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職場におけるハラスメントの種類は? 企業への悪影響と具体的な対策も解説

2021年7月16日更新

職場におけるハラスメントの種類は? 企業への悪影響と具体的な対策も解説

パワハラ、セクハラ、マタハラ、ジェンハラ......職場におけるハラスメントは、すでに社会問題となり、人事管理上の重要テーマとなっています。そこで今回は、職場で起こりやすいハラスメントの種類や企業に与える影響や対策をまとめておきます。

INDEX

ハラスメントとは

意に沿わない言動で、相手に不快な感情を抱かせるハラスメント。近年は職場でのハラスメントが急増しており、問題はますます深刻化しています。

男女雇用機会均等法や育児・介護休業法など、雇用をめぐる法整備が進む中、2020年6月にはパワハラ防止法が施行されました。相談窓口の設置が義務化されるなど、企業におけるハラスメント対策の重要性はますます高まってきているといえるでしょう。そこで、まずはハラスメントにおける基礎知識を確認しておきましょう。

なぜ今、ハラスメント対策が必要なのか

働き方の多様化や社会情勢の変化、労働者の権利意識の高まりなどにより、さまざまなハラスメントがクローズアップされています。職場のハラスメント行為は昔からあったにもかかわらず、近年、大きな社会問題として表面化してきた理由としては、やはり労働・雇用慣行の変化があげられるでしょう。

従来の職場は年功序列や終身雇用の考え方が一般的でしたので、職場で嫌がらせを受けても我慢して働き続ける社員は少なくありませんでした。社員の雇用が守られていたこともあり、長期雇用を前提とした中で、ハラスメントが表面化することは少なかったといえます。

しかし、いまや雇用慣行は大きく変わりました。企業においてはかつてのような終身雇用は必ずしも前提とはいえません。社員の側も本業と副業を掛け持ちしたり、フリーランスとして働くなど選択肢が多い現代では、ハラスメントを我慢してまで会社にしがみつく理由が無くなってきているともいえます。

さらに、労働者の権利意識の高まりも見逃せません。かつては我慢して自主退職で済ませていた人も、ハラスメントが原因で辞めざるを得なくなった場合、泣き寝入りすることなく、企業の責任を追及するようになってきました。報道やインターネット、SNSの普及により、この傾向はますます拍車がかかっています。

昔の職場の感覚のままハラスメントを容認しているわけにはいかないのです。

ハラスメントの現状

厚生労働省の調査によると、令和元年における労働相談件数は118万件を超えていることが明らかになりました。このうちハラスメントにあたる嫌がらせ件数は、8万7,000件にのぼります。都道府県労働局などに設けられた総合労働相談コーナーでも、パワハラに関する相談件数が圧倒的に多くなっているのが現状です。

平成28年に実施された調査によると、過去3年間でパワハラを受けたことがあると答えた人は32.5%、職場でパワハラを見たり相談を受けたりしたことがある人は30.1%になることがわかりました。

ハラスメントとは「相手に不快な感情を抱かせること」

ハラスメントとは、相手に嫌がらせと見做される行為をし、不快な感情を抱かせることです。ハラスメントはその行為を行った者の考えには関係なく、行為を受けた相手が不快に感じるかどうかがポイントです。そのため、「悪気はなかった」「ただのジョークだった」など、行為者自身がハラスメントの加害者であることを認識していないことも少なくありません。

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職場で起こるハラスメントの種類

ハラスメントは多種多様なので、どのようなことが該当するのか分からないという人も少なくありません。そこで、職場(※1)で起こりがちなハラスメントの種類を確認していきましょう。

※1 職場とは、社員や従業者が通常働いている場所に加え、出張先や実質的には職務の延長と捉えられる職場主催の宴会なども該当します。

【パワハラ】パワーハラスメント

パワーハラスメントの略語であるパワハラ。同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

パワハラと聞くと、役員や管理職が権力を行使して部下に圧力をかけることだと認識する人も少なくありません。しかし最近では、「パワハラ」を部下が上司に対して行う、いわゆる「逆パワハラ」という事例も出てきています。上司への反抗や暴言、指示の無視、SNSでの誹謗中傷などで、上司の側が心を病んでしまうという事例も出てきています。

