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若手社員のリーダーシップを開発するメリットとは?

2023年7月13日更新

若手社員のリーダーシップを開発するメリットとは?

リーダーシップ教育の第一人者・舘野泰一氏(立教大学経営学部 准教授)に、リーダーシップ教育のあり方を学ぶシリーズ。第1回第2回では、全員発揮のリーダーシップの理論的と、どうしてそれが大事なのかということについて解説いただきました。最終回となる今回は、リーダーシップ教育を若手に実施すると、どのようなメリットがあるかについてお話しいただきます。

INDEX

自分の強み・弱みに立脚したリーダーシップ

近年のリーダーシップ論では、明確なリーダー像があって、それをみんなが真似するということだけではなく、「自分らしさ」を発揮することが重要と言われるようになってきています。

たとえば、ふだん口下手な人がリーダーシップ論を学んで「スティーブ・ジョブズのように雄弁になったほうがいい」と言われ、ある日突然、やみくもに話をするようになると、周りは混乱してしまうと思います。

そうではなくて、自分の強み・弱みに立脚したリーダーシップを発揮することが、チームを動かすことに繋がるということがわかっています。一人ひとり、自分の特長でリーダーシップをやればいいんだというのは、励みになる一方で、自分らしいとか言われると逆に困ってしまう、何か正解を教えてほしいというように思ったりしてしまうこともあると思います。自分らしさというのは、どうやって見つけたらいいのか悩んでしまうかもしれません。実は、自分らしさを見つける、自分のことを理解するということは、リーダーシップを学ぶ上でとても重要なのです。

「内面的自己認識」と「外面的自己認識」

ターシャ・ユーリック博士によると、自分について理解するためには、2つの視点が必要とされます。一つは、「内面的自己認識」。これは自分がどんな人なのかということを自分で理解することです。例えば、自分が仕事について大事にしている価値観であるとか、情熱であるとか、そういったものを知る、と言うとイメージしやすいかも知れません。

二つ目は、「外面的自己認識」です。具体的には、同じ職場の人たちに自分がどう思われているのかを、自分自身で知っているということです。この「内面的自己認識」と「外面的自己認識」の両方ができている人は、認識者という役割になり、リーダーシップが効果的に発揮できることがわかっています。

つまり、リーダーシップを発揮するには、自分のことも知らないといけないし、周りの人たちが自分のことをどう思っているかも知らなければいけない。これは、実は非常に難しいですし「努力してください」と言われたところですぐにできるようになるものでもありません。自己認識を高めながらリーダーシップを発揮するには、かなり長い時間がかかるのです。

企業の現場では、30代、40代になって「さあ、明日からリーダーシップを発揮してください」と言われたときに、急に「自分は何なのだろう」とか「自分は周りからどう見られているのだろう」というのを考えていては遅いということになります。なるべく早い段階から、自分にとって仕事に価値を置いているものはどういうものなのかということに、しっかり向き合っていったり、職場の人たちから自分はどういうふうに見られているのかを聞いていたりすることが、リーダーシップを発揮するためにはきわめて重要と言えるわけです。

若手社員のうちにリーダーシップを学ぶメリット

自分と他者の見え方というのは、異なっていることが多いものです。たとえば、自分は、チームのために一人で頑張る、一生懸命頑張っていたら周りがついてきてくれるはずと思っている。でも実は、周りの人もやる気があって「仕事を振ってくれたらやるのに」と思っている。こういう状態は、大学教育のなかでも非常によく起こることです。

自分と他者の見え方

出典:舘野泰一氏 講演資料(2023.6)

つまり、自分が思っている周りの見え方と、周りが見ている自分の見え方というのは、かなり違うということです。ですが、そういう違いに気づく機会はめったにないので、フィードバックをされて初めて気づくわけです。こういう経験を小学校、中学校、高校までの間にしている人は、ほとんどいません。大学教育の中で経験する人はいますが、社会人になってからも気づかないまま成長していくということがほとんどです。そうなってしまうと、自分が見えている世界が正しくて、周りの人たちが自分の行動をどういうふうに捉えているのかがわかっていない、気づいていないという状態になってしまいますから、ある種、独りよがりな行動をしてしまうケースが増えてくるのではないかと思います。

繰り返しになりますが、リーダーシップを高めていくためには、自分とはどういう人なのかを自分で考えること。さらに、他者からも教えてもらうことが重要なのですが、これらは急にできるようなものではありません。たとえば「仕事で大事にしている価値って何ですか」と聞かれても、普段考えていない人は答えられない。自分の考えと他者の考えが違うというのも、聞く機会がなく、そもそも聞くのが怖いという人も多いのではないかと思います。

一方、若い頃からリーダーシップを学ぶ経験を積んでいる人は、自分が何を大事にしているのかが結構わかっていたり、周りの人たちからフィードバックをもらったりすることに非常に慣れています。ですので「自分とあの人の見え方は全然違う」ということも受け入れられます。

結論としては、リーダーシップは一朝一夕で身につくものではないですから、早くから学ぶことが大切で、それによってポジティブな影響を自分や周りに与えることができるようになるということです。

若手社員へのリーダーシップ教育は、早すぎる?

