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人材育成担当者は、組織風土づくりを何から始めるべきか

2019年1月21日更新

人材育成担当者は、組織風土づくりを何から始めるべきか

人を育てる職場風土が失われつつあるといわれる時代、人材育成担当者は、組織風土づくりをどう推進するべきでしょうか。

INDEX

若手・中堅社員の育成が課題に

人事のご関係者が集う会に顔を出すと、「最近の若手どうですか?」「中堅育っています?」といったことが話題になります。「うちの会社は、離職率が......」「新人だけでなく中堅もメンタルで......」という声が聞こえてきます。つまり、多くの企業で若手・中堅社員の育成が課題になっているということでしょうか。

一方、「若手・中堅社員が順調に育っている」という企業の人材開発担当者に「最も重要なポイントは何ですか?」と尋ねると、「うちは入口かな。採用時に焦点絞っているから」といった答えが返ってきます。
どの企業も、採用段階で優秀な人を採りたいと思うのは当然でしょう。しかしながら、優秀な人は取り合いになっているが現実です。入口で優秀な人を採れなかったら、育成は難しいのでしょうか。

人を育てる組織風土が失われている

従来の人材育成では、新入社員はOJTで仕事を覚え、どの職場にもいる面倒見の良い人のおかげで、ある意味、勝手に育っていきました。モデルとなる先輩がいて、その背中を見ながら成長し、先輩がキャリアアップしていくなかで、自分自身のキャリアパスもイメージすることができたのです。
しかしながら、転職が当たり前のように行われている、年功序列の崩壊がある昨今では、上司や先輩は自分のことで精一杯。面倒見の良い人も少なくなり、モデルとなる先輩もいません。若手・中堅社員は、この先の自分のキャリアパスも見えなくて不安というのが現状です。そんな若手・中堅社員の先輩を見ていたら、新入社員も不安になるというのが理解できます。
企業の経営環境を取り巻く状況が急激に変化しているなかで、育てる側の上司や先輩世代も自己の確立に悩んでいます。そのなかで、価値観が多様化した世代を育てていかなければならない。しかも、現場は止まることなく動いています。皆が悩んで当然ではないでしょうか。
人材開発の課題に頭を悩ませている担当者だけでなく、現場にいる人たちも含めて危機感を共有し、試行錯誤しながら共に成長していく、そんな時代なのだと筆者は考えます。 

異なる世代が関わり合う接点の、信頼関係を創る仕組みづくり

では、そんな正解が見えない時代に、企業の人材開発に取り組む担当者としては、何から始めていけば良いのでしょうか。
筆者は、その第一歩として「異なる世代が関わり合う接点の、信頼関係を創る仕組みづくり」から始めることが大切であると考えます。具体的には、組織内各部課長(上司)からトレーナー/メンターの間の第一段階、トレーナー/メンターと新入社員の間の第二段階に分けて考えます。
新入社員のOJT教育においては、トレーナー/メンター制度を導入している企業もあるかと思います。トレーナー/メンターになる若手・中堅社員は、上司からの指示で役割を担いますが、どんな想いで任命されたかでモチベーションは変わってきます。まずは、トレーナー/メンターである若手・中堅社員とその上司の信頼関係の構築が重要です。
トレーナー/メンターを育てることで、新入社員にも良い影響が出てきます。新人教育は「教わる」ことから始まります。「どんな人から教わるか」で、その吸収度が大きく変わってくるのです。ここが第二段階です。
これら第一・第二段階の前提として、人材開発担当者から組織内の各部課長の間の「0段階」があります。人材開発を担当する人は、現場で人を育てる上司(部課長)を常にフォローする役割を担うことです。

参考記事:新入社員のメンターに求められる資質とスキル│PHP人材開発

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組織の部課長と人材育成への熱意を共有する

部課長に「トレーナー/メンターを選出してほしい」と依頼すると、「人材がいないから選べない」とまずは呟く。そして、人材開発担当者は「そこをなんとか......」とお願いする。部課長は"仕方なく"選出する。そんな流れになっていませんか? まずは、こうした従来の流れの質を変えていきましょう。
人材開発担当者は、組織内各部課長と相談して、新人育成のトレーナー/メンターを若手・中堅社員から選抜します。その際に、「何のために新人を育てるのか」を各部課長に熱く語ってほしいのです。自社のビジネスを創出する人材を育成するために、次世代を担う若手・中堅社員が関わっていくことは、彼ら自身の成長にもつながっていきます。そのことを部課長も認識して、共に育てていくという意識を持つことが重要です。
トレーナー/メンターになるということには、ミッションがあるのです。人材開発担当者の意図が部課長に伝われば、部課長から若手・中堅社員への伝え方も変わってくるのではないでしょうか。

人材開発担当者に求められる覚悟

このように、部課長とトレーナー/メンター、トレーナー/メンターと新入社員の信頼関係ができると、「正の連鎖」が始まります。この「正の連鎖」は、人材開発ご担当者から始まるのです。
多くの企業で採用するのは「優秀な人」ばかりではないでしょう。しかし、まずは、「入口で絞れないから育たない」というのではなく、「採用した新人は必ず成長するはずである」という前提に立つことが大切です。今の時代、人材開発担当者には、メンター/トレーナー、そして上長と共に、新入社員をフォローしていくことが大切です。そして人材育成の「正の連鎖」を自ら始めるという覚悟が求められているのです。

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的場正晃 (まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部兼人材開発普及部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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