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中堅社員の退職による損失をどう防ぐ? 基本的な考え方と具体的な方策を解説

2023年4月24日更新

中堅社員の退職による損失をどう防ぐ? 基本的な考え方と具体的な方策を解説

現場のリーダーとしての活躍を期待される中堅社員が突然、退職するケースが増えています。なぜ、中堅社員が会社を辞めるのか、そして彼らをつなぎとめるために企業は何をすればいいのでしょうか。
本稿では、中堅社員の退職による損失をいかにして防ぐか、基本的な考え方と具体的な方策を考察したいと思います。

INDEX

中堅社員が、突如、退職届を提出する!

昨今、企業の経営者、人事担当者・責任者の頭を悩ますテーマの一つに、中堅社員の離職問題があります。

ここで言う中堅社員とは、20歳代後半の一般社員のことで、大卒であれば入社5年程度、高卒であれば入社10年程度の人たちを指します。ある程度の仕事経験があり、若く体力もあるので、現場の実務の中核として、また将来のリーダー候補として多大な期待を寄せられるのは当然のことです。

ところが、その期待に反して退職する中堅社員が増えているのです。しかも、何の前触れもなく、突如、退職届を提出して辞めていくので、会社として対応が難しいというお悩みの声を耳にする機会が増えてきました。

中堅社員の退職がもたらす3つの損失

中堅社員が退職することの経営上のダメージには以下の3点があげられます。

(1)人材投資上の損失
これまでに投下してきた採用費用、教育費用等の投資効果が出ないまま離職されると、それらの回収ができなくなります。

(2)管理職の担い手不足
ただでさえ管理職になりたくない人が増えている状況のもと、一層の管理職不足を招く恐れがあります。

(3)若手社員への悪影響
年齢が近く、関係性も深い先輩が辞めることで、若手社員の不安が高まり、連鎖離職を招く可能性があります。

中堅社員の退職をゼロにすることは難しいかもしれませんが、何らかの離職防止策を講じないと事業の継続性が危ぶまれるのは自明です。

参考記事:承認と厳しさのバランス~中堅社員のモチベーションを上げる方法とは?│PHP人材開発

 

中堅社員は、なぜ辞めるのか

厚生労働省の「令和3年上半期雇用動向調査結果」(※1)によると、転職者が前職を辞めた理由として回答数が多かったのは「給与が少なかった」「労働条件が悪かった」「会社の将来が不安だった」「人間関係が好ましくなかった」等でした。

そして、回答者を年代別に分類してみると、20~24歳の人たちの回答の中で、他の年代の人たちと比較して多かったのが「人間関係が好ましくなかった」という項目であり、25~29歳の人たちのそれは「仕事の内容に興味をもてなかった」でありました。このデータが示しているのは、若手社員の離職の原因が人間関係であるのに対し、中堅社員の場合は、仕事に興味をもてずに離職していくケースが多いということです。

つまり、人間関係の悩みは何とか克服したけれど、仕事にやりがいを感じることができずに辞めていくのが中堅社員に多い離職パターンなのです。

参考記事:中堅社員が果たすべき役割とは?│PHP人材開発

価値観のすり合わせを

したがって、中堅社員の離職を止めるには、彼ら彼女らの仕事のやりがいを高める必要があります。そして、そのためには、相手の強みや適性を考慮した的確なジョブアサインメントを行わないといけませんし、担当業務の意義や面白さに気づかせるような対話を密に行う必要もあるでしょう。

会社全体で、また現場レベルで取り組むべきことはたくさんありますが、もっとも重要なことは価値観のすり合わせです。つまり、会社が掲げる価値観(ミッションやパーパス等)と、個人がもっている価値観の接点を見いだすのです。両者の接点が見つかったとき、会社に対するロイヤリティが高まり、日々の業務が「自分ごと化」して、やりがい・働きがいを感じることができるようになります。

上司と部下の信頼関係が離職防止のベースに

離職防止のアイデアはこれ以外にもたくさんあるでしょう。ただ、どのような取り組みをするにしても、上司と部下の信頼関係がベースにないとうまくいきません。

そういう意味で、彼ら彼女たちを指導する管理職の意識と行動とあり方(Being)がとても重要になります。そして、管理職一人ひとりが「人を育てる人」としての自覚をもって部下と向き合ったとき、相互の信頼関係が強化され、定着率の高い職場が実現していくでしょう。

 

※1 令和3年12月21日発表。調査対象者数40,579人

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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