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社員が「幸せな会社」をどうつくるか~その5つの視点

2020年10月30日更新

社員が「幸せな会社」をどうつくるか~その5つの視点

「社員が幸せな会社」をつくるためにはどうすればよいのか。具体的に、いくつかの視点からみていきましょう。

社員が「幸せな会社」をつくるために大切な5つの幸せ

1.働く社員の幸せ
2.社員の家族の幸せ
3.お客様の幸せ
4.関係企業で働く人々の幸せ
5.地域社会で関わる人々の幸せ

社員の家族の幸せ

社員の幸せは、家族の存在を抜きには実現しない

会社組織が社員の幸せを考えるときに、もっとも大切なことは上記項目の「1.働く社員の幸せ」であることはまず間違いありませんが、その項目と同様に大切なことに「2.社員の家族の幸せ」があります。この2つの項目は切り離して考えることのできない項目です。
いくら仕事にやりがいを感じていても、社員間の人間関係が良好であっても、社員の人生は公私の両方で成り立っています。「今の会社で働くのがつらい」とか「職場の人間関係がひどい」という状況は社員の幸せな会社をつくるという視点からいうと論外ですが、いくら会社での職業人生が良好であっても、社員の向こう側にいる家族が幸せでなければ、社員も本質的には幸せになれません。では、社員の家族の幸せとはいった何でしょうか。

社員の家族の幸せにも種類がある

社員の家族の幸せと一口に言ってみても、その幸せには様々な種類があります。たとえばその一つに、「社員がイキイキと働き、成長している姿を見ること」が家族にとっての幸せとなる場合があります。
社会人になったばかりの若手社員の家族であれば、ご両親は「良い人間関係に恵まれて、仕事を通じて、人としてしっかり成長していってほしい」「仕事にやりがいを持って、イキイキと社会人人生を歩んでほしい」と、心配をしているかもしれません。そして、その心配が実際に目に見える形で解消されなければ幸せではなく、むしろ会社に対して不安や不満を感じることでしょう。
その他にも、新婚であったり新たに子供が生まれた家庭を持つ社員の家族であれば、「家族での時間」や「今の会社や仕事に対する将来性」があることに幸せを感じるかもしれません。

「社員の家族」の存在は、大切だが見えにくい

意外な話ですが、社員同士の人間関係が良好な会社であっても、相手社員の向こう側にいる家族の存在が見えていない、といったケースは本当によくあります。なぜそのようなことが往々にしてあるのかというと、【社員が幸せな会社をつくるために大切な5つの幸せ】の1~5の中でも、「社員の家族」は直接会う機会が圧倒的に少ないからです。
若かりし頃の筆者自身もそうでしたが、自分の目の前にいる上司や同僚、部下の向こう側にいる「家族の存在」に対して、どうしてもリアルな意識を向けることが出来ず、ついついその人々の存在を忘れて、安易なコミュニケーションやマネジメントを行っていました。
直接会ったことのない人々を想像するといった感性に乏しかったのです。私自身は、そのこと(ともに働く仲間の向こう側にいる人々の存在)に気づかせてもらえることが出来たため、その存在を忘れて職場の仲間とコミュニケーションをとることがないよう、様々な手段を工夫しながら実践することが出来ました。
たとえば、意識的に相手の大切な人の幸せや笑顔について話し合う機会を設けましたし、部下には給料日に継続して手紙を書いていましたが、その手紙は部下のご家族に読んで頂いてもいいように(むしろ、読んで頂けるように)文章や見た目にも工夫をしました。
ある時、社外のイベントで、偶然に部下とそのご家族にお会いする機会があったのですが、その時部下が家族に対して「上司の延堂さんです」と紹介をしてくれた瞬間、「延堂さんいつも子どもがお世話になっています。お手紙も拝読しています。いつも本当にありがとうございます」と両手で握手を求めてくださったことがありました。そのときは、社員の幸せは、その向こう側にいる家族の幸せを抜きに語ることが出来ないものなのだと、あらためて強く実感しました。

社員の家族は三世代を見ておく

社員の家族の幸せを考えるとき、私は「最低でも三世代を見ておく」ことをお勧めしています。たとえば若い世代の社員であれば祖父母の世代、両親の世代、夫や妻・兄弟などの同世代、といった感じです。社員の年齢が上がると、子供の世代、さらに年齢を重ねた社員であれば孫世代がいる社員もいることでしょう。このように最低でも三世代を見ていると、ただ漫然と「社員の向こう側にいる家族」を考えるよりも、かなり具体的な視点でみることができます。
自分と向き合っている相手の向こう側にいる「大切な人々の存在」に目を向けることができるようになれば、職場のコミュニケーションや報連相、働く姿勢や働き方にも、様々なよい変化が出てくることでしょう。
いくら出社してきた社員が、仲間とバリバリ仕事をこなしていたとしても、プライベートがボロボロ、家族からも「あの会社は、私たち家族のことなど何も考えていない」と思われている状況で、はたして真の幸せを追求していくことなどできるのでしょうか。
社員の人生にも公私がある以上、このように社員の幸せには、その向こう側にいる人々の幸せが切っても切り離せない関係にあるのです。

