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「コンセプチュアル・スキル」の高め方

「コンセプチュアル・スキル」の高め方

(2019年8月29日更新)

 
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変化の激しい時代にあって、組織のリーダーには「コンセプチュアル・スキル」がますます必要になってきました。
 

「コンセプチュアル・スキル」とは

「コンセプチュアル・スキル」とは、「カッツ・モデル」(注1)を構成する3つのビジネススキルの一つです。

「カッツ・モデル」では、リーダーをロワー・マネジメント(係長・主任)、ミドル・マネジメント(部・課長)、トップ・マネジメント(経営幹部)の3つに分類しています。そして、組織の中で上位階層に上がるほど「コンセプチュアル・スキル」の重要性が増すと説明されています。

 

カッツ・モデル

 

C.S.(コンセプチュアル・スキル)

総合判断力/問題意識(問題発見能力)/問題を理論的に整理・分析する能力(概念化能力)/問題を解決し、実行していく能力/創造力/折衝・調整力/長期的見地に立って、計画的に業務を遂行していく能力

 

H.S.(ヒューマン・スキル)

人間に対する理解/リーダーシップ/部下育成(OJT)/公正な評価/コミュニケーション

 

T.S.(テクニカル・スキル)

会社全体についての基礎知識/自部門の業務基礎知識/生産に関する知識/商品知識/販売テクニック/サービス展開/業界知識

 

(注1)
ハーバード・ビジネス・スクールのロバート・カッツ教授が提唱している「組織内の職務遂行において重要なビジネススキル」のことで、テクニカル・スキル、ヒューマン・スキル、コンセプチュアル・スキルを図式化したもの

 

リーダーに求められる「コンセプチュアル・スキル」

「コンセプチュアル・スキル」は、何が正しく何が間違っているのかを見極めたり、複数ある選択肢の中から最適なものを見抜いたり、あるいは複雑な問題の中から真の解決策を導き出したりする「目利き」に近い概念ともいえます。重要な職責を担っているリーダーが、組織を間違った方向へ導かないために「コンセプチュアル・スキル」を高める必要に迫られていることは、至極当然のこととも言えるでしょう。

ではどうすれば「コンセプチュアル・スキル」を高めることができるのでしょうか。この問いに対する絶対的な黄金律など存在しませんが、プロと言われる人たちの実践談を分析してみると、彼らが「体験」と「内省」の積み重ねを重視していることに気付きます。

 

コンセプチュアルスキルを高めるカギ

たとえばベテランの医師は、短時間の問診で患者の状況を把握し、即座に処方箋を出します。こうした離れ業ができるのは、過去に数多くの症例に接してきた「体験」の積み重ねが、医師としての目利き能力を高めているからです。

ビジネスにおいても理屈は同じで、多種多様な状況を体験することが目利き能力を高めるカギとなるのです。しかし、ここで留意すべきは「体験しっ放し」にしないということです。体験には自分にとっての学びがたくさん埋蔵されていますが、見たり聞いたりするその瞬間には気付かないことが多いもの。従って、体験から学びを引き出すためには、内省によって体験を振り返る作業が必然的に求められるようになるのです。

ただし、他のスキルと違ってコンセプチュアル・スキルの開発には時間がかかります。従って、企業における人材開発においても「継続的な教育」や「計画的なローテーション」、そして「コーチやメンターをつけることによる内省の促進」など、ある程度の長期ビジョンに基づいたスキル開発の機会と環境を整えることが重要でしょう。

こうした取り組みによって、一人ひとりの内側に体験と内省が一体化して積み重ねられていく過程で、高いコンセプチュアル・スキルをもったリーダーが輩出されるのではないでしょうか。

 

部長研修

 



的場正晃 (まとば・まさあき)

PHP研究所人材開発企画部部長

1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。


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