正しいPDCAを若手社員に習慣化させる
2016年3月17日更新
若手社員を戦力化するためには、PDCAサイクルに則って日々の仕事を進めるよう指導することが基本となります。上司は、名ばかりの活用になっていないか確認してみる必要があります。吉田繁夫氏の解説です。
仕事の基本「PDCA」サイクルとは
仕事の進め方を示したPDCAは、多くの企業、多くのビジネス・パーソンに共有されている、最も基本的なマネジメント手法です。
しかし、しっかりと本質を押さえた活用がされているとは言い難い、名ばかりの活用を目にすることが少なくないのは残念なことです。仕事をキチンとマネジメントできていないのに、やっているつもりになってしまうからです。
PDCAは、言うまでもなくPLAN・DO・CHECK・ACTIONの頭文字をとったもので、P→D→C→A→次のP→というように、マネジメント・サイクルとも呼ばれ、目標達成に向けた活動を効果的かつ確実に行うことを目的としています。
これは、目標達成に向けて行動計画を調整していこうとするもので、事前の目標・実行計画と、事後の実際の行動を論理的に照合することが必要です。
しっかりと活用できていない、というのは、4つのプロセスそれぞれのステップで行うべきことをキチンとやっていないということです。やりやすいことだけやって、不十分になっている訳です。4つのプロセスそれぞれの基本的な内容を以下に紹介しましょう。4つのステップにおける事前・事後の情報を正確に対比できるように設定することが必要です。
PLAN
PLANは、達成したい成果・結果を目標として設定し、その達成のために何をやるかを行動計画として設定するステップです。大事なのは、目標設定と行動計画は別の作業だということです。行動計画の実行そのものが目標ではありません。
目標とは、行動の結果として得られる成果であり、"測定可能な状態"として表すことが必要なことは【第4回】で触れましたし、解決策を集めた行動計画は"測定可能な実行内容"として表すことを【第5回】で触れました。これらを確認したうえで、目標と行動計画の2つを設定するのが、PLANのステップです。
DO
DOは、PLANで設定した行動計画を実行するステップです。ただし、実行しながら計画に盛り込めなかった行動を追加したり、状況によって行動計画の部分的修正を行うといった調整作業を行うことも含まれます。
CHECK
CHECKは、DOのステップで実行した結果を確認するステップなのですが、PDCAの4つのステップの中で最もいいかげんになりやすい部分でもあります。それには「結果を確認しない」という論外の状況も少なくなく、さらには「結果は確認するが、その後どうするかにつなげていない」という状況も多く見られます。これではCHECKのステップを飛ばしてしまうことになりますし、CHECKが無ければ、その次のACTIONも無くなります。
ここで行うことは、実行の結果を確認して問題を発見することです。確認することは、「実行計画通りに実行できたか?」と「目標とした成果がどれだけ実現したか?」の2点です。目標や計画と現状との間に差があれば、それが"問題"です。
この2つの面の問題を明らかにすることがこのステップなのですが、PLANで設定した目標と行動が、測定可能な設定になっていないと問題を明らかにできません。CHECKをしっかり行うには、PLANが前提になっていることを忘れてはなりません。
ACTION
ACTIONは、CHECKのステップで明らかになった問題に対処するステップです。問題解決策を新たに設定したり、当初の行動計画を調整して、目標達成に近づけるための行動を実行します。
4つのステップそれぞれで行うことは以上の通りですが、目先の仕事のみにとらわれてドタバタ対処になったり、非効率な仕事展開になったりしないよう、正しいPDCAを習慣化させることは、若手社員の育成において不可欠だといえるのです。