動アイデアをいきなり実行策として決定し実行している場合が多いものです。

問題解決策の思考図を使って論理的な検討を展開できる力を持つことが、ビジネス・パーソンの基礎能力の中でも最も重要なものの一つといえます。

「ロジカル交渉力」開発コース
ロジカル・プレゼンテーション入門研修
吉田繁夫(よしだ・しげお)
シーズ経営研究所代表。経営コンサルタントおよび研修講師。コンサルティング分野では、現状分析から課題抽出、対策設定の支援と助言、経営計画の論理的な策定指導、経営改革指導、人材の情緒的特性も考慮した業務改革・改善のための管理者指導を展開。研修分野は、論理思考をベースにした思考力、状況分析力、問題解決力、計画立案力、マネジメントコミュニケーション力、部下指導力、プレゼンテーション力、文書作成力などが中心。2005年に研修会社(株)エイチ・アール・ディー研究所を設立し、当初より現在まで代表取締役社長。著書に『事業計画の立て方』(TAC出版)、『結果を出す管理者・出せない管理者』(あさ出版)など多数。通信教育講座『「ロジカル交渉力」開発コース』(PHP研究所)監修。

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