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職場の人間関係を良好に保つポイントとは?

2022年9月27日更新

職場の人間関係を良好に保つポイントとは?

職場における悩みやストレスの原因として、多くの人があげるのが「人間関係」。しかし、人と人とが関わり合うことで成り立つ仕事において、人間関係はすべての基本でもあります。そこで本記事では、若手社員のうちに身につけておいてほしい「相手との距離の取り方」や「話し方」など、人間関係を良好に保つためのポイントを解説します。

INDEX

人間関係がこじれる要因

厚生労働省の「労働安全衛生調査(令和3年)」によると、53.3%の人が「仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じている」と答えたそうです。そして、そのうち24.8%の人が、ストレスの内容として「対人関係」をあげています。いかに多くの人たちが職場の人間関係で悩んでいるかが、この数字に表れているといえます。

人間関係がこじれる要因として、「なんで?」という疑問が大きく関わっています。
「なんでそんな言い方をするの?」
「なんでそんなことをするの?」
「なんでわかってくれないんだ?」
という疑念が解決されないために、お互いの心と心の間にひびが入り、深い溝ができて、やがて修復できない状態になってしまうのです。

この「なんで?」という疑問を、相手に直接穏やかに投げかけて、納得できる回答が得られれば、もちろん人間関係は壊れません。しかし、強い口調で斬りつけるように「なんで?」と相手に怒りをぶつけたり、反対に「なんで?」という思いを自分の中に飲み込んで我慢したりすることで、感情の行き違いが生じ、人間関係がこじれていくのです。

アドラー心理学に学ぶ「共同体感覚」

私たちは、たった一人で他者と関係をもたずに働くことも、生きていくこともできません。企業で働いていればもちろん、たとえフリーランスであっても、すべての人が必ず誰かとつながりをもって仕事をしているはずです。アドラー心理学では、こうした人との関わりを「共同体」と呼びます。また、その共同体に対して抱く「安心感」「所属感」「共感」「信頼感」「貢献感」などを総称して「共同体感覚」と呼んでいます。
さらに、「この人たちと一緒にいると安心する」「この人たちを信頼できるし、自分もこの人たちから信頼されている」「この人たちのために自分には何ができるのだろうか」といったことが考えられる状態を「共同体感覚をもっている」というのです。この「共同体感覚」をもつことで、自分も、周りにいる人たちも人生の幸福が感じられ、困難なことが起きても克服しようとする活力が生まれてきます。

難しいのは、通常、自分が勤めている会社の上司や同僚を「自分で選べない」ことです。そんな環境の中で、「なんで?」をぶちまけたり、「なんで?」を飲み込んだりすることで、人間関係にストレスを感じるようになるのでしょう。
ストレスを回避するためには、例えば最初は「合わない」と感じた上司や同僚でも、「自分とは違う人だからこそ、何か学べるかもしれない」といった具合に「見方を変えて」接するようにすることです。決して我慢をするのではなく、「見方を変える」ことによって、「共同体感覚」を育む練習をしていけば、よりよい関係を築くことにつながるのではないでしょうか。

「ヤマアラシのジレンマ」から学ぶ適切な距離

「ヤマアラシのジレンマ」という言葉があります。寒さに凍えたヤマアラシが暖をとろうとして、他のヤマアラシに体を寄せて近づくと、お互いの針で傷つけ合ってしまいます。かといって離れすぎると暖がとれないので、近づくことも離れることもできないジレンマに陥るという意味です。
人間関係もこれにそっくりだといえます。親密になり過ぎると、かえって相手に対して強い調子で「なんで?」と斬りかかってしまい、離れすぎると「なんで?」を自分の中で飲み込もうとするはずです。職場の人たちとの関係性において、「つかず離れずのちょうどいい距離感」をつかむためには、「試行錯誤」と「紆余曲折」を繰り返すことが重要です。上司や同僚との「心の距離」を近づけたり、少し離れたりしながら、いろいろな経験を重ねて「ちょうどいい距離感」に気づいていくのです。

初対面の人との「距離感」と「話し方」

ビジネスの現場では、多かれ少なかれ、初対面の人と会話をする場面があるはずです。例えば仕事がらみのパーティーなどで初めて会った人と挨拶をし、名刺交換をしたあと、しばらく会話をしなければいけない状況があったとします。そのとき私たちは、どのような「距離感」で相手と接すればいいのでしょうか。特に若手社員には以下のようなポイントを教えるとよいでしょう。

(1)他愛のない質問から始める
例えば「幸子(さちこ)さん」なのか「幸子(ゆきこ)」さんなのか分からないときや、名前の読み方が難しいときには、相手にそれを尋ねることから会話を切り出します。

(2)話が進みだしたら「聴き上手」に徹する
笑顔を保ちながら、相手が話しやすいように相づちを打ったり、シリアスな話題には真剣な表情で聴いたりします。決して相手の話を横取りしたり、乗っ取ったり、否定したりしてはいけません。

(3)宗教・政治・他人の悪口は禁物
宗教や政治、他人の悪口を口にして、相手と価値観が合わないときには、つい感情的になって言い争いが起こりやすくなります。もちろん相手のプライバシーに関わることや、セクハラにつながりかねない発言も控えなければなりません。

精神的にも物理的にも「近づきすぎないこと」が大切

初対面の相手に対しては、あまり遠慮しすぎず、相手への興味や好奇心を抱きながら質問を投げかけます。その際、共感力と雑談力、そして少々の勇気をもつことが大切です。相手に敬意を払い、尊重しながらも、少し踏み込んだ質問をすることで、自分との意外な「共通点」が見つかることがあります。何か共通点があれば、互いに親近感が湧きやすく、その後の会話も弾みやすくなるでしょう。そして会話が噛み合えば噛み合うほど、心の距離を近づけていくことができます。
ただし、踏み込むといっても限度があります。例えば、初対面で相手の服装をほめるのはOKですが、値段を尋ねるのはNGです。あるいは出身地を尋ねるのはOKですが、現住所を尋ねるのはNGといった具合に、ほどよい距離感を保ちながら会話を進めます。

体と体との「物理的な距離感」にも気を配りましょう。立ち話をする際には、片手を伸ばした程度の距離を空けるのが無難です。特に大柄な人が小柄な人に近づきすぎると、小柄な人が圧迫感を覚える場合があるので注意が必要です。

もちろん、最初から何もかもパーフェクトにできる人はほとんどいません。若手社員には、勇気をもって試行錯誤し、紆余曲折し、失敗から学びながら、人と人との「距離感」のつかみ方をマスターしてもらいましょう。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『アドラー心理学に学ぶ「対人関係力」の高め方』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

PHP通信ゼミナール
『アドラー心理学に学ぶ「対人関係力」の高め方』

PHP通信ゼミナール『アドラー心理学に学ぶ「対人関係力」の高め方』

アドラー心理学をベースに、相手との距離のとり方や感情の伝え方など、対人関係力アップに必要な考え方や手法を学び、重荷や困難に感じることなく、良好な関係を築く術を身につけます。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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