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産後パパ育休の実施で企業が行うべきことは? NG対応についても解説

2022年5月 9日更新

産後パパ育休の実施で企業が行うべきことは? NG対応についても解説

男女とも仕事と育児を両立できるように、育児・介護休業法が改正されました。産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などが、2022年4月、2022年10月、2023年4月と3段階で施行され、それぞれ施行前に様々な準備が必要となります。
なかでも、育休の分割取得が可能になったことは今回の改正のポイントといえるでしょう。そこで本記事では、改正の背景や内容、企業研修について紹介します。

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産後パパ育休とは?

産後パパ育休は、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするために、新たに創設された制度です。具体的には、原則休業の2週間前までに申し出ることで、男性が子の出生後8週間以内に4週間までの育休を取得することができます。また、初めにまとめて申し出ることで、分割して2回取得することもできる柔軟な育児休業の枠組みです。

企業では、2022年4月から休業を取得しやすい環境の整備など事前準備が始められることになり、10月からは本格的に導入されます。これまでは、企業から従業員への育休制度の説明や取得の促進は努力範囲とされていましたが、法改正後は義務化されることになります。

育児・介護休業法改正により創設

産後パパ育休は、育児・介護休業法の改正で創設された制度です。通常の育児休業とは別に設けられたもので、男性版産休といわれています。
育児・介護休業法の正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」になります。働きながら育児や介護を行う労働者が、仕事と家庭生活を両立できるよう支援するために設けられた法律です。
今回の改正は、男性の育児休業取得を支援することを目的にしています。また、男性が子の出生直後に休業を取得して主体的に育児・家事に関わり、その後の育児・家事を分担することは、女性の雇用継続や、夫婦が希望する数の子を持つことに資するとも考えられています。

育児休業の分割取得も同時に施行される

産後パパ育休と同時に、育児休業に関する制度として施行されるのが、育児休業の分割取得です。法改正前のの育休制度では、原則として育児休業を分割して取得することはできませんでしたが、今回の法改正で、2022年10月からは子が1歳になるまでは2回に分けて取得することが可能です。
さらに労使協定を締結している場合、休業中に就業することも可能です。ただし就業可能日数や時間には上限があり、実際の就業時間や仕事内容も従業員と合意した範囲内に限られます。
また、1歳以降の休業延長では、これまで、休業開始日について1歳、1歳半の時点に限定されていましたが、改正後は開始日も都合に合わせて設定可能になります。
分割取得ができるようになったことに対応し、育児休業給付金の内容も変わります。育児休業給付金は休業中に会社から給与が支給されない代わりとして、要件を満たす場合に受け取れるものです。1日あたりの支給金額は休業開始時の賃金の67%です。育休の分割取得に合わせ、1歳未満の子につき、原則として2回の育児休業まで給付金を受け取れることになりました。
休業中には社会保険料が免除されますが、産後パパ育休では要件が変わります。これまでのその月の末日が育児休業期間中である場合という要件に加え、同一月内で育児休業を取得し、その日数が14日以上の場合という要件が加わります。

有期雇用労働者の休業取得要件も緩和

今回の改正では、有期雇用の社員が育児休業を取る要件も緩和されます。これまで、育休を申請できる有期雇用の従業員には、以下のような制限がありました。
1.引き続き雇用された期間が1年以上
2.1歳6ヵ月までに契約が満了することが明らかでない
しかし、今回の法改正で、1の要件は廃止され、2のみとなります。そのため、入社したばかりでも子が1歳6ヵ月までに退職や契約満了となる予定がない限り、育児休業の取得が可能になります。

産後パパ育休が創設された背景

産後パパ育休が創設された背景

法改正で産後パパ育休が創設されたのは、男性の育休取得率が低く、育児や家事への関わりが少ないことから、女性が働くのをあきらめざるを得ないケースが多いという日本の社会的状況が背景があります。育児の負担は女性に偏りがちであり、妊娠、出産、育児等を理由とする離職を余儀なくされているのが実情です。
厚生労働省の調査では、2020年度に育児休業を取得した男性は12.65%と過去最高を記録しましたが、目標値である13%には届きませんでした。また、取得しているのは大企業の従業員に偏っているという事情もあります。女性の育児休業取得率が8割を超えているのに対し、男性の取得率は依然として低い状況です。
少子高齢化に伴う人口減少下において、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会を実現するためには、男性の育児休業取得を促進し、女性が出産後も継続的に働ける環境を整備することが必要とされているのです。

参考:厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」

産後パパ育休の施行までに企業が行うべきこと

産後パパ育休は2022年10月からの休業取得に向け、4月から段階的に実施されます。4月からは育児休業と産後パパ育休の申し出がスムーズにできるよう、雇用環境の整備をしなければなりません。また、個別の周知・意向確認も義務化されます。

