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eラーニングの基礎となるLMS(学習管理システム)とは? 機能やメリット、選び方を解説

2023年4月19日更新

eラーニングの基礎となるLMS(学習管理システム)とは? 機能やメリット、選び方を解説

LMS(学習管理システム)はeラーニングを運用する上で必要なシステムです。学習の進捗や成績などを一元管理でき、効率的な研修の運用を実現します。今回はeラーニングのスムーズな導入に不可欠なLMSの基本情報を整理し、自社に合うサービスの選び方をご紹介します。

INDEX

LMS(学習管理システム)とは

LMS(学習管理システム)は「Learning Management System」の略で、eラーニング学習の基礎となるシステムです。eラーニングを運用するうえでの課題を解決し、受講者の学習状況を管理するために開発されました。ここでは、LMSの概要とLMSが生まれた背景について解説します。

参考記事:eラーニングとは? 導入の仕方やメリット、成功のポイントを解説│PHP人材開発

eラーニングの実施に必要なシステム

LMSは、eラーニングの実施に必要な学習管理システムです。受講者はシステムにアクセスすることでいつでも学習ができ、管理者は簡単に教材の提供・受講者の進捗管理が可能です。
eラーニングにおけるLMSはパソコンのOSのような存在で、必要な機能をあらかじめ搭載し、管理者、受講者が簡単に操作できます。LMSの機能は進化し続けており、近年はコミュニティ機能を備えたLMSもあります。チャットや社内SNSで管理者と受講者が交流することで、より効果的な指導が可能です。

LMSの種類

LMSの導入形式は「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類に分けられます。自社のサーバーにLMSを構築するか、外部企業が提供するサーバーを利用するかの違いです。
それぞれの内容をみてみましょう。

オンプレミス型

自社のサーバー内にLMSを構築して利用する導入形式です。自社の用途に合わせて自由にカスタマイズでき、自社のネットワークを利用するためセキュリティの安全性を確保できるのがメリットです。
ただし、サーバーの準備から構築、運用まですべて自社で行う必要があり、時間とコストがかかります。また、トラブルが起きたときも自社で対応しなければならず、運用・保守にはITの専門スキルを持つ人材が必要です。

クラウド型

外部企業が提供するクラウド上のサーバーに構築されているLMSを利用する導入形式です。サーバーを立ち上げるなどの初期費用がかからず、手間もありません。インターネット環境があればすぐに導入できるのがメリットです。定額の利用料金だけで活用できるサービスが多く、オンプレミス型に比べて維持にかかるコストが抑えられます。
従来のクラウド型LMSはセキュリティ面の不安が指摘されていましたが、近年ではセキュリティを強化したサービスも多く、クラウド型LMSを導入する企業は増えています。
本稿では主にクラウド型のLMSについて扱います。

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LMSが生まれた背景

LMSが生まれた背景には、学習の進捗管理の課題がありました。eラーニング以前の学習は、インターネットを使用せず、CD-ROMなどの教材を配布しその後の学習は受講者に任せるという仕組みでした。管理者に負担はありませんが、受講者の学習状況が見えませんでした。
その後、インターネットを介してeラーニングを利用できるようになると、学習の進捗管理が技術的に可能になりました。正規の受講者以外が教材を閲覧できないようにするための対応もしなければなりません。

このようなeラーニングの課題を解決するために開発されたのが、LMSです。
LMSでは、教材の保管や受講者への配信、受講者の学習履歴・成績を統合的に管理することができます。さまざまな機能を、専門知識がなくても利用できるようになったのです。

LMSの主な機能

LMSの基本的な機能は、以下の2つです。

・受講者と教材の管理
・学習の進捗管理

受講者と教材を管理する

LMSは、受講者と教材を管理する以下のような機能を備えています。

【受講者の登録・管理】
・受講者の氏名、メールアドレス等の個人情報を登録、管理
・アカウントに対してパスワードを発行
・教材へのアクセス権限を付与
・登録情報の変更、削除

