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リーダーシップスタイルの6類型とは?

2022年11月 7日更新

リーダーシップスタイルの6類型とは?

リーダーシップのスタイルは、これまで、多くの学者によって類型化が試みられてきました。ここでは、さまざまなリーダーシップ論をもとに、これからのリーダーの在り方を解説します。

INDEX

リーダーシップのスタイルとは?

組織成果を上げるためには、すぐれたリーダーシップの存在が不可欠です。しかし、職場を取り巻く環境の変化や、働く一人ひとりの価値観の多様化などを背景に、求められるリーダーシップのあり方は常に変化しています。

リーダーシップとは「人や組織をある方向に動かす力」と定義することができます。組織が生み出す成果の質に大きな影響を与えることから、リーダーシップ研究は経営学の主要な研究テーマとなりました。中でも、リーダーシップの類型化は、多くの識者が研究を試み、さまざまな主張が展開されてきたテーマの一つです。

クルト・レヴィンの主張

ドイツ出身の社会心理学者クルト・レヴィンは、リーダーシップのスタイルを3つに分類し、それぞれの特徴を明らかにしました。

(1)専制型リーダーシップ
独裁者タイプ。短期的には他の類型よりも高い生産性をあげることができる

(2)民主型リーダーシップ
メンバーとよく話し合い、物事を進めていく。長期的には生産性があがる

(3)放任型リーダーシップ
組織のまとまりもなく、メンバーの士気も低く、仕事の量・質とも最も低い。

ダニエル・ゴールマンの主張

一方、「EQ」(こころの知能指数)という概念を提唱したことで知られるダニエル・ゴールマンによると、リーダーシップには6つのスタイルがあるとされます。

(1)ビジョン型リーダーシップ
組織が目指すビジョンを明確に提示し、進む方向を正しく導いていくスタイル

(2)コーチ型リーダーシップ
チーム一人ひとりの能力・意欲を尊重するスタイル

(3)関係重視型リーダーシップ
メンバー間の関係性向上を重視するスタイル

(4)民主型リーダーシップ
メンバーの意見や提案を広く聞き入れ、全員参加のチームをつくるスタイル

(5)ペースセッター型リーダーシップ
リーダー自らが成功イメージを示すスタイル

(6)強制型リーダーシップ
強制力を使って目的を果たすスタイル

参考記事:なぜ変革が難しいのか。変革型リーダーシップの要諦とは?│PHP人材開発

外発的なリーダーシップの限界

2人の権威が主張する、さまざまなリーダーシップスタイルをご紹介しましたが、どのような状況でも機能する唯一絶対のスタイルがあるわけではありません。外部環境や組織の状態、リーダーの個性に応じて、最適なリーダーシップスタイルが決まるのです。
ただ、昨今の社会情勢の変化や、働く人びとの勤労観の多様化等を鑑みると、「専制型リーダーシップ」や「強制型リーダーシップ」が機能する場面が少なくなっています。目標が明確で、経済が右肩上がりの成長をしていた時代には有効であった「外発的な力を行使して人を動かす」のが難しくなってきているのです。
つまり、今、求められているのが、「内発的な意欲を引き出して人を動かす」リーダーシップなのです。

参考記事:リーダーシップ開発のための4つの視点と経験学習サイクル

ヴァルネラビリディとは?

そのようなリーダーシップ発揮のために参考になるのが、「ヴァルネラビリティ」(Vulnerability)という概念です。ヴァルネラビリティとは、脆弱さを意味する用語ですが、リーダーシップの文脈では「心をオープンにして、自分の感情や弱さを見せること」を指します。

小学校を4年で中退した松下幸之助(PHP研究所創設者・パナソニックグループ創業者)は、日常会話の中で知らないことばが出てきたとき、臆することなく、その意味を周囲の人に聞いていました。(例:「君が言う『グループ』とは、どういう意味や?」) そして、質問された従業員たちは、幸之助に対する親近感が高まると同時に、「この人を支えていかないといけない」という感情が芽生えたといいます。

自分の弱さを見せるリーダー

いつも沈着冷静で仕事ができる「強いリーダー」も必要です。そういうタイプのリーダーがいると、組織がインスパイアされて成果も上がるでしょう。しかし、リーダーが完璧さを示せば示すほど、逆説的にメンバーはリーダーに依存するようになります。
むしろ、自分の弱さや弱点をさらけ出すリーダーのほうが、メンバーの心をつかみ、彼ら彼女たちの支援的な行動を引き出すことができ、結果として大きな成果を生み出すのです。

これからのリーダーシップスタイル

自分の弱さを見せるといっても、プライベートなことも含めたすべてを開示するわけではありません。仕事をする上で見せたほうがいいものはどれか、整理しておく必要があります。
また、自分のことは意外とわかっていないことが多いものです。したがって、他者からの意見や提案などに素直に耳を傾け、自然とフィードバックが集まるような状況を作っておくことも大切です。そうした努力があれば、自己認知の向上につながり、自分の強み・弱みを正確に理解することができるでしょう。

組織を構成するのは人であり、人には心があります。結局、リーダーシップとは、人の心を動かすことなのです。したがって、人の心を動かすだけの人間性の涵養がリーダーには求められるのです。地道な日々の努力の継続が、人間性の向上、リーダーシップの発揮につながるでしょう。

参考記事:人間力とは? 高めるための方法やリーダー向け研修を紹介

参考記事:リーダーシップを高める目的とは? 定義や種類、効果的な高め方を解説

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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