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自己肯定感が低い若手社員をどう育てる?~高め方のヒントと承認スキル

2021年9月13日更新

自己肯定感が低い若手社員をどう育てる?~高め方のヒントと承認スキル

昨今、若い世代を中心に自己肯定感の低い人が増えてきました。自己肯定感の状態は、仕事や人間関係等、日常生活全般に大きな影響を与えます。そこで、本稿では、自己肯定感を高めるための考え方、そして承認スキルについてご紹介します。

INDEX

自己肯定感とは

自己肯定感とは、自らの存在意義や価値を積極的に評価できる感情を意味することばです。内閣府が公表した令和元年(2019年)版「子ども・若者白書」では、日本の若者の「自己肯定感」が低いことが指摘されています(下図表)。特に欧米6か国との比較では最も低いという結果が出ました。
自己肯定感が低いと、チャレンジすることもなくなりますので成長しませんし、生きがい、やりがいも感じられません。そういう若者が増えると、社会全体の活力が低下してしまうので大きな問題なのです。

自己肯定感

出典:内閣府・令和元年(2019年)版「子ども・若者白書」

自己肯定感を高めるためのヒント(1)強みに着目する

1998年に米国の心理学者マーティン・セリグマンが発表した「ポジティブ心理学」は、「人間のもつ長所や強みを明らかにし、ポジティブな機能を促進してゆくための科学的・応用的アプローチ」と定義されます。従来の心理学が主に精神疾患の治療を目的としてきたのに対し、ポジティブ心理学は、「自らの長所・強みを伸ばすためになにが必要なのか」「人生をよりよくするためにどうしたらいいのか」という観点でものごとをとらえるのが特徴です。
ポジティブ心理学が目指しているのは、個人の幸福や社会の繁栄であり、そのために人間の心の働きの弱点に注目するのではなく、その長所や強みに注目するべきだと主張しています。

自分の強みを知って自信を深めることの重要性は、昨今の心理学の研究成果からも実証されています。フロリダ大学のティム・ジャッジとチャーライス・ハーストは、14歳から22歳の男女7,660人の追跡調査を25年間にわたって行いました。その結果、若いときに自信をもっていた人たちは、その後の収入、仕事への満足度、肉体的健康、各面で良好な状況にあることが明らかになりました。
こうした結果から、ジャッジとハーストは「自分の強みを知り、若いうちに自信をつけた人たちは、生涯にわたって大きくなり続ける「累積的優位性」を手に入れていると考えられる(※1)」と結論づけています。

このように自分の強みを知ることが自己肯定感につながるという主張は欧米の心理学の主流の考え方となっています。

※1
Judge,T.A., & Hurst,C.(2008).How the rich (and happy) get richer (and happier):Relationship of core self-evaluations to trajectories in attaining work success.Journal of Applied Psychology,93.849-863.

自己肯定感を高めるためのヒント(2)自分の人生を大切にする

現代社会を生きる私たちは常に評価にさらされています。いい結果を出せばプラスの評価を得られますが、好ましくない結果が出たら、マイナスの評価を下されてしまいます。その場が、家庭であれ、学校であれ、会社であれ、はたまたSNS上であれ、自らの行動には何らかの評価が付きまといます。だから、私たちは評価を気にするあまり、自分の人生を生きているという感覚が薄らいでしまいがちです。

結果を出して、いい評価を得ることももちろん尊いことですが、この世に生を享けて生きているということ自体がもっと尊いことです。
遺伝子研究の世界的権威・村上和雄氏(故人)によると、人が生まれてくる確率は、1億円の宝くじが100万回連続で当たるくらいの、希少な確率だそうです。そう考えると、私たちの存在は貴重であり、生きているだけでも素晴らしいことではないでしょうか。

長い人生、いろいろなことがあります。いい時ばかりではなく、生きていくのがつらい時もあるでしょう。そういう時こそ、自分の存在価値に思いを巡らせることが大切です。奇跡に近い確率で与えられた、貴重な自分の人生を大切に生きていこう。そういう考え方が自己肯定感の向上につながり、仕事や人生の充実につながるでしょう。

自己肯定感が低い若手社員をどう育てる?

