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産後パパ育休の「育児休業給付金」とは? 申請方法や企業が注意すべきこと

2022年9月27日更新

産後パパ育休の「育児休業給付金」とは? 申請方法や企業が注意すべきこと

育児・介護休業法が改正され、2022年10月1日より産後パパ育休(出生時育児休業)が施行されます。産後パパ育休を取得した社員には出生時育児休業給付金が支給されますが、支給要件や支給金額、申請期間が決められているため事前の確認が必要です。今回は、産後パパ育休で支給される出生時育児休業給付金の概要や申請の流れを解説します。

なお、産後パパ育休を導入とは何か、その概要や就業規則の記載例などはこちらの記事も参照してください。
PHP人材開発記事「産後パパ育休の導入時は就業規則の見直しが必須! 記載例や周知書式について解説」

INDEX

産後パパ育休(出生時育児休業)とは?

産後パパ育休とは、仕事と育児を両立できる職場環境の整備促進を促すために創設された制度のことです。産後パパ育休制度が創設されたのには、男性社員が育児休業を取得して家事や育児に積極的に参加し、女性社員の雇用継続や理想の夫婦像を実現につなげるといった目的もあります。ここでは、産後パパ育休の概要や従来の育児休業との違いを確認しましょう。

産後パパ育休(出生時育児休業)の概要

産後パパ育休制度においては、子どもの出生後から8週間以内で4週間までの育児休業が取得可能です。原則としてこの産後パパ育休は、休業しようとする日の2週間前までに申請しなければいけません。ただし、雇用環境の整備などについて、今回の育児・介護休業法の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、1カ月前までとすることができます。

産後パパ育休では、2回に分けて育児休業を分割取得することも可能です。ただし分割取得する場合は、初めの申請時にまとめて申し出る必要があります。労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲内で休業中に就業することが可能です。その場合、就業可能日等には以下のような上限が定められています。

●休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
●休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

従来の育児休業と産後パパ育休は両方取得できる

産後パパ育休の制度が施行されてからこの育休を取得すると、以降に育児休業を取得できないと考える方も多いかもしれませんが、実は両方取得することが可能です。今回の育児・介護休業法の改正では、育児休業制度の一部も改正されており、従来の育児休業と産後パパ育休を合わせると、4回まで育児休業を分割取得できることになります。

育児休業と産後パパ育休の概要は、次のとおりです。

育児休業と産後パパ育休の概要

参考:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(PDF)

参考記事:産後パパ育休の実施で企業が行うべきことは? NG対応についても解説

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産後パパ育休で支給される「出生時育児休業給付金」の概要

産後パパ育休を取得した社員に対しては、出生時育児休業給付金が支給されます。これは休業期間中の社員の生活を保護するために支給される給付金です。支給要件や支給金額、申請期間が定められているため、事前にしっかりと確認しておきましょう。ここからは、産後パパ育休で支給される出生時育児休業給付金についてご紹介します。

参考:厚生労働省「令和4年10月から育児休業給付制度が変わります」(PDF)

支給要件

出生時育児休業給付金の支給要件は2つあります。まず、「休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業している時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること」。
また「休業期間中の就業日数が最大10日(10日を超える場合は就業時間数が80時間)以下であること」という要件があります。

支給金額

出生時育児休業給付金の支給額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で算出します。休業開始時賃金日額は、育児休業開始前6カ月間の賃金を180で割った額であることが原則です。
給付金が支給された日数は、育児休業給付の支給率67%の上限日数である180日に通算されます。支給額の算定は初めて育児休業を取得する時のみ実施するため、2回目以降の取得時はこれらの作業は不要です。産後パパ育休を取得している場合は、それを初めての休業とされています。産後パパ育休と育児休業を続けて取得した場合など、短期間に複数の休業を取得した場合は、先に取得した休業から申請することになります。

申請期間

出生時育児休業給付金の申請期間は、子どもの出生日の8週間後の翌日から起算して2カ月後の月末までとなります。たとえば令和3年10月15日が子の出生日である場合、出生時育児休業給付金の申請期限は令和5年2月末日までです。2回まで分割して取得できますが、分割取得はまとめての申請になるため注意が必要です。

出生時育児休業給付金 支給の大まかな流れ

産後パパ育休を取得した社員が出生時育児休業給付金を受け取るには、まず、出生時育児休業給付金の申し出を行うことになります。迅速に対応するためにも大まかな流れを確認しましょう。