厚生労働省の取りまとめによると、パワハラは6類型に分かれます。この6類型は、裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づいて分類されたものです。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

身体的な攻撃

蹴ったり殴ったりなど、直接危害を加えるパワハラが「身体的な攻撃」型です。例えば、報告書を提出したときに上司から「なんだ、この数字は」と灰皿を投げられ、額に血が流れるほどの怪我をした、などの事例があります。直接蹴ったり殴ったりする行為はもちろん、物を投げるなど相手に危害が及ぶ行為も身体的な攻撃に該当します。

精神的な攻撃

職場で大勢の社員がいる中で人格を否定するような言葉を毎日のように浴びせられる、など侮辱や名誉毀損、暴言で精神的に攻撃するパワハラは「精神的な攻撃」型です。また、人格を否定する言動には、LGBTや性的アイデンティティに関することも含まれます。たとえ行為者が特定の相手に対する発言でないように見えても、客観的に見て特定の相手に行われている状況も該当します。

人間関係からの切り離し

職場での隔離や仲間外れ、無視など特定の個人を疎外するようなパワハラが「人間関係からの切り離し」型です。例えば、仕事のやり方で上司と意見が対立し口論になったあと同僚や後輩に話しかけてもまったく相手にされない状態が続く、などの事例があります。そのほかにも特定の業務から外されたり別室に隔離されたりすることも、「人間関係からの切り離し」型に該当します。

過大な要求

業務上明らかに必要ないことや遂行が困難な業務を押し付けるパワハラが、「過大な要求」型です。例えば、新入社員でまともな教育や研修が行われないまま対応しきれないレベルの業務を与えられ、目標達成できなかったことに対して上司から叱責された、などの事例があります。また、上司が抱えきれないほどの業務をあえて指示しているのも「過大な要求」型に含まれます。

過小な要求

個人の能力を無視して、経験と大きくかけ離れた程度の低い雑用を命じるパワハラが「過小な要求」です。例えば、管理職であるにもかかわらず上司から新入社員が行うような業務ばかり指示されている、などの事例があります。さらに悪い場合は業務をまったく与えず、ただひたすら席に座っておくように命じられるといった事案もあります。「過大な要求」型とは、真逆のパワハラです。

個人の侵害

プライベートなことに過度に立ち入るパワハラが「個人の侵害」型です。仕事とうまく両立するために親の介護や妊活など個人情報を上司に打ち明けたところ、本人の了承なく勝手に職場の同僚に言いふらされた、などの事例があります。また職場以外でも個人的に監視したり写真で撮影したりすることも「個人の侵害」型に含まれます。

【セクハラ】セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントの略語であるセクハラ。職場におけるセクハラは、職場において相手の意に反する性的な言動や発言で、相手の尊厳を傷つけたり就業環境を害して能力を発揮できなくなり不利益を受けることをいいます。

セクハラと聞くと男性が女性に対して行うイメージが強いですが、女性から男性、同性同士といったセクハラの事例も増加しています。

職場におけるセクシュアルハラスメントには「対価型」と「環境型」があります。

対価型セクシュアルハラスメント

「対価型セクシュアルハラスメント」とは、相手の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、不利益な配置転換などの不利益を受けることです。具体的には「事業主が社員に対して性的な関係を要求したが拒否されたため解雇した」「上司が部下の腰、胸などに触ったが、抵抗されたため不利益な配置転換をした」といったことがあげられます。

環境型セクシュアルハラスメント

「環境型セクシュアルハラスメント」とは、相手の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業する上で看過できない支障が生じることです。具体的には「職場や取引先などに性的なうわさを意図的、継続的に流されて、仕事がしにくくなった」「事務所内にヌードポスターを掲示したり、猥褻な会話が頻繁に飛び交うなど、社員が苦痛に感じて業務に支障が出ている」といったことがあげられます。

