階層別教育のご提案

公開セミナー・講師派遣

通信教育・オンライン

DVD・テキスト他

個人と組織のつながりをつくるマネジメント~考え方と実践方法

2021年1月12日更新

個人と組織のつながりをつくるマネジメント~考え方と実践方法

昨年来、加速しつつある「副業解禁」の動きや、「業界を越えた出向・転籍」が当たり前の時代になってくると、従業員と所属組織との精神的なつながりが希薄化する恐れがあります。 組織をマネジメントする上で強い遠心力が働いている状況下では、それ以上の求心力を生み出して個と組織をつないでおかないと、みながバラバラになりかねません。
そこで本稿では、つながりをつくるマネジメントについて、その考え方と具体的な実践方法について考察いたします。

個人と組織のつながりをつくる「平等の法則」

つながり、特に精神的なつながりとは、組織に対する帰属意識のことです。ビジネス書として異例の大ヒットを収めた『キリンビール高知支店の奇跡』(講談社α新書)の著者・田村潤氏(キリンビール・元副社長)は、経験知に基づく一つの持論をもっています。それは、帰属意識を高めるための「平等の原則」という考え方です。

社員のやる気を引き出す原動力は帰属意識だ。帰属意識を高めるためには、上司と部下がもっている情報量を同じにすることだ。意見の相違は、お互いのもっている情報量の差から生じることが多い。だから、部長や課長がもっている情報量と、末端の新入社員がもっている情報量を平等にしてあげることだ。私はこのやり方で、部下たちの帰属意識を高め、やる気を引き出してきた

PHPゼミナール「経営道コース」における講義(2017年11月)での発言

そんな田村氏のマネジメントを当時の部下たちはどのように受け止めていたのでしょうか。キリンビール高知支店で、田村氏と一緒に仕事をしていた部下の一人にIさんという女性がいます。営業事務係として入社したIさんの仕事といえば、お茶出しやコピー取りなどの補助的業務ばかりであり、本人も「自分の仕事はこの程度のものだ」と思っていました。

ところが彼女が入社2年目の時に、田村氏が支店長として高知支店に赴任してから様相が一変します。新支店長の田村氏は、全メンバーに支店の方針や課題を丁寧に説明すると同時に、一人ひとりに対する期待を伝えていきました。そこで初めてIさんは、「人として、キリンビール社員として、戦力として認められた。自分はチームの一員なんだ」と感じ、「なんとなく仕事をしていた私の仕事に対する姿勢が変わった」と述べています。 

それからのIさんの変化は凄まじい。営業事務という役割にとどまらず、直接的に顧客に価値を提供するような業務や提案をどんどんしていくようになります。結婚退職後も、地元で子育て支援サークルを立ち上げるなど、キリンビール時代に学んだことをその後の人生でも活かし切っているのです。

【上司―新入社員】相互の報連相

部下がもっている情報を上司が求めるように、部下もまた、上司がもっている情報を知りたがっているのです。先日、若手社員のリーダーシップ行動を分析するため、4名の若手ビジネスパーソンに集まっていただき、インタビューをする機会がありました(※)。

あるベンチャー企業に所属する入社4年目の男性に対して「上司に何を求めるか?」と質問したところ、「上司の考えているビジョンやもっている情報をオープンにして共有してほしい。なぜならば、上司が考えていることがわかれば、部下としてどんな提案や動き方をすればいいかが見えてくるから」という意見を述べてくれました。

上司がもっている情報の中には、人事情報を含めて部下に開示できない性質のものも当然あるでしょう。しかし、それらを除外しても上司-部下間で共有しても問題がない情報は意外と多いのではないでしょうか。それらを開示することが、部下たちに「自分はこのチームの一員なんだ」という自覚をもたせたり、「上司の方針にそって、自分がやるべきことをやろう」という主体性を生み、つながりが強化されていくのです。

これまでの常識を手放し、組織における報連相を「下から上」への一方通行ではなく、「上から下」への双方向の流れも作ってみてはどうでしょうか。

※ 立教大学経営学部でBLP(ビジネス・リーダーシップ・プログラム)の授業を受けたOB4名が、現在各企業でどんなリーダーシップを発揮しているかを調査する目的で実施した座談会形式のインタビュー(2020年12月20日、於:PHP研究所東京本部

PHPの公開セミナー・オンラインセミナーはこちら

的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

新着記事企業は人なり~PHPの人づくり・組織づくり

  • 公開セミナー
  • 講師派遣・研修コンサルティング
  • 通信教育
  • eラーニング
  • DVDビデオ教材