論理的に仕事の予定を設定する
2015年12月24日更新
論理思考の思考図は、仕事で成果を出そうとする人の必須の道具です。論理的に「仕事の予定を設定する」思考図を使って、時間を最大限有効に使う方法を、吉田繁夫氏にご紹介いただきます。
「忙しい」「時間が無い」という社員を指導するには
さて、「忙しい」を連発する社員はいるものです。要領の悪い者ほど連発するようで、重要な仕事にも「○○を実行しなければならないことは分かっているんだが、時間が無い」を連発します。こういう愚にもつかないことを聞かされると「私は仕事を効率的にさばけない、能力の低い人間です」と言っているように聞こえてなりません。
人間ですから当然、能力不足や時間不足は現実としてあります。しかし、仕事のできる者は、しっかり優先度を判断して効率的に仕事を進めていきますが、成果をあげられない者は、重要性の低い仕事ややらなくてもいい仕事に時間をかけたり、手順が悪く二度手間になったり、無駄に手待ち(休み)時間ができたりして、同じ時間でも実現できる成果に差が出てしまいます。それでも、本人は一生懸命ですから、無下に叱ることもできません。そういう社員に対しては、どのような指導が有効なのでしょうか。
論理的に「仕事の予定を設定する」思考図
それは先ず、
(1)実行すべきことをすべて書かせる(仕事網羅)
(2)時間のかかる大きな仕事は、1~2日で完了する小さな作業に分解させて書かせる(仕事分解)
(3)書いた仕事・作業の実行日を決めさせる(仕事予定)
という「3点の実行」です。さほどに難しいことではありません。
「仕事網羅」では、頭の中だけで考えるのでなく、紙かパソコン上に書かせることが大事です。漏れや不要なものを無くし、やるべき仕事を明確に意識することができます。そのうえで、効率的な手順を考えながら、各仕事に優先順位をつけます。もちろん、経過とともに追加や削除をつど行っていきます。
「仕事の分解」とは、たとえば「来期計画作成」といった大きな仕事を、「現状データまとめ」「担当者ヒアリング」「施策案設定」「上司とのすり合わせ」などの作業に分解したり、「A社への売上を拡大する」といった目標を、「ニーズ調査」「プレゼン資料作成」「商談」などの作業手順に分けるようなことです。これによって、時間のかかる重要な仕事と、短時間で処理できる緊急な仕事を同列に置いて優先度を測ることができるようになります。
「仕事予定」は、日別のカレンダーの中に書き込むような形がいいでしょう。処理できないほどの仕事量を1日の中につめこむのはいけませんが、予定を決めたら絶対で変更してはならないというものでもありません。突発的に緊急的な仕事が発生したり、予定通りに仕事が進まなかったりということもあるからです。そのようなときには必ず、その時点で次の予定日を決めてカレンダーに書き込むことが不可欠です。実行日を決めていない仕事は、ついつい先送りしてしまいがちになります。
思考図を使って時間を最大限有効に使う
誰にとっても1日は24時間で、そのうち生活のための時間を差し引くと、仕事ができる時間は限られます。その時間を、できる限り有効に使おうというのが、以上の「3点の実行」です。これが、論理的に「仕事の予定を設定する」思考図で、その手順に沿って内容を一般的な表の形でまとめていけばいい訳です。これで、「時間を最大限有効に使う」という目標の達成度が向上します。また、設定した「仕事の予定」という結論の根拠が作成した表によって明らかになりますので、新たな情報や検討不十分などによる予定(結論)修正が必要になったときにも、判断が容易になります。
ばくぜんと予定をたてるのではなく、思考図を使って、時間という限りある資源を最大限有効に活用することが、行動の成功確率を高める最初の一歩となります。