新入社員が育つ良好な組織風土をつくるための4つの打ち手とは?
2023年4月 4日更新
新入社員の方々が、日々の仕事にやりがい・働きがいを感じ、エンゲージメントの高い状態で会社生活を過ごすための組織風土とは? 良好な組織風土をるくるために、組織運営を預かる現場の責任者が何をすればいいのかを解説します。
組織風土とは?
組織風土とは、組織の構成メンバーの間で共有されている慣習や価値観、考え方を指します。会社ごとに、それぞれ独自の組織風土が存在しますし、同じ会社でも事業所や部署が異なると組織風土に差異が生じます。
経営者の中には、組織風土を重視する人が少なくありません。その一人、松下幸之助は、「上に立つ人は、部下が自主経営意識を養い高めていくよう要望するとともに、日ごろから部下の意見に耳を傾け、提案が出やすいような風土をつくっていくことが大切である」という持論をもっていました。
また、組織風土が構成員のやりがいや成長、組織としてのパフォーマンスに大きな影響を及ぼすことは、経営学の諸研究からも実証されています。
このように、経験をもとに構築された実践知と、アカデミックな研究から解明された知見の両面から、組織風土の重要性が指摘されているのです。
参考記事:成果に直結する組織風土改革の進め方とは? 成功事例も解説│PHP人材開発
組織風土と心理的安全性の関係
人が育つ良好な組織風土とは、昨今の注目ワードを借りるなら、心理的安全性の高い状態と表現できるでしょう。
心理的安全性の高い状態とは「対人関係においてリスクのある行動を取っても、『このチームなら馬鹿にされたり罰せられたりしない』と信じられる状態」を意味します。
そうした状態の組織では、人びとは本音を語るようになりますし、失敗を恐れず積極果敢に挑戦するようになるでしょう。そして、成長実感を得ると同時に主体性とやる気が高まり、組織や仕事に対するエンゲージメントが向上するのです。
参考記事:「心理的安全性」とは?「ぬるま湯組織」が若手社員の成長を阻む│PHP材開発
人が育つ組織風土をつくるための4つの打ち手
では、そのような状態の組織風土をつくるために何をすればいいでしょうか。組織運営を預かる現場の責任者の方がたが取るべき打ち手には、以下の4つがあります。
(1)使命感をもたせる
組織のミッション、ビジョンを掲げ、メンバー間で共有する
(2)お役立ち感を感じさせる
メンバーに役割を与え、「組織のビジョン実現に参画・貢献している」という実感をもたせる
(3)承認する
相手の長所を見て、相互に承認し合うことを各メンバーに促す
(4)ロールモデルになる
組織責任者自らが手本となるべく、日々の自己研鑽を怠らない
組織風土の変容に新入社員を巻き込む
組織風土は、これまでの組織の歴史の中で起きた出来事や、関係する人たちの間で継承されてきた考え方等が蓄積されて形成されるものです。したがって、いったん形成された組織風土の質は、維持・強化されやすい傾向にあります。しかし、何らかの変化がきっかけとなって、組織風土に変化の兆しが出て来ることはありえることです。
そういう意味で、新入社員が職場に入ってくる機会を変化の触媒と捉え、彼ら・彼女たちに風土変革の担い手としての役割を与えることは有効な取り組みと言えます。つまり、自分たちが働きやすい組織風土を自分たちでつくっていく、そんな感覚を新入社員にもたせるのです。そのことが当人たちの主体性を育むと同時に、組織開発が進展していく好機となるでしょう。
的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。