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顧客の利益に貢献する「Giveできる人材」をどう育てるか?

2019年10月28日更新

顧客の利益に貢献する「Giveできる人材」をどう育てるか?

顧客の利益になることを真剣に考え「奉仕の精神」をもって貢献できる人「Giveできる人材」の育成が、企業の競争優位を創り出します。そうした人材を育成するヒントを事例からご紹介します。

取引先に元気を与える人材派遣会社の事例

自動車関連業界に特化してビジネスを展開する人材派遣会社のA社(本社:名古屋市)。1998年の設立以来、確実に成長し続け、中部地区における存在感を増し続けています。

競争の激しい人材派遣の業界にあって、知名度もない、会社の歴史もない、お金もない、まさに「ないないづくし」の同社が、なぜこれほどまでに成長できたのでしょうか。そのヒントは、同社が大切にしているバリューにあるように思われます。

A社は、「『元気を与える会社』を目指す!」をモットーに、取引先やクライアントを活性化し、それぞれの事業を発展させることを自分たちのミッションととらえ、その実現のために愚直な努力をしてきました。なかでも教育には並々ならぬ情熱を傾け、前述の自社の考え方を理解させ、派遣先で自分たちに何が出来るかを考えさせる教育を徹底的に実施しているそうです。

こうした取り組みが功を奏し、クライアント企業からは、「A社の人が来ると、職場がぱっと明るくなる」という評価を獲得するようになり、契約期間が長期化・安定化するとともに、評判を聞きつけた企業からの新規契約も増え、結果としてビジネスの拡大につながっていったということです。

現代のビジネスは「Give&Take」ではない?

このA社の事例は多くのことを示唆しています。「顧客の利益になることを真剣に考え、貢献した度合いに応じて利益が得られる」というビジネスの定石は誰もが頭では理解していますが、いざ実行となると非常に難しくなります。それを実践し続ける「実行力」こそが、A社の強みといえるでしょう。

ある経営者が、「現代のビジネスでは、Give&Takeではなく、Give&Give&Give&Takeくらいに考えたほうがちょうどいい」と述べていましたが、A社はまさにこのことばを実践している事例と言えます。

今なぜ「感じる力」が求められるのか

また、A社の事例のように、現場で働く社員一人ひとりが、顧客のために自らのなすべきことを考えるためには、「感じる力」が必要になってきます。昨今、自社の「求める人材像」の中で、「感じる力」の重要性を強調する企業が増えてきているのも、その証左といえます。「感じる力」はビジネスで成果を上げる上で欠かせないコンピテンシーのひとつですが、上記のような動きがあるということは、裏を返せば現代のビジネスパーソンの「感じる力」が低下していることを意味しています。

・商談の場面で、お客さまが今、どういう心理状況にあるか?
・自分の仕事ぶりが周りにどういう影響を与えているのか?
・社会の変化がどんな影響を及ぼし、これから何が求められるのか?

こうした事柄に対する感性を研ぎ澄ましていなければ、いい仕事ができないことは言うまでもありません。

実践とフィードバック~アクションラーニング型教育

では、どうすれば社員の「感じる力」を養い高めることができるのでしょうか。

CS教育を例に考えてみましょう。どんなに一流の講師から、サービスの重要性に関して懇切丁寧なレクチャーを受けたとしても、それだけでは頭の理解にとどまってしまいます。しかし、その学びを実践に移し、いいサービスを提供してお客様から誉められる、あるいは逆に提供したサービスに関してお叱りを受けるという体験を経れば、その人は今後、仕事をする上でサービスの品質にこだわり続けることになるでしょう。

こうした教育こそが「感じる力」を高める理想の教育であり、その要諦を一言で言えば「実践とフィードバック」と言えるのではないでしょうか。アプローチの方法は会社ごとに変わると思います。しかし、どんな会社にも通じることは、アクションラーニング型教育を志向すべきであるということです。

「Giveできる人材」が競争優位を築く

とかく短期的な視点で結果を求め、損得勘定を最優先させて物事を判断しがちな社会風潮ではありますが、だからこそ、奉仕の精神をもって、顧客や取引先、社内の上司・部下・同僚など、自分以外の人すべてに「Giveできる人材」を育てておくことは、競争優位を築くことになりうると思われます。

弊社創設者である松下幸之助(パナソニックグループ創業者)は、「与え与えられるのが、この世の理法である。与えるというのは、わかりやすくいえば、サービスするということである。自分の持っているもので、世の中の人びとに精いっぱいのサービスをすることである」と述べ、奉仕の精神の重要性を説きました。

そういう観点から、今一度、自社の人材育成の現状を棚卸してみて、「Giveできる人材」がどれだけ育っているか、確認してみてはいかがでしょうか。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部部長
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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