第1回で、立教大学BLPの事例を紹介させていただきましたが、近年は立教大学に限らず、程度の差はあれ、さまざま大学でリーダーシップ教育を採り入れるという流れが広がってきています。海外に目を向けてみますと、アメリカは最もリーダーシップ教育が広まっている国で、今や、ほとんどの大学でリーダーシップ教育が採り入れられていると言われます。

日本国内においても、近年では大学に限らず、中学校や高校でもリーダーシップに関する授業が採り入れられつつあります。私も実際に、こうした実践に関わっています。

そういう意味では、若手社員にリーダーシップ教育を行うのは、決して早すぎるということはないと言えるのではないかと思います。現状では管理職や管理職候補に対してのリーダーシップ研修が多いのですが、今後、若手社員からリーダーシップ教育を実施していくということが、企業にとっての差別化に非常に重要な意味合いを持つようになるのではないかと思っています。若手社員が研修をうけることで「こんな成長の機会があるんだ」と前向きな思いを持ち、さらには研修で学んだことを職場で生かすことによって、先ほど紹介した「リーダー任せの組織」を脱却していく。職場の問題を上司や会社のせいにするのではなくて、「自分の立場から何ができるだろう」と考える。そういう若手社員を育成することができるのではないかと思っています。

リーダーシップを学んでいる人の5つの特徴

実際に私が関わっている大学生や卒業生を見ていて感じる、若いうちからリーダーシップを学んでいる人の特徴をあげてみます。

(1)組織の問題を「自分ごと」として捉える力がある
上司や組織を悪者にするのではなく、自分は何ができるだろうかと考える習慣が身についている

(2)自己認識が高いので、自分の強みや弱みを理解している
自分の強み、弱みを認識し、「なぜ、この会社を選んだのか」「自分はどんな価値観を大事にしたいのか」ということに対しての理解度が高く、目の前の仕事に対して自発的にコミットメントを持てる

(3)フィードバックをしたり、もらったりする習慣がある
他者からフィードバックをもらうことに抵抗がなく、他者へのフィードバックの伝え方が上手

(4)組織で起こる問題に対するPDCAがすでに一度回っている
仕事が偏ってしまうとか、モチベーション下がるとかといった組織で起こりがちな問題に対して、教育ですでにPDCAサイクルを回した経験があるため、実際に会社で起きたときにも「前回は失敗したけど、こういうふうにやってみようかな」という構えをとることができる

(5)リーダー役をやる人の気持ちを理解して行動することができる
リーダー役をやる人の気持ちをよく理解しているので、「リーダーの立場では、こういうことが気になるかもしれない」とか「こういうことをやってもらうとチームとしてありがたいよな」といった視点を持ってメンバーとして行動できる

最後になりますが、この領域で研究実践をするなかで、若手の人たちが「一生懸命やりたい」という思いを持っているというのを感じます。彼ら・彼女らの「一生懸命やりたい」という気持ちを、うまく会社の中で作ってあげたり、学んだことを活かせる環境を整えてあげたりすることで、若手社員がいきいきと働けるようになる。そして、そういう組織をつくることが、他社との差別化になり、企業としての強みにつながっていくのではないかと思っています。若手社員に対するリーダーシップ教育を、ご検討いただけるとありがたいなと思います。

シリーズ第1回「新しいリーダーシップ教育の理論と立教大学経営学部の実践」

シリーズ第2回「メンバー全員が発揮するリーダーシップと具体的な行動」

若手社員向け リーダーシップ開発研修・通信教育のご紹介

舘野泰一(たての・よしかず)

舘野泰一

1983年生まれ。立教大学経営学部 准教授。青山学院大学文学部教育学科卒業。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学後、東京大学大学総合教育研究センター特任研究員、立教大学経営学部助教を経て、現職。博士(学際情報学)。大学と企業を架橋した人材の育成に関する研究をしている。具体的な研究として、リーダーシップ開発、越境学習、ワークショップ、トランジション調査などを行っている。近著に『パラドックス思考 矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる』(ダイヤモンド社・共著)、『これからのリーダーシップ 基本・最新理論から実践事例まで』(日本能率協会マネジメントセンター・共著)など。

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