【教材の登録・管理】
・新しい教材の設置、削除
・あらかじめ指定した教材を設定したスケジュールで受講者へ配信
・テキストやPDF、動画コンテンツの配信

【教材の作成】
・テストやアンケート、研修後のレポート課題などを作成
・PowerPointやExcelをもとに、教材を作成
・PowerPointからPDFを生成、動画から画像を生成

【教材の配信】
・研修の対象となる受講者に適切な学習教材を配信

複数の教材をまとめ、新たに教材を作成する機能もあります。
体系的な学習コースを作ったり、自社オリジナルの教材を作成したりすることも可能です。
社員のキャリアプランごとに、教材をレコメンドする機能が搭載されたLMSもあります。

受講者の進捗を管理する

LMSでは、受講者がどの教材を完了し、テストで何点獲得したかといった進捗の一元管理ができます。

【学習進捗や成績の管理】
・学習状況や受講履歴の一覧をリアルタイムで確認
・受講者の成績を管理
・研修内容の理解度を測定
・進捗のレポート作成

【リマインダー】
・課題の提出期限、研修のスケジュールなどをリマインド通知

【自動採点】
・合格基準を設定し、合格するまで再受験を促す

LMSの活用により、対象者にメールで受講案内を送るといった業務も自動化できます。受講状況や成績も管理できることから、その都度、受講の促進やフォローアップも可能です。
LMSによっては社内SNSやチャット機能、Webセミナー・ライブ配信の機能が搭載されているものもあります。社内SNSでは受講者同士で学習内容を共有し、モチベーションを高めることもできます。また、チャットツールで学習の進捗を確認するなど、管理者と受講者間がコミュニケーションがとることも可能です。個人レベルで学習がサポートでき、学習効果が高まります。
Webセミナー・ライブ配信の機能があれば、研修にグループディスカッションを取り入れるなど学習方法の幅が広がるでしょう。

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LMSを利用する管理者のメリット

管理者がLMSを利用することで、次のようなメリットがあります。
・作業工数やコストを削減できる
・学習履歴や成績を一元管理できる

作業工数やコストを削減できる

LMSは、管理者が人材育成にかける作業工数やコストの削減に役立ちます。LMSにはeラーニング運用のための標準的な機能が搭載されているため、システム構築に関する専門的知識がなくても利用できます。
例えば、受講案内の送信やテストの採点、理解度の分析など、管理者の手をかけずとも、LMSの機能で自動化が可能です。
​​理解度の分析ができれば、社員一人ひとりの得意、不得意も分かります。通常であれば個々の丁寧な指導は手間やコストがかかるものですが、LMSがあれば個別に的確な指導ができ、受講者のモチベーションを保つこともできます。
また、受講者の学習進捗や成績などがシステム上で一元管理でき、紙やExcelファイルで管理するよりも管理コストが少ないといえます。

学習履歴・成績を⼀括管理できる

教材の管理から受講者の成績まで、eラーニングに関するデータをすべて一元管理できます。受講者の学習履歴や受講ステータスを細かく把握でき、それをもとにコミュニケーションを取ることができます。
新入社員や中堅社員、管理職など、階層によって学ぶ内容は異なります。加えて、全社員が対象となるコンプライアンス研修や、組織課題に応じたスキルアップなど、学習する内容、受講のタイミングは社員によってさまざまです。これらをスムーズに管理・運用するのは人事担当者にとって容易ではありません。
LMSで一括管理すれば、適切なタイミングで社員一人ひとりに適した教育を行うことができます。

また、成績などの情報をデータを集計し、人事評価の資料にすることもできます。社員のスキルや能力を数値化して把握できるため、適切な評価や人材配置に役立てることが可能です。

LMSの選び方

LMSの選び方

LMSには幅広いサービスがあり、搭載している機能もさまざまです。自社の目的に合わせ、最適なLMSを選ぶことが必要です。比較検討の材料として、以下のような項目が挙げられます。

