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社員教育体系とは~人材育成の環境づくり

2017年10月25日更新

社員教育体系とは~人材育成の環境づくり

自社に最適な社員教育体系を構築するためには、まず、どこから手をつければいいのか。その基本となる考え方をご紹介します。

【ポイント】

・最初から理想的な教育体系をつくるのではなく、できるところからコツコツと
・ビジョン・経営戦略から経営ニーズを、現場から教育ニーズをきめ細かくリサーチする
・教育体系は「人材育成の環境づくり」「社員教育の機会の提供」「場の提供」と考える

教育体系の構築は、まずできるところから

「教育体系をつくりたい」「教育体系を見直したい」という相談をよく受ける。それまで、場当たり的にしか研修を実施してこなかった企業が、いきなり「教育体系をつくりたい」という依頼もある。 そもそも教育体系は、経営戦略や経営計画を踏まえたもので、人事制度とも密接に連動しているものだ。教育の目的はビジョンを実現するためであり、経営戦略を推進するためである。経営戦略やビジネスモデルが間違っていては、いくら教育したところで業績が向上するはずがない。間違った戦略を一所懸命に推進する社員を育てると企業がどうなるかは自明の理だ。まずは、経営者が自社の経営戦略が正しいか、勝てるビジネスモデルをつくっているか、そこから自問自答することが、教育する以前の大前提になる。 戦略やビジネスモデルは旧来のままで、実績が上がらない原因を幹部や社員のせいにしている経営者をよく見かける。こうした経営者は、大企業のモノマネや研修会社の提案を鵜呑みにするという危険な過ちを犯していることが多い。これでは教育効果が出ないと嘆くのは当然で、教育費の無駄遣いをして研修会社を儲けさせているだけである。 特に中小企業が社員教育を実施する場合には、すぐに成果を期待できる教育からはじめるとよい。一番重要な課題や大きな問題があるところから教育していきがちだが、これらは時間がかかり、社員の意識も変わりにくいこともあり、なかなか効果が出ない。中小企業の場合は、社員教育を行うための資金や時間には制約があるため、投資対効果の高いものから実施するように薦めている。

環境づくりの一環としての教育体系 

しっかり教育をしている企業の教育体系をみると、やはり階層別研修と職種別研修、選抜研修、選択研修で構成されていることが多い。最近は、「自律型人材育成研修」や「次世代リーダー養成研修」、節目ごとの「キャリア開発研修」などに力を入れている。しかし、中小企業の研修や教育体系に目を向けると、人材育成の仕組みと呼ぶには程遠い現状であることを筆者は危惧している。いきなり体系的に教育することはできなくとも、教育体系を構築していこうと努力することは、企業にとって重要であると認識すべきである。

経営者の仕事で一番大切なことは、社員が成長できる環境づくりである。もちろん、業績を上げることは大切だが、何よりも最優先して、社員の人間力や仕事力を伸ばすことを考えたい。社員一人ひとりの力を伸ばすことによって、企業の業績が向上し、企業が成長することができる。先輩・上司によるOJT(現場指導)が人材育成の根幹をなすものとして異論はないが、OJTだけでうまくいくものでもない。OJTを支援・補完するために、社員研修といったOff-JTが大切なことを十分理解してほしい。特に、少数精鋭でプレイングマネジャーが増えてきている現状から、現場教育が手薄になりつつある。今後、社員研修のウェイトが高くなってくると思われる。現場教育の機能が低下している現状、教育体系に対する期待は高まりつつある。

必要なところから教育する

教育体系をつくるということは、仕事を離れての教育・研修機会を提供し、社員の「気づき」「やる気」「ひらめき」を創造する場を戦略的に提供することである。新入社員から役員までの全階層、製造・営業・経理などの全職種にわたり、抜けやモレなく教育するメニューをつくらなければならないと思うかもしれないが、必要なところからつくっていく発想でよい。

経営目標を達成するために、人材育成を通じて経営戦略を推進していくためのスキルやマインドを学ぶ研修の機会をつくることが必要である。その上で、「実践の場を与える」ことが社員の成長と組織の活性化につながるものだ。OJTやローテーションと現場がうまく連動することも必要であることは言うまでもない。

出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

PHP公開セミナー

茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

松下直子(まつした・なおこ)
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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