中堅社員研修で教えたい!コミュニケーション3つのポイント
2017年9月 4日更新
中堅社員研修では、コミュニケーションについて学んでもらいたいものです。「型」ができるのは当然ながら、一歩進んで人間関係を円滑にしたり、相手のやる気を向上させたりといったことを意識させるとよいでしょう。
話す・聞くといったコミュニケーションには「型」があります。たとえば、相手の話を聞くときには、うなずくとか、相手の目を見るとか、あいづちを打つといった基本です。こうした「型」ができるのは当然のこととして、中堅社員研修では一歩進んで、次の3つのポイントを意識して会話ができるように指導するとよいでしょう。
1 人柄・人間性を知る
2 目標・志・方向性を知る
3 やる気を向上させる
それぞれ、説明していきます。
人柄・人間性を知るための質問
貴社の中堅社員のみまさんは相手に質問するときに、ただ事実を確認するだけになっていませんか?
たとえば「君は入社5年だったよね」「前職は金融系ですね」というような質問です。この類の質問は、つい多用しがちなので注意が要ります。いくら続けても決して相手の心を変えて行動を促すことはできないうえに、ともすれば刑事の尋問のようになり、良質なコミュニケーションにはなりません。
会話の中に相手の人間的な面に対する質問を入れるのが、できる中堅社員です。アレコレと広げずに一つを深く掘り下げていくことで、相手を理解できるようになります。わかりやすい例をあげてみましょう。
「休みは、どのように過ごすことが多いですか?」
「野球観戦が多いですね」
せっかく仕事以外の質問をしたのに、ここで「そうですか」で終わり、テーマを変えてしまうと、相手に興味がないという印象を与えてしまいます。ここで話題を変えるのではなく、掘り下げていきましょう。目的は相手の人柄・人間性を知ることです。
「おひとりで観戦されるのですか?」
「お子さんがファンなんですね」
「サッカーでなくて野球なのはなぜ?」
「○○さんのお父さんから3代の巨人ファンなのですか!」
プライバシーの問題はありますが、まずは趣味、興味のある分野、相手の仕事以外での考え方、行動を理解できたらよいのです。そこは常識を働かせましょう。
目標、志、夢、将来の方向性を聞く
二つ目は、目標、志、夢、将来の方向性を聞くことです。相手が新入社員でしたら、「将来の夢は?」「どんな分野に進みたい?」など、ストレートに聞いてもおかしくありません。業界や世間話の中で、それとなく、相手の使命感や志、夢を探るのもいいでしょう。夢を実現し成功した経営者の話や、社長の訓話などをうまく引用して、それとなく「あなたは?」のように話を誘導するのも聞き方のひとつです。
もちろん、中堅社員が会話をする相手は、必ずしも新人とは限りません。自分より年上のこともあるでしょうし、役が上のこともあります。そうした場合には、オブラートに包むことも必要ですが、やはり、そうした質問をしてみるのはよいことです。仕事以外の面を知ると早く仲良くなれる、つまり、人間関係を構築するのを助けます。ただ、言葉使い・マナーといった基本を忘れないのは言うまでもありません。
やる気を向上させる聞き方
最後に、質問によって「やる気」を向上させることができることを、中堅社員ともなれば、やはり意識しなければなりません。話を聞くというのは面白いもので、聞いている側が感化される効果があります。
たとえば、質問の中に「やる気」という言葉を多く入れます。「やる気になった出来事」「やる気になった瞬間」「やる気になった言葉」というように、相手に対しての質問にやる気というワードを盛り込むのです。そうした話を聞いているうちに、話す方だけでなく、聞いているほうもやる気が高まるものです。
仕事やプロジェクトがうまくいった時のことをイメージさせて、質問するのもよい方法です。だれでも、楽しい未来を想像すると、さらにやる気が高まるものです。
ちなみに、中堅社員本人にやる気を出させるためには、社内研修の講師を務めさせることが1つの方法です。教えることは、本人のやる気を高めるのに役立つのです。
筆者の関係している企業でも、担当者から講師をしてくれないかと頼んだら、中堅社員が見違えるようにやる気をだし、勉強を始めるようになったという例をいくつも聞いています。仕事そのものではなくとも、研修講師として人に教えるという責任を全うし、ほめられ、評価されるという体験は、やる気を大いに醸成します。
さて、このように、中堅社員研修では、聞き方・話し方の「型」だけでなく、コミュニケーションがもたらす効果について理解を深め、実践できるよう教えたいものです。
みなさんの会社では、できているでしょうか?