【マタハラ】マタニティハラスメント

マタニティハラスメントの略語であるマタハラ。妊娠中や出産間近、子育て中に女性に対して嫌がらせを行うことをいいます。

具体的には、女性社員の解雇や雇止め、降格など職場の上司から不利益な扱いを受けることです。このような行為は、労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの法律でも禁止されており、企業は防止処置を行うことが義務付けられています。

制度利用の嫌がらせ型マタハラ

出産や育児に関する社内制度の利用を申し出たときに、当事者が諦めざるを得ないような言動で疎外するハラスメントが「制度利用の嫌がらせ型マタハラ」です。例えば、産休の取得を上司に相談したら「もう子育てに専念したら?」と執拗に退職を促されたなどの事例がこの典型です。社内制度は、社員が利用できる資格があるにもかかわらず阻害される行為です。

勤労環境の嫌がらせ型マタハラ

出産や育児などにより、勤労状況が変化しことに対して嫌がらせを行うことが「勤労環境の嫌がらせ型マタハラ」です。例えば、「育児中は子どもを理由にいつ休むか分からないから責任ある仕事は与えない」と言われ雑用ばかり任せられる、などの事例があります。また上司だけでなく、同僚からも「一緒に働きづらい」と言われ精神的に落ち込み業務に支障が出る状態も「勤労環境の嫌がらせ型マタハラ」に該当します。

【パタハラ】パタニティハラスメント

パタニティ(paternity:父性)ハラスメントの略語であるパタハラ。子育てを理由に育児休暇や時短勤務を申し出た男性社員に対して行動を非難したり、不利益な扱いをしたりすることをいいます。具体的には、「男が育休など信じられない」「次の昇進は見送るぞ」などの言葉もパタハラに該当。子育ては女性だけがするものではないことを自覚する必要があります。

パタハラが増加傾向にある背景

昔は、夫は会社で働き、女性は家事や育児で家を守るのが当たり前という考えが根強くありました。家族の大黒柱である父親が、自ら家事や育児に参加することは稀だったのです。ただ女性の社会進出が著しくなり、以前に比べ共働き世帯も増加しました。その結果、父親も育児や家事への参加が求められるようになりました。こうした背景を受けて設置をされた育児休業制度を男性が申し出たにもかかわらず、意識の変わらぬ職場では非難や不利益を得るなどパタハラが増加する要因になっています。

パタハラとマタハラの違いは?

パタハラとマタハラは、妊娠や出産、育児に関するハラスメントであることは同じです。しかし、ハラスメントを受ける対象が異なります。例えば、パタハラは男性が育児に参加するために制度を利用することに対し嫌がらせを受けることです。一方、マタハラは女性の妊娠や出産、育児が業務に支障をきたすとして職場で嫌がらせを受けることをいいます。

【ジタハラ】時短ハラスメント

時短ハラスメントの略語であるジタハラ。残業時間を少しでも減らすために、社員に対して具体策も示さずに帰宅を強いるようなハラスメントをいいます。多くの企業では残業を減らすための対策が行われているのが現状です。ただ膨大な業務があるにもかかわらず、ただ退社を強いれば「サービス残業」をする社員も出てきます。残業を減らす取り組みは個人の努力だけでどうにかできるものではなく、本来は企業が必要なリソースを準備するなど対策を講じなければなりません。

ジタハラが増加傾向にある理由 

ジタハラが増加した主な理由は、政府が推奨する働き方改革が大きく影響しています。働き方改革が発表されたあと、多くの会社は残業時間の削減に努めるようになりました。ただ中には、業務を就業時間内に終わらせるための具体的な対策もないまま、「残業せず退社しろ」「業務時間が減っても成果は上げろ」などと圧力をかける企業もあります。上司の曖昧な指示に従うしかない社員は、精神的にも隠れ残業などで結局ストレスを抱えることになるのです。

ジタハラに関する法律はある?