企業に義務化される雇用環境の整備

育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、企業には、育児休業を取得しやすい雇用環境整備が義務づけられます。さらに、短期はもとより1カ月以上の長期の休業の取得を希望する労働者が、希望するとおりの期間の休業を申請し、取得できるように配慮することが求められています。具体的には、以下の4つのいずれか、可能な限り複数の措置を講じなければなりません。ポイントを説明していきましょう。

①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

※雇用環境整備、個別周知・意向確認とも、産後パパ育休については、2022年10月1日から対象

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①研修の実施

研修を実施する場合、雇用するすべての労働者を対象に実施することが推奨されています。さらに、少なくとも管理職については、研修を受けたことがある状態にすることが必要と明記されています。育休を取得する男性や上司、周囲の同僚を対象にした意識改革の研修は必須といえるでしょう。
効果的な研修内容にするためには、以下の点がポイントになります。

1.定期的に実施する
2.事前に調査を行うなどで職場の実態を踏まえた研修内容にする
3.管理職層を中心に職階別に実施する

②相談窓口の設置

「相談体制の整備」に関しては、相談窓口や相談対応者を置いて、これを周知することを意味します。窓口を形式的に設けるだけでなく、実質的な対応が可能な窓口が設けられていることが必要であり、また、従業員への周知によって利用しやすい体制を整備しておくことが必要です。また、対応する担当者の教育も必要になるでしょう。

③事例の収集・提供

自社内で育児休業を取得した従業員の事例を収集し、当該事例の掲載された書類を配付したり、イントラネットに掲載したりといった形で、従業員がいつでも閲覧できる状態にしておくことを意味しています。提供する事例は、特定の性別や職種、雇用形態等に偏らず、可能な限り幅広い事例を収集・提供することが大切です。それによって特定の立場の従業員が育休の申請を躊躇することにつながらないよう、配慮する必要があります。

④制度や方針の周知

育児休業に関する制度や、育休取得の促進に関する企業の方針を記載したものを、事業所内やイントラネットへ掲示しておきましょう。具体的には、ポスターなど自社の方針を記載したものを作成し、社内の掲示板やイントラネットなどへ掲示するなどの方法があります。

個別の周知・意向確認

企業には、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た従業員に対し、育児休業制度等に関する事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行うことが義務づけられます。取得を控えさせる方向での周知や意向確認はできません。
具体的には、以下の4点を、面談(オンラインを含む)、書面交付、FAX、電子メール等のいずれかで個別に周知し、意向を確認することになります。

①育児休業・産後パパ育休に関する制度
②育児休業・産後パパ育休の申し出先
③育児休業給付に関すること
④労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

産後パパ育休に関して防止したいNG対応

産後パパ育休に関して防止したいNG対応

産後パパ育休の実施では、雇用環境の整備など、十分な事前準備が義務づけられています。
しかし、実際の休業取得に際しては、ハラスメントに該当するNG対応が起こることも懸念されています。そのため、どのようなNG事例が起こるかを事前に把握し、防止策を講じることが必要です。

予想されるNG対応の事例

今回の育児・介護休業法の改正前にも、NG対応をきっかけとしたマタニティ・ハラスメント(マタハラ)・パタニティ・ハラスメント(パタハラ)事案は存在していました。
産後パパ育休制度が設けられてからも同様のNG対応が予想されるため、トラブルに発展しないように事前の対応が求められます。
具体的なNG対応として、以下のような事例が考えられます。

●「育休の期間は忙しいから数日出社してほしい」と上司が依頼する
●「育児は女性がすることでは?」と発言する
●「短時間勤務制度を利用すると評価が下がるぞ」と発言する
●「休まれると他の社員に迷惑をかける」と発言する
●「男性が育休を取得するなんて聞いたことがない」と発言する
●「忙しいときに育休を取るから自分たちの仕事が増える」と同僚が噂する
●育児休業明けの男性社員に対し、仕事を与えない
●配置転換や降格、減給など不利益な取り扱いを行う

NG対応を防止するための対策

NG対応を防止するためには、管理職はもちろん、全従業員が制度を理解することが求められます。そのために効果的なのが研修です。従業員を対象にした研修では、法律が改正された背景や制度の概要を理解し、NG対応がどのようなものかを把握できる教育内容にするといいでしょう。

PHP研究所では、ハラスメントを防止するための管理職向けDVD教材『上司のハラスメント パタハラ・マタハラ編』を2022年6月に販売する予定です。育児・介護休業法について丁寧に解説し、育休にまつわるNG対応の事例を収録しています。雇用環境の整備における「研修の実施」の一環として、ぜひ活用をご検討ください。

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まとめ

産後パパ育休は、2022年4月から段階的に施行されます。10月からの本格的な実施に向けて、早めに社内環境を整備しなければなりません。雇用環境の整備に取り組む際には、ぜひPHP研究所の「NG事例で学ぶ育休対応のポイント」を教材としてお役立てください。

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