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ネガティブ思考を改善し、自己効力感を高める方法とは?

2021年4月22日更新

ネガティブ思考を改善し、自己効力感を高める方法とは?

「配属された職場での人間関係がうまくいかない」「仕事で失敗したらどうしよう」――新入社員が入社して1カ月を経た頃に心身の不調を訴える「5月病」はよく知られています。しかし、変化が激しく高いストレスにさらされる現代社会においては、誰もがネガティブ思考に陥る能性があります。そこで本稿では、ネガティブ感情をコントロールし、自己効力感を高めて、レジリエンスを身につける方法をご紹介します。

※参照:PHP人材開発「レジリエンスの高め方」

INDEX

自信喪失の人が増えている

自信がない人が増えている

みなさんは新入社員や若手社員に「無理です!」と仕事を断られて唖然としたという経験はありませんか? できるかどうかはチャレンジしてみないとわからないのですが、自信がもてず、失敗を恐れて挑戦しない若者が増えているという話をよく耳にします。一方、彼らを指導する上司や先輩のなかにも、過去の自分たちとは考え方も行動も違うイマドキの若者の扱いに困り、自信を喪失している人がいます。

さらには、リーダー層であっても、自信がもてない人が増えているといいます。変化が常態化した先行き不透明な経営環境において、過去の経験則が生かせない状況で判断を下すのは容易ではありません。結果として何も決められずに先延ばしにするということになるのかもしれません。
自信に欠けると仕事もキャリアも前に進まず、心理的にも沈滞・停滞状態に陥って、心が折れやすくなります。レジリエンスが弱くなるのです。すると好機がやってきても、失敗を恐れて現状維持を選択してしまい、人生がもたらしたチャンスに後ろ向きになってしまうのです。

自信を失わせる「ネガティブ感情」とは?

こうした自信喪失の背景には「ネガティブ感情」の存在があります。その負の感情が私たちの足を引っ張り、勇気ある一歩を踏み出せなくしているのです。
ネガティブ感情は、次の4つに分類することができます。

(1)不安
否定的な未来を予測しているときに発生する感情

(2)恐れ
自分の手に負えず、失敗することに脅威を抱く感情

(3)憂鬱感
自分は役に立たないという自己否定から生まれる感情

(4)無力感
自分では何も変えられないという悲観的な予測から生まれる感情

さらに問題となるのが、ポジティブな感情は忘れやすく、ネガティブな感情は何度も反芻してしまう「ネガティビティ・バイアス」という人間の性質です。レジリエンス(=困難な環境に適応して再起する力)を鍛えるためには、このネガティブな感情をコントロールし、ポジティブな感情が豊富になる習慣を身につけていく必要があります。

ネガティブ感情をコントロールする方法

感情のコントロールができていないとき、人は誰でも問題のある行動をとってしまう危険性があります。例えば「怒りの感情」は「攻撃的な行動」を引き起こします。「恐れ」を感じると「逃避の行動」を起こします。「恥ずかしさ」を覚えると「隠遁行動」に走ってしまいます。「不安」が湧いてくると何らかの「回避行動」をとろうとします。このように、問題行動の裏側にはさまざまなネガティブ感情があるのです。

そこで、ネガティブな感情をコントロールする具体的な方法を紹介します。

(1)感情の「クールダウン」
強いストレスを感じたときには、「マインドフルネス呼吸法」で緊張を緩和します。ゆっくりと4秒くらいかけて鼻から息を吸い、やはり鼻から6秒くらいかけて吐きましょう。息の流れに意識を向けながら、これを3分間続けます。

(2)感情の「ラベリング」
ネガティブな感情が湧いてきたことに気づいたら、それがどういう種類の感情なのかを観察して名前をつけます(ラベリング)。「怒り」「不安」「恐れ」「罪悪感」「不満」「嫉妬」等々、感情の種類が判明したら、主導権が自分に戻ったような感覚が湧いてくるはずです。

