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部下のやる気が上がらない! そんな時に役立つ「ペップトーク」とは?

2022年1月16日更新

部下のやる気が上がらない! そんな時に役立つ「ペップトーク」とは?

企業の現場のやる気のレベルは生産性の高低に影響を与えます。したがって、現場を構成する一人ひとりのやる気を高めることは、重要な経営課題の一つと言えるでしょう。そこで本稿では、モチベーションの構成要素を明らかにすると同時に、やる気を高める「ペップトーク」という言葉かけの手法をご紹介します

INDEX

急速に低下する日本人のやる気

各種調査結果から、国際的に見て日本の従業員のやる気の低さが際立っていると指摘されるようになりました(※1)。実際、研修の現場に身を置くと、自らの「やる気が上がらない」ことに言及する受講者が年代・性別を問わず、非常に多いことがわかりますし、その数がコロナ感染拡大前に比べて急速に増えている印象を受けます。
かつて日本企業の強みであった、従業員の勤勉性とそれを支えたやる気の高さが、今では完全に崩壊してしまった感があります。

※1 米国「ギャラップ社」が実施したエンゲージメントの国際比較調査(2017)等

参考記事:PHP人材開発「モチベーションとは? 上げる方法やマネジメントの在り方を解説」

やる気と生産性の関係

やる気は生産性と密接な関係があります。コンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」の調査によると、やる気の高い社員は、やる気の低い社員に比べて生産性が2倍超高いとされています。
国際競争力が著しく低下してしまった今、生産性の向上はすべての日本企業の課題です。生産性向上のためには、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やCX(コーポレート・トランスフォーメーション;経営の根本的な変革)も重要ですが、それらは相応の投資と時間が必要です。
そう考えると、働く一人ひとりのやる気を高めることは手っ取り早く、即実行に移せる効果的な取り組みと言えます。

モチベーションの源泉

やる気を高めるための「動機づけ」(モチベーション)に関する研究は、さまざまな観点から取り組まれてきた、経営学の主要トピックです。そうした諸研究から得られた知見では、モチベーションの源泉には「外的要因」(物的報酬)と「内的要因」(心理的報酬)の2種類があるとされています。戦後復興期に比べると物質的な豊かさを享受できている現在は、外的要因よりも内的要因のほうがモチベーションに与える影響は大きいと言われます。
従って、企業の現場で従業員のやる気を高めるためには、感謝される経験を通じて仕事の意義を感じさせたり、自らの成長を実感させるなどして、「貢献感」や「成長実感」「自己肯定感」といった心理的報酬を得られるような働きかけを行うことが重要になります。

短時間でやる気を高める「ペップトーク」とは

心理的報酬を与え、やる気を高める具体的な手法に「ペップトーク(Pep Talk)」があります。ペップトークとは、相手を励ますために行う、短い激励のメッセージのことで、もともとスポーツの世界で確立された手法です。

ペップトークは以下の4つのステップで構成されます。

ペップトークの4ステップ

(1)受容:相手の感情や状況を受け入れる
「プロジェクトリーダーに任命されたけど、不安に思っているようだね」
(2)承認:受け入れた事実をプラスの表現に転換する
「でも、それは『会社の期待に応えたい』という君らしい、誠実さの表れだね」
(3)行動:とってほしい行動を促す
「何でも自分でやろうとせず、みんなの協力を得ながら一歩ずつ前進していけばいいんだよ」
(4)激励:相手を送り出す
「大丈夫、君ならきっとできるよ! 私がいつもサポートするから」

以上の4つを組み立てることで、相手のやる気を引き出したり、元気づけることができるのがペップトークの特徴です。余計な言葉をそぎ落とし、簡潔にメッセージをまとめるので、相手も理解しやすく受け止めやすくなるのです。

上司・指導者の愛情・思いの大切さ

ただ、誤解しないでいただきたいのは、上記ステップを組み合わせさえすれば、相手を動機づけられるわけではないということです。
4つのステップを意識しながらも、それぞれのメッセージに自らの「思い」をのせなければ、相手の心を動かすことはできません。もっとも大切なものは、相手に成長してほしいという上司・指導者の愛情です。その愛情・思いを4つのステップにのせたとき、ことばは「言霊(ことだま)」となって相手をやる気にさせる力となるでしょう。

PHPの人づくり・組織づくり

的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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