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テレワークでの新入社員の不安と人事の悩み。その解決法も紹介

2021年12月27日更新

テレワークでの新入社員の不安と人事の悩み。その解決法も紹介

コロナ禍で一気に導入が進んだテレワークですが、新入社員のなかには、不安や悩みを抱える人も多いようです。彼らがどのような不安を抱えているのか、そして会社側の人事担当者や上司が感じる不安や課題、期待される対応についてもまとめました。テレワーク下でも新入社員をしっかりと育成し、適切に管理する方法について見ていきましょう。

INDEX

テレワークの導入で新入社員が抱える6つの不安

テレワークが導入されたことで、入社後、まだ会社になじめないうちに在宅ワークをすることになった新入社員も少なくありません。出社の機会が少ないこと、上司や先輩、同僚と直接会う機会が少ないことにより、さまざまな不安を抱えているようです。よくある不安として、次の6つが挙げられるでしょう。それぞれについて詳しく解説します。

(1)成長が遅れている
(2)学ぶ機会が少ない
(3)通常の仕事に戻ったときの対応が難しい
(4)社内での人間関係が構築できていない
(5)疑問を解消する機会がない、質問しづらい
(6)自分の能力を相対的に把握できない

1.成長が遅れている

テレワークが導入されたことにより、通常の新入社員研修が実施されなかったケース。あるいは、職場で業務をしながら上司や先輩にOJTで学ぶことができていないケースもあります。そういう場合、職場で仕事をしている社員と比べて、自分は成長が遅れているのではと不安に感じている新入社員も少なくないでしょう。
また、テレワークメインの業務はいつまでも続くとは限りません。テレワークが選択的あるいは不定期になる可能性もあります。もしかしたら翌年の新入社員は、テレワークが導入されなかったときのように、通常の研修を受けることになるかもしれません。そうなれば、翌年の新入社員よりも成長が遅れてしまう可能性も想定されます。

2.学ぶ機会が少ない

テレワークでも学びの機会はあります。パソコンを使った業務に習熟し、書類作成や表作成が格段に進歩したという人もいるでしょう。しかし、一人で行える業務をこなしているだけで、実地を通した学びの機会が少ないのも事実です。
業務知識やスキルが身についていないのではないか、足りないのではないかと不安になる新入社員もいるでしょう。

3.通常の仕事に戻ったときの対応が難しい

テレワークに慣れてしまい、通常の仕事に戻ったときに対応できるのかと不安に感じている新入社員も少なくありません。
例えば営業に配属されたものの、テレワークの導入にともないオンラインでの作業しかしていない場合、本当に自分が取引先に出向いて営業できるのだろうかと不安に感じるでしょう。
早く通常の仕事に戻って働きたいという気持ちと、本当に通常の仕事に戻れるのかという気持ちがあって葛藤し、悩みを深くする新入社員もいます。

4.社内での人間関係が構築できていない

テレワークが一般的でなかった頃は、入社前や入社後に、内定者向けや新入社員向けの研修やイベントなどが開催され、自然に同期や職場の人たちと仲良くなれる機会がありました。しかし、入社した年度によっては、オンライン以外の研修やイベントが少ない傾向にあり、知り合う機会そのものが減っています。
そのため、社内での人間関係が構築できていないことに、不安と焦りを感じている新入社員も少なくありません。かろうじて上司とオンラインで繋がっているだけで、社内に仲の良い社員が一人もいないというケースもあるでしょう。

5.疑問を解消する機会がない、質問しづらい

オフィスで机を並べて仕事をしているのであれば、ちょっとした疑問も上司や先輩に気軽に尋ねることができます。しかし、テレワークでは、対面でのやりとりではなく、オンライン会議やチャットのツール、あるいはメールや電話などで尋ねることになります。
相手の人となりが分からないためコミュニケーションがしにくい、あるいは、上司の場合ですと、頻繁に質問すると面倒がられるのではないかといった気持ちから、疑問を解消しないまま仕事を進めてしまう新入社員も少なくないでしょう。

6.自分の能力を相対的に把握できない

職場で仕事をしているのであれば、同期入社の仲間と話す機会もあり、他の新入社員と比べて自分の仕事能力や業務への習熟度がどの程度なのかを相対的に把握しやすくなります。自分の課題も認識しやすくなり、具体的な目標を立てて努力することができるでしょう。
しかし、テレワークでは、自分の能力を相対的に把握する機会がありません。期待されている程度には仕事をこなせているのか、それとも十分とはいえないレベルなのかを知るのが難しくなることから不安を感じる新入社員もいます。