(3)感情の「気晴らし」
呼吸法でクールダウンし、ラベリングで自分の感情を認識したあとは、何か気晴らしになるようなことをしましょう。

・体を動かす
ウォーキングなどの有酸素運動をすることで、感情が穏やかになり、気分が明るくなります。

・音楽を聴く
音楽を聴くと快感ホルモンのドーパミンが分泌され、ポジティブな感情にシフトします。自分で楽器を演奏するのも効果があります。

・静かに深く呼吸する
ゆったりと深呼吸をすることで、抗ストレスの秘薬と呼ばれるセロトニンが分泌され、不安やイライラが抑えられます。

・自分の気持ちを書く
そのときの感情や考えを文字に書くことで、ネガティブな感情が自分の外に出る効果があります。

7種類のマイナスの思い込み

ネガティブ思考を改善

「マイナスの思い込み」があると、心の中で自分に話しかける「自己対話」の内容がネガティブになりがちです。心理学で、「マイナスの思い込みは、たまたま自分の心に住み着いた犬のようなものだ」とする考え方があり、次の7種類に分類されています。

(1)正義犬
自分の中の正義を絶対視し、他人に対して「こうするべきだ」と強く考える傾向のこと。

(2)負け犬
ちょっとしたことで自己否定をして、「自分はダメな人間だ」と思いがちな傾向のこと。

(3)心配犬
将来のことを常に心配し、「失敗するかもしれない」と悲観的になりがちな傾向のこと。

(4)諦め犬
自分は無力だと思い、「手に負えない」「早めに諦めよう」と考えがちな傾向のこと。

(5)謝り犬
責任感が強いあまり、何でも「自分のせいだ」と思って罪悪感にさいなまれる傾向のこと。

(6)批判犬
常に周囲に不満を抱き、「自分は悪くない。〇〇のせいだ」と批判ばかりする傾向のこと。

(7)無関心犬
面倒を避け、「自分には関係がない」「焦っても仕方がない」などと開き直る傾向のこと。

思い込みに対処する方法とは?

頭の中が「思い込み」でいっぱいになると、それが自分の性格だと思い込みがちです。前述の通り「この思い込みは、たまたま自分の心に一時的に住み着いた犬だ」と考え、次のいずれかの方法で対処しましょう。

(1)追放する
後天的に刷り込まれた思い込みは、意志の力で手放すことができます。心の中で「〇〇犬」と自分とをつないでいる鎖をイメージし、その鎖から手を離して「もう自分の犬ではない」と宣言します。

(2)受容する
自分の中で「〇〇犬」が言っている内容が現実的であれば、素直な気持ちで受け入れるのも良い方法です。受け入れたあとは気にしないようにすれば、動揺が収まるはずです。

(3)訓練する・手なずける
追放することも受容することもできない場合は、「これからもつきあっていこう」と決意し、柔軟な姿勢で自分の「〇〇犬」を手なずけるよう努力します。別の見方・可能性を検討したり、発想の転換を図ったり、詳細に検証して変えられるものを変えたりするのです。

「根拠のある自信」は「自己効力感」から生まれる

自信

私たちは、ネガティブ感情をコントロールし、自信源となる心理をつくっていくことが必要です。自信には、例えば何かに初挑戦するときなど、気持ちに勢いをつけるために抱く「仮の自信」もあれば、過去の実績等に基づく「根拠のある自信」もあります。レジリエンスを高めるには、後者の「根拠のある自信」を確立することが不可欠です。

心理学において、自信を確立するためには「自己効力感」を身につけることが重要だ、という考え方があります。「自己効力感」とは、「価値ある目標に向かって、自分は業務を遂行することができると自己を信じること」と定義されています。さらに自己効力感が高い人が集まることで「組織効力感」が生まれるのです。

「自己効力感」を高める4つの要素

自己効力感を高めるには、主に次の4つの要素があると考えられています。

(1)直接的達成体験
自分が定めた目標を達成した経験を持つことで、次の困難な課題にも「自分ならできる」という見通しが強化されます。さらに忍耐強く逆境を乗り越えれば、より強い「自己効力感」が定着します。

(2)代理的経験
自分が直接経験していなくても、年齢や立場が近い他の人の目標達成行動を観察することで、「自分にもできる」という信念が生まれます。

(3)言語的説得
他の人から「君には能力がある」「君ならできる」と繰り返し励まされることで、「自己肯定感」を獲得することができます。

(4)生理的・情動的喚起
心身の状態が良好であること、前向きな気分になることで「自己効力感」が高まります。

これらの4つの要素の中で最も効果が高いのは(1)の直接的達成体験です。いかに自分でチャレンジをして、達成と成功の体験を積み重ねるかが大切になります。ほかの3つの要素と組み合わせることで、着実に自信を高める方法を考えていくことが大切です。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『レジリエンスの高め方入門コース』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

PHP通信ゼミナール『レジリエンスの高め方入門コース』はこちら

森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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