お客様の幸せ

働きがいと、お客様の幸せの関連性

仕事の「働きがい」に関するアンケートというものが、様々な企業や組織で行われ、その統計結果が雑誌やインターネットで公開されています。そして、どのアンケートでも必ず上位にランクインしている項目があります。それは、「お客様から、心からの『ありがとう』を頂けたとき」や「お客様を笑顔にできたとき」といった「自分の仕事を通じて、お客様の喜びや幸せに触れたときに、働きがいを感じる」という項目です。
働きがいを感じるとは「この仕事をやっていて本当によかった!」「働くってやっぱり素晴らしい!」と感じるとき、つまり働く幸せを感じるときということです。

「生きるために食べよ。食べるために生きるな」

筆者は前職時代、採用関係の仕事にも携わっていましたが、会社説明会などで行う先輩社員と学生との交流タイムで、よく学生から「どんな時に仕事のやりがいを感じますか?」という質問がありました。質問を受けた社員もやはり「お客様からの感謝の言葉」や「お客様の笑顔」については必ずと言っていいほど触れていました。
「食べるために働く」という言葉がありますが、実は働きがいに関するアンケートの結果では、「給料をもらったとき」や「昇給したとき」というのはランキングではかなり下の方です。「生きるために食べよ。食べるために生きるな」というソクラテスの名言が思い出されます。

お客様の幸せを、何のために追求するのか?

多くの会社では、お客様の笑顔・感動・幸せの追求(CS活動)といったものは、売上向上策の一つとして考え、取り組まれています。しかし、社員が幸せな会社を調べてみると、そのような会社ではどこも売上アップのために取り組んではいません。では社員が幸せな会社は、何のためにお客様の笑顔・感動・幸せを追求しているのでしょうか。
その答えはもうアンケートの結果に出ています。お客様の笑顔・感動・幸せを追求は、働く社員の幸せのために行っているのです。

他者への貢献は、自己という存在の価値を教えてくれる

第二次世界大戦時にナチスが行っていたと言われている拷問があります。ナチスの収容所に捕らえられていた囚人たちが受けていた拷問で、それは「地面に穴を掘る」というものです。
囚人たちは一日かけて「深くて大きな穴を掘る」という作業を課せられます。そして次の日には「昨日掘った穴を埋める」という作業が課せられます。それが毎日続くのだそうです。無価値な作業、意義を見出せない労働が続くと、やがて囚人たちは精神を崩壊させてしまったり、パタパタと亡くなってしまうのだそうです。無意味、無目的な仕事が、捕らえられた人々にとっていったいどれほどの苦痛であったか。私は想像するに堪えません。
お客様の笑顔・感動・幸せが、働く人の幸せに繋がるということについて、私は次のように考えます。それは「他者に必要とされ、喜ばれるということは、自己の存在価値や役割を教えてもらえるということ」です。慶應義塾の創設者である福沢諭吉は、自立について、『学問のすゝめ』の中で次のように語っています。

蟻などは、食物を得るだけでなく、冬に備えて穴を掘り巣を作り、食糧を貯えている。ところが世の中には、この蟻と同様の行為だけで、すっかり満足している人間がいる。
(中略)
一身の衣食住が確立すれば、それで満足するというのなら、人の一生はただ生まれて死ぬだけのことになる。
(中略)
わが心身の活動も活発におし進めず、人間本来の目的を達成しないような者は、虫けらと同じ愚か者と呼ぶしかない。

『学問のすゝめ』福沢諭吉(檜谷照彦現代語訳 三笠書房 107~109ページ)

「人間らしく生きる」とは?

社員が幸せな会社とは、労働条件がよいとか、待遇がよいとか、そういった事だけではありません。社員一人ひとりが働くことそのものの中に幸せを感じたり、仕事で関わる人の幸せに貢献することで得られる幸福感も、大切な要素なのです。

お客様の幸せを自分の働く幸せとして受け取ることができる。そのような働き方の中に、ソクラテスや福沢諭吉の言う、他の生物にはない「人間らしく生きる」ことに繋がっているように感じます。

関係企業の幸せ

「関係企業で働く人々の幸せ」とは?