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テレワークの導入による会社側の不安や悩み

テレワークの導入で不安を感じているのは、新入社員だけではありません。会社側、つまり新入社員の育成を担当する上司や人事部も不安や悩みを抱えています。特に次の2点は、テレワークの導入により会社側が新入社員に対して抱くことが多い不安です。それぞれ具体的に見ていきましょう。

・新入社員の組織社会化の遅れ
・コミュニケーションの希薄化

新入社員の組織社会化の遅れ

組織の規範や価値などを受け入れ、職務を遂行する際に必要なスキルを習得し、組織に適応していく過程を「組織社会化」といいます。本来であれば新しく組織に参入した人は、必ずこの社会組織化の過程を通過しなくてはいけません。
しかし、社会組織化には、単に組織の歴史や仕事で使われる専門用語を知るだけでなく、組織内の力関係やメンバー、価値観なども知っておくことが求められます。
それらを知るためには、実際に組織内に身を置くこと、つまりオフィスに行き、他の仲間たちと働くことが不可欠です。新入社員がテレワークを続けることで必要な情報を入手する機会を逸し、組織社会化が進まず、組織の一員だという意識を持てていないことが危惧されます。
組織社会化が進まないと、新入社員は組織内で孤立したり仕事に対するモチベーションが下がったりすることも想定されるでしょう。場合によっては離職に繋がることもあるかもしれません。

コミュニケーションの希薄化

テレワーク中の新入社員は、他の社員とあまりコミュニケーションを取れていない可能性があります。オフィスで共に働いたという経験がない、あるいは少ないため、直属の上司とはコミュニケーションを取っているものの、他のメンバーとはほとんど関わっていないケースが多いでしょう。
コミュニケーションの希薄化も、新入社員の仕事に対するモチベーションを下げる原因になることがあります。

テレワークの不安解消に役立つ人事担当者の4つの取り組み

テレワークの不安解消に役立つ人事担当者の取り組み

新入社員の社会組織化の遅れ、そして、その一因ともなっているコミュニケーションの希薄化を放置すると、仕事に対するモチベーションを低下させるだけでなく、早期離職による人材流出に繋がる恐れがあります。
新入社員のモチベーションを維持し、組織への帰属意識を高めるためにも、会社側は何らかの対策が必要といえるでしょう。
人事担当者が実施できる取り組みとしては、次の4つが挙げられます。それぞれ具体的な実施方法と、どのような効果を期待できるのか見ていきましょう。

1.個別のオンライン面談
2.コミュニケーションルールの作成
3.帰属意識を高める情報共有
4.オンライン教育制度の充実

1.個別のオンライン面談

人事主導で、新入社員に対してオンライン面談を実施します。オンラインの状況下では、新入社員は上司とは話したことがあっても、他の社員とはコミュニケーションがとれていないことが想定されます。
人事担当者が面談を実施し、一対一で話し合うことで、上司には言い出しにくいことも含めて、一人ひとりの新入社員の様子を観察しながら、現状の課題や悩みなどを聞き出すといいでしょう。必要であれば上司やチームのメンバーにも伝え、指導育成に反映していくことができます。

参照記事:「新入社員へのフォロー面談をどう進めるか~実施タイミング、確認すべき内容や質問のポイントも解説」

2.コミュニケーションルールの作成

新入社員のなかには、自分からコミュニケーションを取るのがなかなか難しいと感じている人もいるでしょう。人事担当者が主導して組織内でのコミュニケーションルールを定めることで、新入社員は上司や先輩とコミュニケーションが取りやすくなり、仕事上の疑問をスムーズにを解消できるようになります。
例えば、毎日オンラインで朝礼を行う、業務中はまとめて質問事項を尋ねる、チャットサービスは業務時間内ならいつでも使えるなど、業務に即した具体的なルールを作成するといいでしょう。

3.帰属意識を高める情報共有

新入社員に企業の一員だという意識を持たせるために、企業内で使われている言葉、専門用語、価値観などを伝えることが必要です。また、進行中のプロジェクトなどがあれば、新入社員の業務に関わる内容や他のメンバーについて紹介します。
オフィスに来ていれば自然に知りえたと思われる情報を共有することで、新入社員の帰属意識を高めることができるでしょう。