・教材作成機能
・自社の目的に合う機能
・マルチデバイス対応
・導入実績
・サポート体制

教材の作成はできるか

自社が求める人材を育成するには、社内の実情に即したオリジナル教材を作成できるのが望ましいでしょう。オリジナル教材を作成することで、社員は題材を自分事と捉えることができ、さらに理解が深まります。経営理念や会社の目指す方向を共有すれば、組織の一体感を醸成できるでしょう。

また、教材を自社で内製できれば、社員の知識や理解度に応じてコンテンツを柔軟に変えることも可能です。優秀な社員には新しいスキルを身に付けるための教材を用意し、学習が遅れている社員には基礎を繰り返し学習する教材を用意するといった運用ができます。
そのためにも、オリジナル教材が簡単に作成できる機能がついているかどうかはチェックしたい項目です。

目的に合う機能はあるか

LMSは各社からさまざまなサービスが提供されています。自社の目的、用途にあった機能がついているかを必ず確認しましょう。
自社にどのような課題があり、何を解決すべきかを検討しておくことで、必要な機能とそうでないものが明確になります。絶対に必要な機能、あると便利な機能、なくてもよい機能などの優先順位を決めておくと、サービスを選ぶ判断基準になります。
機能のカスタマイズが可能なサービスであれば、導入後に教育ニーズが変化した場合にも対応できるでしょう。

マルチデバイス対応か

オフィス以外の場所でもeラーニングを受講させたい場合、パソコン以外にスマホやタブレットなどマルチデバイスに対応しているかチェックが必要です。リモート研修に対応できるだけでなく、工場や店舗など、パソコンがない環境の社員もeラーニングを利用できます。 例えば、「自動車整備工場で作業手順を学ぶ」「飲食店で調理方法を学ぶ」「移動中のスキマ時間に動画を視聴する」といった使い方が可能です。マルチデバイス対応のLMSを採用することで、幅広い人材を教育の対象にできます。

導入実績は豊富か

導入実績の確認も必要です。導入実績が豊富なサービスは、それだけ多くの企業から信頼されていると判断できます。アップデートを重ね、顧客のニーズを満たすサービスに改良されている可能性もあるでしょう。
導入件数が多ければ、さまざまな事例に対応しており、ヘルプやトラブル対応もスムーズな場合が多いです。導入実績とサービスの質は必ずしも比例しませんが、判断に迷ったときの基準にはなるでしょう。
また、導入している企業の傾向から、どの業界・業種に強いLMSかの判断ができます。自社と同業の企業が多く導入していれば、自社に合うサービスの可能性が高いと判断できるでしょう。

サポート体制は整っているか

LMSを一度導入すると、長期的な運用が想定されます。長くLMSを使い続けるためには、充実したサポート体制が欠かせません。導入時のレクチャーや運用時のサポート、システムメンテナンスなどのサービスがあるか確認しておきましょう。質問したいときにいつでも問い合わせられるヘルプサービスはあるか、専門の担当者がつくのかも大切なポイントです。
また、長期的な運用のなかで自社の教育ニーズが変わることも考えられます。要望に合わせて柔軟にカスタマイズ可能か、可能ならばその範囲や費用も確認しておくとよいでしょう。

まとめ:eラーニングのスムーズな運用はLMSの選択が大切

まとめ

LMSはeラーニングの実施に必要なシステムで、受講者や教材の登録・管理、学習の進捗管理など、管理者の負担を減らす便利な機能が搭載されています。受講者の学習履歴を把握できるため、適切なコミュニケーションをとりながら学習のモチベーションを維持することも可能です。
LMSの運用次第で、人材育成の効果に差がでてきます。導入には、社内の運用体制の整備が大切です。サービスの運用管理者を決めるなど、スムーズに学習をスタートできるよう、導入前から体制を整えておきましょう。
LMSのサービスは複数の会社から提供されています。自社の目的に合った機能があるか、サポート体制は十分かなどをよく確認して選ぶことが大切です。社員一人ひとりが学びやすい環境をつくることも人事担当者の大切な役割といえます。適切なLMSを選定し、自社の人材育成に役立てましょう。

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