ジタハラに関する法律はありません。しかし、状況によっては2019年5月に施行された「パワハラ防止法」に触れる可能性があります。ジタハラに該当する行為が見られたときは、企業はパワハラ同様の法的リスクを負うことになるかもしれません。パワハラ防止法による罰則規定は明確に設けられていませんが、場合によっては訴訟に発展することもあります。

【ジェンハラ】ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメントの略語であるジェンハラ。性に関する固定概念や差別意識に基づいて相手を非難したり、強要したりなど嫌がらせ行うことをいいます。

ジェンハラと言われる行為がハラスメントと認識されるようになったのは、女性の社会進出やLGBTなどセクシャルマイノリティの権利などの啓発という国際的な取り組みが注目された結果といえます。職場では、固定観念的な性差をもとにした役割「男らしさ」「女らしさ」を求めた言動がジェンハラにあたります。

職場で起こるジェンハラの具体例

ジェンハラは「男らしさ」「女らしさ」の昔からの役割や差別的な固定観念に基づくもので、「男性なのに」「女性なのに」が前置きとして使われます。具体的な例としては、「子供産まないの?」「なぜ重い荷物を持てないの?男なのに情けない」などさまざまです。ジェンハラは異性間だけでなく、同性間でも起こります。例えば、男性の上司から「男なのに弱音を吐くな」、女性の先輩から「女性なのにお茶も出せないの?」と言われることなどが挙げられるでしょう。

ジェンハラとセクハラの違いは?

セクハラは性的な言動により嫌がらせを行うことで、主に男女間で起こりやすいハラスメントです。一方、ジェンハラで被害が起こるのは男女間だけではありません。女同士や男同士など同性間でもジェンハラは起こります。また、LGBTに対する言動の嫌がらせもジェンハラに該当します。「気持ち悪い」など傷つくことを言われたり部署を変えられたりすることが含まれます。

【ケアハラ】ケアハラスメント

ケアハラスメントの略語であるケアハラ。働きながら介護する相手に対して行う嫌がらせや不利益を与える行為のことをいいます。ケアハラは、家族の介護で残業できたかったり介護休業の申し出をしたりする状況下で起こりがちです。

ただし介護休業は社員の正当な権利なので、意図的に阻害した場合は法令違反の対象になります。

心ない発言でダメージを与える

介護が始まると、時には早退して自宅に戻らないといけないこともあります。その結果、介護休暇や時短勤務の必要に迫られることも少なくありません。そんな介護する当事者の気持ちを無視して「介護休暇を取られるのは迷惑」「自分ならそんな選択はしない」など心ない発言をします。当事者は「職場で迷惑をかけて申し訳ない」という気持ちを抱えながら働いているので、心ない発言で精神的なダメージを受けることになるのです。

不当な異動・配置転換や降格をさせる

介護休暇や時短勤務を申請することは、社員の権利です。正当な理由で介護休暇や時短勤務の相談をしているにもかかわらず、業務時間が減少することを理由に、配置転換や降格させられることはケアハラに該当します。また、場合によっては過剰な業務を課して精神的に追い込み、退職を誘導するように働きかけるような行為もケアハラと言えます。

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職場でハラスメントが起こる理由

職場でパワハラやセクハラ、ジェンハラなどハラスメントが起こるのは、さまざまな理由があります。厚生労働省が平成24年に調査した「職場のパワハラに関する実態調査報告書」によると、約半数以上の人がハラスメントが起こる理由にコミュニケーション不足と回答しています。

ただ、コミュニケーション以外にも、社員間の認識の差、雇用形態の多様性、モラルの欠如などさまざまな原因が考えられます。ここからは、職場でハラスメントが起こる理由を見ていきましょう。