4.オンライン教育制度の充実

多くの新入社員は、仕事の基本やスキル習得の遅れに対して不安を覚えています。不安を軽減するためにも、教育制度を充実させていきましょう。
実地研修や対面でのセミナーなどが難しい場合でも、オンラインを活用すれば学びの機会は得られます。オンライン学習の選択肢を豊富にし、社員が必要とする教育を受けられるような制度を構築していきましょう。

参考:PHP人材開発「テレワークでのコミュニケーション不足を解消する工夫とは?」

テレワークの不安解消に役立つ上司の3つのアクション

テレワークの不安解消に役立つ上司の3つのアクション

テレワークによる新入社員の不安を解消するために、上司が実施できることとして次の3つが挙げられます。それぞれ具体的に何を行うのか、また、実施する際に注意すべきことや、期待効果について見ていきましょう。

1.毎日のオンラインミーティング
2.新入社員からの連絡に丁寧に返事する
3.定期的にフィードバックをする

1.毎日のオンラインミーティング

新入社員も含め、部署内のメンバー全員を対象に、オンラインミーティングを実施することができるでしょう。オンラインミーティングでは、部署が掲げている目標、目標到達に対して今まで上げてきた成果などを伝えます。時間に余裕があれば、始業時に1回、終業時にも1回ミーティングを行うようにしましょう。
ミーティングでは、上司が一方的に話してはいけません。上司が司会役を担い、部署内のプロジェクトを担当している人に進捗状況を報告するように促すなど、すべてのメンバーが話せるように配慮します。
部署内のメンバー数が多い場合は、週に1、2度程度でも良いのでメンバー全員が発言できるように工夫し、それぞれが組織の一員であることを実感できるようにしましょう。

オンラインミーティングは、必要以上に堅苦しい雰囲気にならないように意識するといいでしょう。達成目標や社員としての心構えなどのほかに、メンバー同士の人間関係をサポートするような楽しく気軽な内容も含めるようにしましょう。
例えば週初めのオンラインミーティングでは、土日をどう過ごしたかなどの話しやすい話題を選べば、メンバーの人となりを紹介する機会にもなります。

2.新入社員からの連絡に丁寧に返事する

上司と新入社員の間で、仕事で分からないことが生じたときなどに気軽に相談できる関係が構築できていると、新入社員の仕事に対する不安を軽減できます。新入社員からメールや電話などで連絡が届いたときは丁寧に返事をし、いつでも相談してほしいという気持ちを伝えるようにしましょう。
上司が、新入社員からのコンタクトを長時間放置したり、適当な言葉を返したりしていると、「いつでも相談してほしい」と言っていたとしても、新入社員は相談しづらく感じます。新入社員を育成するためにも、上司はテレワークをしていないとき以上に丁寧なコミュニケーションを心掛ける必要があるでしょう。

3.定期的にフィードバックをする

新入社員の仕事内容などに対して、定期的にフィードバックをすることも大切なポイントです。テレワークを導入していることで、新入社員は他の社員と比較したり、どの程度まで自分が成長しているかを客観的に判断したりする機会がほとんどありません。
上司が、他の社員の進捗状況も含めて定期的にフィードバックをすることで、新入社員は自分がどの程度まで成長したのか、何が課題なのかを認識することができるでしょう。
その際、新入社員の悪い点や結果のみを指摘するのではなく、努力してきた過程を承認するなど、やる気を引き出すように伝えることが大切です。テレワーク時には、新入社員が前向きに仕事に取り組めるような指導を、普段以上に心がけましょう。

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まとめ

テレワークが導入されたことで、新入社員がこれまでにない不安を抱えるケースが増えています。また、人事担当者や直接の指導にあたる上司のほうでも、育成に関する不安やコミュニケーションの課題を感じることがあります。
テレワークの状況は、これからも続くことが予想されます。人事担当者や上司は、新入社員の状況や不安などを理解しつつ、適切にサポートすることで、会社への帰属意識を高め、やる気を持って業務に取り組めるよう働きかけていきたいものです。
オンラインミーティングを実施したり、教育・研修を行うなどの取り組みも、新入社員の不安軽減に役立ちます。会社の実情に則した方法で、大切な新入社員を育成していきましょう。

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