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職場のメンバーに共同体感覚を育む大切さ

2016年2月19日更新

職場のメンバーに共同体感覚を育む大切さ

アドラー心理学では、「共同体感覚」を醸成することが、よりよい人間関係のゴールであると位置づけられています。永藤かおる氏の解説です。

共同体感覚とは?

「共同体感覚」聞き慣れない言葉ですが、アドラー心理学では、この共同体感覚を醸成することこそが、よりよい人間関係のゴールであると位置づけています。

現代日本に生きる私たちは、多かれ少なかれ、何かしらの複数の共同体に属しています。最もわかりやすいのは職場や家庭。顧客や取引先との関係。ほかにも地域社会や友人との交流の場、新旧問わず学びの場など、自分と自分以外の誰かがいて、そこに何らかの関係性が生じているのであれば、それはひとつの共同体となりえます。

ご自身の所属する共同体を思い出してみてください。自分と相手と二人だけの共同体もあれば、数百人、数千人規模の共同体もあるでしょう。その共同体に対する「所属感」「共感」「信頼感」「貢献感」を総称した感覚・感情を「共同体感覚」と定義します。そして、共同体感覚は、精神的な健康のバロメーターと見なされています。

たとえば、ご自身と所属している組織の関係性を意識してみましょう。毎日職場に行って、居心地が悪いと感じる、同僚や上司に対して共感や信頼感をもことができず、不信感のかたまりだ、当然ながらそんな人たちや、組織に対して貢献しようとは思えない……そんな思いを抱えながら日々の生活を送っているとしたら、それは精神的に健康な状態ではありません。この「組織」を「家庭」や「友人関係」に置き換えても同じです。

ともに仕事をしている、家庭を営んでいる、友情を育んでいる人たちと一緒にいるときに、自分らしさを発揮でき、居場所を感じられる。個性豊かな人たちだけれど、それぞれを尊重し、信頼することができる。そしてその人たちに対して自分がどんな貢献ができるだろうかと考えることができる。そんな心の持ちようこそが、精神的に健康な状態であるとアドラー心理学では考えるのです。

それは顧客や取引先など利害関係が生じる相手との共同体でも同じです。だましだまされて不信感を抱いたり、足を引っ張りあったり、蹴落としたり、陥れたりというような関係性は長く続くわけがありません。利害があってもWIN-WINの関係を良好に築き続けるためには、共同体感覚をもつことが必要になります。

職場の共同体感覚を育む方法

では、具体的にどうしたら共同体感覚をもつことができるのでしょうか。共同体感覚を育んでいくには、どのようにすればよいのでしょうか。

アドラー心理学の祖、アルフレッド・アドラーは、「人生とは『仲間の人間に関心を持つこと、共同体の一員になること、人類の福祉にできるだけ貢献することである』という確信に支えられたものである」という言葉を残しています(『人生の意味の心理学』高尾利数訳 春秋社刊)。

「仲間の人間に関心をもつ」。共同体のメンバーは、自分が好きこのんで選んだ人たちとは限りません。職場などはとくに、気の合わないタイプと同じ共同体の一員になることもあるでしょう。だからこそあえて関心を寄せてみると、意外な共通点を発見できるかもしれません。「嫌な面」だけにフォーカスをせず、多面的に関心を寄せることによって苦手が薄れる可能性は大きいです。

今いる共同体の居心地が悪いときは……

「共同体の一員になる」。今いる共同体の居心地が悪く、人間関係の閉そく感を感じるのであれば、違う共同体にあえて飛び込んでみるのもいいでしょう。職場でダメだから自分はダメなんだ、と考える前に、自分の世界を広げ、いろいろな人に会ってみる。小学校や中学校では友達ができなかったのに、大学で生涯の親友に出会えた、という人もいらっしゃると思います。友やパートナーを得たことで、人生が明るく穏やかになった、自分が変わり、それまでの人間関係も修復できた、ということも非常によくあります。

「人類の福祉にできるだけ貢献する」。とてつもなく大きな話のようですが、目の前の人をちょっと手助けしたり、募金をしたりという身近なところから実践していくことができます。「自分が誰かに貢献できている」という気持ちは自己肯定感を高めます。目の前のことだけではなく、広い視野で物事を見ることができると、目の前の閉そく感は解消されていきます。

職場づくりにおいても、こうした視点をもってサポートしていくことで、職場のメンバーに共同体感覚を育んでいくことができます。

一人ひとりが自分らしさを十分に発揮しながらいきいきと仕事に取り組むことができる「勇気づけ」に満ちた職場づくりのために、ぜひ実践してみてください。

「アドラー心理学に学ぶ『勇気づけ』の職場づくり」一覧はこちら

通信教育「リーダーのための心理学入門コース」はこちら

永藤かおる(ながとう・かおる)

(有)ヒューマン・ギルド研修部長。心理カウンセラー。1989年、三菱電機(株)入社。その後ビジネス誌編集、海外での日本語教育機関、Web 制作会社など、20年以上のビジネス経験のなかで、人事・採用・教育・労務管理等に携わる。どの現場においてもコミュニケーション能力向上およびメンタルヘルスケアの重要性を痛感し、勤務と並行して学んだアドラー心理学を生かして現在㈲ヒューマン・ギルドにてカウンセリング業務および企業研修を担当。著書に『「うつ」な気持ちをときほぐす 勇気づけの口ぐせ』(明日香出版社)、PHP通信ゼミナール『リーダーのための心理学 入門コース』(監修:岩井俊憲、執筆:岩井俊憲・宮本秀明・永藤かおる、PHP研究所)などがある。

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