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「よく見たつもり......」アテンションミスはこうしてなくす!

2020年6月12日更新

「よく見たつもり......」アテンションミスはこうしてなくす!

「え? なんでだよ......。あれだけ見直したのに......」。うっかり見落として起こる「アテンションミス」の原因と、ミスを防ぐ方法をご紹介します。

INDEX

「アテンションミス」が起きる原因とは

つい見落としてミスをしたとき、あなたは「もっとしっかりしなきゃ」と自分を責めたり、「自分はほんとうにダメだな......」と落ち込んだりしていませんか? あるいは、ミスをした部下を「もっとしっかりしろ!」と責めたりしてはいないでしょうか。
自分や部下を責めて落ち込んだり、落ち込ませたりしても、「アテンションミス」はなくなりません。それどころか逆に増えてしまう可能性もあります。
そもそも、アテンションミスはなぜ起こるのでしょう。まずは、その原因から考えてみましょう。
アテンションとは「注意・関心」のことです。私たちが日常の作業の中で行っている「周囲の事物への注意」には「ワーキングメモリ」が関わっています。何か事物に注意を向けたとき、その瞬間に入ってくる新しい情報は脳のワーキングメモリに保管され、一時的に「覚えた」状態をつくっているのです。
しかし、ワーキングメモリは容量が小さく、記憶としてほとんど脳に定着せず、短いあいだ便宜的に保管しているにすぎません。そのため、自分ではしっかりと注意を向けているつもりでも、隅々まで目が行き届いていないことがよくあります。そして、よく見えていないのに「わかったつもり」になり、大事なことを見落としてしまうアテンションミスが発生するのです。

脳の「便利機能」がミスにつながる

さらに私たちの脳は「文脈効果」の影響を受けます。例えば誤字や脱字が含まれた文章でも、前後の文脈から脳が自動的に判断して、意味が通るように「補正」しながら読んでいるのです。そのとき、私たちは誤字や脱字をほとんど気にしていません。
普通に文章を読む場合には、文脈効果による自動補正が役に立ちます。しかし、仕事用の文書を読み返して確認する際には、この文脈効果が邪魔をしてしまうことがあります。変換ミスで同音異義語を入力していたり、あるいは脱字があったりしても、脳が勝手に「補正」して正しい意味で受け取ってしまい、ミスを見逃してしまうのです。しかもそうした確認作業は、容量の少ないワーキングメモリを使っているため、「意味」に注意を向けると「誤字・脱字」に気づかず、「誤字・脱字」に注意を向けると「意味」の間違いに気づかない、といった事態に陥りかねません。
ちょっとした誤字・脱字でも、受け取った相手からは「雑な仕事をする人(会社)」だと思われる可能性があります。もちろん大きな誤解が生じる誤字・脱字の場合、ビジネスそのものに悪影響を与えることも考えられます。誤字・脱字に限らず、このようなアテンションミスは、極力なくしていかなければならないでしょう。

「指さし確認」で不注意なミスを防ぐ

アテンションミスを防ぐ最もシンプルな方法が「指さし確認」です。例えば作成した書類をプリントアウトし、文字を指さしながら「誤字・脱字」に意識を集中させて読み返せば、指でさした文字にしっかりと注意が向きます。これにより誤字・脱字に気づきやすくなったり、同音異義語が複数あって間違えやすい言葉への注意が促されたりして、修正作業がはかどるようになるのです。ちなみにタイトル(見出し)部分や、平仮名の言葉、片仮名の言葉なども、意外なほど誤字・脱字を見落としやすいので、そうしたところにも注意を向けるといいでしょう。

時間をおいて確認すれば精度が上がる

アテンションミスを防ぐうえで大敵となるのが「思い込み」です。例えば前述の文脈効果によって、誤字・脱字が脳内で補正され、気づくことができなかったにもかかわらず、「これで大丈夫だ」と思い込んでしまうケースがあります。一度思い込むと安心してしまい、さらに注意力も落ちてしまいます。
作業が何となく行き詰まったり、誤字・脱字にまったく気づけなかったりするときには、「思い込みの罠」にかかっているかもしれません。そんな場合は、無理をせず、作業をいったん中断し、少し時間をおいて気分転換することをお勧めします。翌日までその仕事を「寝かせる」ことができればなおいいでしょう。その仕事から一度距離を置いて、意識がリセットされることで、前日に気づかなかったミスが見つかる可能性が高まります。

チェックリストを使って確実に仕事をこなす

仕事の種類ごとに「チェックリスト」をつくり、リストを見ながら作業をするのも有効です。確認事項があらかじめ決まっていれば、ワーキングメモリの負担が少なくなり、注意すべき事柄に集中しやすくなります。例えば書類の点検のためのチェックリストとして、「日付、宛名、タイトル、誤字・脱字......」といった具合に、必要な項目を工夫して作成しておきます。そしてリストを見ながら一つずつ順番にチェックしていけば、より正確な書類をつくれるようになるはずです。

今回は、PHP通信ゼミナール『ミスゼロ仕事術マスターコース』から、アテンションミスを防ぐ方法をご紹介しました。「ミスゼロ」は仕事の生産性を向上させる一生モノの仕事術です。若手社員の教育の一環として、ぜひご活用ください。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『ミスゼロ仕事術マスターコース』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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