一人ひとりの認識の差

職場の仕事では、社員全員が同じ目標に向かって業務を遂行することが求められます。チームとして一体感を高めることで市場に価値のある商品やサービスが提供され、企業に大きな利益を生むからです。ただ仕事から離れると、同じ職場で働く同僚は一人ひとり異なる価値観や考えを持っています。ハラスメントの種類を問わず、加害者のなかには、自分が相手に不快な思いをさせていることを自覚していない人も少なくありません。これは、ハラスメントにおける認識の差だといえるでしょう。

雇用形態が多様化

従来に比べて、現代は派遣社員やパートなど雇用形態が多様化しています。企業が派遣社員を積極的に採用するのは、人権費削減や即戦力の採用などが主な理由になります。ただ職場では「社員が対等に扱ってくれず働きづらい」と感じる派遣社員やパートも少なくありません。また男性が多い職場では、「女性は補助的な仕事をするもの」という古い風土がハラスメントを増加させる要因になっていることも多いのです。

モラルの欠如

社員自身のモラルが欠如しているという指摘もあります。社会全体の自信喪失と閉塞感の広がり、ストレスフルな職場環境など、これにはさまざまな要因が考えられます。「いまどきの若い者は......」ということがよくいわれますが、自分の思い通りにならない部下を無視したり、優秀な部下の成長を邪魔して嫌がらせに走るなど、管理職側のモラルの低下は大きな問題といえるでしょう。

マネジメントにおける能力不足

職場でハラスメントが増加する理由に、管理職のマネジメント能力が不足していることもあげられます。マネジメントの意義を正しく理解できていない管理職は、不当な評価や無謀な目標設定、感情的に怒鳴るなどハラスメントに繋がる言動をとりがちです。職場では周囲と信頼関係を築けなくなるため、相手にハラスメントと受け止められやすくなり負のループに陥ります。

職場のコミュニケーションの低下

ITの発展によりメールやSNS、ビジネスチャットツールなどコミュニケーションの取り方も多様化しました。手軽な反面、直接顔を合わせて話す機会が減少しており、職場ではコミュニケーションが希薄になっているのが現状です。こうした状況下で業務が効率的に進まず、社員同士の不満や誤解が生じやすく、ハラスメントが起こりやすくなっている現状もあります。

ハラスメントが企業に及ぼす悪影響

パワハラやセクハラなどハラスメントは個人の問題ではなく、現代は企業の責任であると認識されています。また労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など法整備が進む中で、企業もそれらを遵守して、必要な対策を行わなければいけません。

それでは実際に職場でハラスメントが起こってしまった場合、企業はどうなるのでしょうか。ハラスメント発生が企業に及ぼす悪影響を見ていきましょう。

企業イメージが悪くなる

パワハラやセクハラなどハラスメントは、今や社会的な問題になっています。近年は、SNSなど個人で情報を拡散できるツールも増えているので、悪い評判はすぐに広まります。SNSから拡散された情報は、その後メディアで大々的に取り上げられることになるかもしれません。取引先にも悪い評判は広まりますから、顧客離れがすすみかねません。市場での不買運動などにつながれば、その損失は甚大です。

職場の生産性が低下する

職場でハラスメントの相談があった場合、被害者や加害者はもちろん、会社側も対応に追われることになります。本来遂行しなければいけない業務に手をつけられなくなることもあります。また、職場全体の雰囲気も著しく悪くなります。その結果、社員のモチベーションやエンゲージメントが低下しますから、生産性も下がり、業績への悪影響が懸念されます。

優秀な社員が会社を辞める

ハラスメントが職場で表面化すると、優秀な社員の離職にもつながりかねません。当たり前のことですが、ハラスメントが横行する会社で働きたいという人はいません。特に優秀な人材は簡単に転職したり、独立したりできますから、迷わず退職を選択することになるでしょう。

人材採用に費用と手間がかかる

職場のハラスメントが表面化し、人材の流出が相次げば、新たな採用を行わなければなりませんん。しかし、近年は少子高齢化で若い世代の働き手自体が減少しているので、事はそう簡単ではありません。しかも、「ハラスメントがある会社」「ブラック企業」などのレッテルを貼られてしまえば、多額の費用と時間をかけても、採用活動はうまく進みません。