承認

部下を持つ立場にある方は、自己肯定感が低いといわれる若手社員をどう育てていくのか、という問題に向き合うことになります。
彼らを育てるのに欠かせないのが「承認」のスキルです。そもそも自己評価は、他人の基準で自分がどう見られているかに大きく左右されると言われています。従って、他者からの肯定的な評価、すなわち承認を受ける機会が増えれば、自己評価を上げることができるのです。そして、自己評価が上がって自信をもてるようになれば、挑戦意欲が高まって、高い目標に向かって自らアクションを起こすようになります。
自信をもてない若者が増えているからこそ、企業内教育においても承認を重視すると同時に、承認上手なリーダーを育てることが求められているのです。

松下幸之助が実践した「承認」

弊社創設者・松下幸之助は、承認によって人を育てることが上手な経営者でした。幸之助は、部下に対してチャレンジングな目標を与えた際には必ず「君ならできる!」と承認しました。承認された相手は、自信とやる気が高まり、目標達成に向かって全力を傾けると同時にそのプロセスで能力的にも人間的にも成長していきました。

幸之助は、「ものをつくる前に人をつくる」と常々語っていましたが、その人づくりの要諦とは、承認することであったと言えます。幸之助の時代と現代とは大きく状況が異なりますが、承認の重要性は一層増しているのではないでしょうか。

相手のパフォーマンスに応じて承認を使い分ける

ただし、やみくもに承認すればいいというわけではなく、相手に応じて承認の仕方を変える必要があります。同志社大学の太田肇教授は、パフォーマンスの高い人には、能力、業績、貢献度をそのまま承認すればいいが、パフォーマンスの低い人には、パフォーマンスを上げるための支援と承認をセットで行うことが重要であると指摘しています。
承認は、相手の存在・行動・考えなどを認め支持する行為を意味しますが、「承認上手な人」とは、相手や状況に応じた承認の使い分けができる人のことを指します。

「結果承認」と「経過承認」

また、一口に承認と言いますが、相手の出した結果に注目する「結果承認」と、結果を出すまでのプロセス(経過)に注目する「経過承認」の2種類があります。両者の違いは、以下のような具体例で見てみると明確になります。

◆大きな成果を上げた部下に対して
「すごい成果だね、さすがだ。ご苦労さん!」→結果承認

◆成果は出てないけれど、努力し続けている部下に対して
「毎日よくがんばるなあ。この調子で努力すれば必ず成果が出るよ」→経過承認

結果承認をされると、モチベーションが上がるでしょうが、良い結果が出たから承認されたと認識していますので、結果だけに意識がとらわれてしまう恐れがあります。一方、経過承認をされると、結果を出すに至るプロセスもしっかり見てもらっているという実感がありますので、いい結果を出すために、いいプロセスを踏もうと意識を向けるようになるでしょう。このように、承認にも種類があり、その機能の違いを認識して使い分けることが大切なのです。

部下を観察しないと承認できない!

しかしながら、私たちは日常、無意識的に結果承認ばかりをしがちではないでしょうか。職場で部下が成果を上げた時は、大いに賞賛をしますが、それ以外の時はどうでしょうか。大きな成果を上げてはいないけれども、地道にコツコツ努力している部下がいた時に、そのことに注目し、経過承認できているでしょうか。

結果というのは、目につきやすいし、それほどの意識を向けなくても気づきやすいものですが、経過というものは、よほど意識を向けて日々観察しつづけなければ発見できないものです。だからこそ、部下が成果はまだ出せていないけれども、日々努力していることを上司がきちんと発見して承認を与えれば、「上司はそこまで見ていてくれるんだ」と部下を感動させ、この上ない力と勇気を与えることになるのです。

部下を持つ立場にある方には、観察眼を養い高め、目立たないけれども前向きにがんばっているメンバーの姿勢を発見し積極的に承認して、職場全体のやる気アップにつなげる努力が求められています。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部部長
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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