●対象者は事業主に申し出をおこなう
●事業主は取扱通知書を交付する

対象者は事業主に申し出をおこなう

産後パパ育休を利用したい社員は、原則、休業開始の2週間前までに、会社に書面で申し出る必要があります。
書面には、次のような申し出事項の記載が必要です。

1)申出年月日
2)労働者の氏名
3)子の氏名、生年月日、労働者との続柄等
4)出生時育児休業(産後パパ育休)の開始予定日と終了予定日
5)申出に係る子以外に生後8週間未満の子がいる場合には、その子の氏名、生年月日、労働者との続柄(双子の場合等)
6)申出に係る子が養子である場合には、養子縁組の効力発生日
7) 特別の事情があり、休業開始予定日の1週間前に申し出る場合は、その事情に係る事実(出産予定日より早く子が出生したとき等)

様式例を知りたい方は厚生労働省「育児・介護休業法 令和3年(2021年)改正内容の解説」(出生時)育児休業申出書(P21 ~ 22) を確認してください。

休業開始・終了予定日の繰上げ、繰下げ変更、撤回

出産予定日前に子が出生した等の場合は、休業1回につき1回に限り休業開始予定日の繰上げ変更が可能です。申出期限は変更後の休業開始予定日の1週間前までになります。
また、休業終了予定日の繰下げ変更は、事由を問わず休業1回につき1回に限り可能。申出期限は当初の終了予定日の2週間前までとされています。
休業は、開始予定日の前日までに申し出れば撤回が可能です。ただし、撤回1回につき1回休業したものとみなされます。

事業主は取扱通知書を交付する

社員から産後パパ育休取得の申し出があった場合、会社は速やかに取扱通知書を書面で交付する必要があります。取扱通知書は、おおむね1週間以内に交付するのが望ましいとされています。社員が希望する場合は、書面ではなく電子メールなどでも問題ありません。電子メールには、GmailなどのWebメール、LINEなどのSNS、メッセンジャーなどが含まれます。

通知事項は以下のとおりです。
1)出生時育児休業(産後パパ育休)の申出を受けた旨
2)出生時育児休業(産後パパ育休)の開始予定日と終了予定日
3)出生時育児休業(産後パパ育休)の申出を拒む場合には、その旨とその理由

参考:厚生労働省「育児・介護休業法 令和3年(2021年)改正内容の解説」(PDF)

参考記事:事例で学ぶパタハラ~「知らなかった」が原因の育休取得トラブルを防ぐために

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出生時育児休業給付金にむけて企業がすべきこと

2023年4月1日より、従業員数1,000人を超える企業には、育児休業取得状況の公表が義務化されます。公表内容は男性の育児休業等の取得率、または育児休業等と育児目的休暇の取得率です。
女性の育児休業取得率に比べると、男性の取得率は決して高いとはいえません。産後パパ育休の取得率向上や育児休業給付金の支給について企業が取るべき対策には、次のようなものが挙げられます。

●産後パパ育休をとりやすい雇用環境を整備する
●企業側から個別の周知や意向確認を行う
●手続きは早急に対応する

それぞれの項目を確認していきましょう。

産後パパ育休をとりやすい雇用環境を整備する

産後パパ育休が創設されることにより、男性も育児休業を取得しやすい制度になりました。
しかし日本国内の職場においては、育児休業を取得することに躊躇する男性社員も少なくありません。産後パパ育休の取得を促すためには、男性社員が制度を利用しやすい職場環境を整備することが大切です。研修を実施したり、相談窓口を設置したりなど、複数の措置を講じましょう。

企業側から個別の周知や意向確認を行う

配偶者の妊娠や出産を申し出た社員に対して、産後パパ育休に関する周知を個別に行うことも大切です。男性社員の中には、産後パパ育休があること自体を知らない方もいるでしょう。産後パパ育休の概要をはじめ、出生時育児休業給付金や申し出先などを知らせるとともに、取得の意向を確認する必要があります。個別に対応することで産後パパ育休の取得を促せます。

手続きは早急に対応する

育児休業を取得した場合には、育児休業給付金が支給されます。この給付金の支払いは、初回が早くて2カ月、遅ければ5カ月かかる場合があります。給付金がすぐに入金されないため、育児休業制度を利用した社員の中には不安になる方も少なくありません。こういった不安を解消するためにも、出生時育児休業給付金の手続きにおいては、迅速に対応するように心がけましょう。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」

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