法的責任、損害賠償のリスクがある

ハラスメントを受けた被害者は、企業に対して使用者責任や安全配慮義務違反、職場環境配慮義務違反による債務不履行責任として、損害賠償を求めることになります。不幸にしてハラスメントが原因でうつ病になり、自殺にいたってしまったりすれば、請求金額も高額になる可能性があります。

職場のハラスメント対策

それでは、最後に、企業としてどのような対策をすすめればよいかを整理しておきましょう。厚生労働省からは「パワーハラスメント対策導入マニュアル」が公表されていますが、その内容はすべてのハラスメント防止に役立つものですので、そのエッセンスをみていきましょう。

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会社の方針を明確にする

まずは、企業のトップが「職場におけるパワハラは絶対に許さない」という宣言をするところからはじめます。社員に伝えるときは、なぜパワハラを防止することが重要なのか、その理由もトップ自身の言葉で伝えることが大切です。

具体的なルールを決める

就業規則に禁止事項や処分に関する規定を明文化します。社員全員が理解できるように具体的かつ分かりやすい内容にしてください。そのうえで、内容を全社員に共有します。人事通達で流すだけでなく、きちんとした説明会を実施してください。行動規範、クレドなども検討してみて下さい。

社内アンケートで実態を把握する

社内アンケートなどにより、職場にハラスメントはないか、実態を把握しましょう。より正確な実態を把握するために、匿名でのアンケートにすべきです。アンケートを配布するときは相談窓口も合わせて伝えましょう。安心して相談できる場所があることを社員に共有することをおすすめします。

継続的な研修(啓発活動)を実施する

企業のトップが会社の方針を示したり就業規則にハラスメントに関する規定を盛り込むと同時に、社員にハラスメントに対する正しい理解を促す研修、啓発を実施します。ともすれば「自分には関係ない」と考えがちなハラスメント問題ですが、「だれもが被害者、加害者になり得る」ということをくりかえし訴え、定期的な啓発・研修を行うようにします。管理職と一般社員は一緒に研修を行うほうが効率的ですが、階層別に実施するほうが、よりきめ細かい研修が実施できるでしょう。また、ハラスメントに関する相談窓口となる社員には、コミュニケーションのスキルなど、特別な研修を実施することをお薦めします。

気軽に相談できる場を設ける

会社として信頼できる相談窓口を提供することも大切です。ハラスメントは早めに対処することで被害を最小限に抑えることができます。しかし、ハラスメントで悩んでいる社員の中には、相談することで状況が悪化しないか、不安に感じる人が大半です。「相談者の秘密は守られる」「不利益な扱いは受けない」ということを、しっかり周知しておくことが重要です。

行為者には再発防止研修を行う

不幸にしてハラスメント問題が発生した場合は、被害者や加害者に話を聞き、配置転換など人事措置をとることになります。このとき、加害者には再発防止の研修を行うことが不可欠です。 パワハラの加害者は、自分の言動によって相手を傷つけていることがわかっていないことも少なくありません。再発防止に向けて、加害者にパワハラの正しい理解を促します。

まとめ:ハラスメント防止のための体制整備と社員への研修啓発を

以上、職場で起こるハラスメントの種類、企業への悪影響、対策の基本について整理してきましたが、いかがでしょうか。

ハラスメントを防止するためには
①会社としてハラスメントを起こさない環境・体制を作ること
②ハラスメントについての正しい理解を促すこと(研修啓発)
この両面からのアプローチが必要不可欠です。

そして、研修啓発では以下の3点が重要になります。
①ハラスメント関連の知識を得る
②ハラスメント防止のための社の体制を知る
③個人レベルでの対策に落とし込む

人事労務管理担当としては、一過性の研修で終わらせるのではなく、「働きやすい職場づくり」という観点から、ハラスメント問題に対応していくことが求められています。

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