社員が幸せな会社づくりに、なぜ「関係企業で働く人々の幸せ」が関係あるのでしょう。「関係企業で働く人々の幸せ」、これは別の言い方をすると「自分たちの組織の外に敵をつくらない」という意味です。
関係企業と聞くと、仕入れや下請けや清掃などの、出入りの業者さんを思いつく人が多いのではないでしょうか。どのような業種であれ、自社のみでビジネスのすべてを完結している企業はありません。社外の様々な企業の協力があって成り立っています。
そのような協力企業の人々は皆、客観的な立場から私たちのことを見ています。組織の風土や人柄を通して、信頼関係を築き、末永く付き合っていけるかを見ているのです。協力業者の人々は、私たちの組織の内側を見ることができるので、表裏のある組織はすぐに見抜かれてしまいます。下請けだからと顎で使ったり、値引きを強要したりすると、自分たちの組織はそれでいいかもしれませんが、周囲からの恨みや怒りを買って、敵をつくってしまうことになってしまいます。そこまで酷くなかったとしても、仕事上でのコミュニケーション、特に挨拶が雑だったりすると、やはりいい感じはしないでしょう。
組織の内側を知る協力業者の人たちから恨みや怒りを買うような組織風土で、社員が幸せな会社をつくることなどできません。組織の内側を知ってもらっている協力業者の人々から「あそこの企業さんとお付き合いできて有難い」と、感謝されたり、見本・手本とされたり、尊敬を得たりと、仕事の関係以上のものがあり、末永く共に歩める関係性を築いていくことが大切です。

関係企業は協力業者だけではない

実は関係企業で働く人々の幸せには、協力業者の人々以外にも重要な人々がいます。それは同業他社の人々です。競争社会の中で、同業他社を追いやってでも成功を収めようとする組織では、社員が本質的に幸せになることはありません。そう言えるのはなぜでしょうか。
筆者はよく、「一番よりも、一流を」目指す組織をつくりましょう、と伝えています。一番は競争相手をつくります。抜きつ抜かれつシェアを奪い合うといったやり方は、社外に敵をつくるだけでなく、自社の人間を心身ともに疲弊させてしまいます。同業他社を競争相手と捉える組織は、周囲からも同様に扱われますし、そのような競争の末にあるのは概ね価格の値下げ競争です。
値下げ競争は多くの人が泣きを見ます。仕入れや下請けの協力業者は値段を叩かれますし、自社の人間も低賃金を強いられます。値下げ競争は、シェアの奪い合いだけにとどまらず同業他社のつぶし合いになることもありますので、「儲からなくても、相手を追いやれるなら......」と、業界商品に安物を多く流通させてしまう場合さえあります。同業他社と敵対関係になって、幸せな会社をつくることはとても困難なことなのです。

地域社会で関わる人々の幸せ

地域社会で関わる人々、と言うと「なんだ、お客様のことじゃないか。『3.お客様の幸せ』と、どう違うんだ?」と思う人もいるかもしれません。それはおそらく飲食店などの接客業や小売業といった仕事をされている方々ではないでしょうか。
ここで言う地域社会で関わる人々とは、直接的なお客様というよりかは、たとえばタクシーの運転手さんや、直接のお客様ではない地域住民の方々です。たとえば、高度成長期の時代では工場の建設に伴って地域の環境破壊・環境汚染があったりして、住民からの反対運動がありました。今ではそのようなニュースを聞くことはありませんが、昔のようなケースとまではいかないにしても、自分たちの会社がその地域にあることによって、地域の人々から感謝を得られるような、そんな組織でありたいものです。
大きな組織であれば、大規模なボランティア活動やメセナ(芸術・文化)活動に取り組んでいる所もありますが、それができる組織ばかりではありません。しかし、今の自分たちに現実的にできることに取り組むことで、地域の人々から慕われる組織づくりは可能です。
地域社会で関わる人々の幸せに貢献している企業かどうかは、その土地に行くとすぐにわかります。地元地域の人々から「さん付け」で呼ばれる組織は、地域社会で関わる人々の幸せに貢献している組織です。たとえば、タクシーに乗ったときに運転手さんが「○○さんはね......!」と、企業のことを「さん付け」で、自分の会社のように自慢をされるのです。

【社員が幸せな会社をつくるために大切な5つの幸せ】ですが、これは業種業態によって違いが出てくる場合もあることでしょう。しかし、たとえ違いがあったとしても共通するのは「自分さえ、自分たちさえ幸せだったら、それでいい」という考え方のもとでは、幸せな会社はつくれないということです。自分たちの組織にとって、どのような人々が関わっているのかを、今一度考える機会を持ちましょう。

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延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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