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新入社員や若手社員がレジリエンスを高めるには? 失敗から立ち直る3つのステップを解説

2023年8月 9日更新

新入社員や若手社員がレジリエンスを高めるには? 失敗から立ち直る3つのステップを解説

新入社員や若手社員がレジリエンスを高めるには? 仕事の失敗にうまく対処し、立ち直る力を身につける考え方をご紹介します。

INDEX

新入社員・若手社員のレジリエンスを高めるには

新入社員・若手社員が、失敗から立ち直れず、いつまでも元気がでないという声を、人事教育ご担当者から聞くことが増えています。彼ら・彼女らに失敗から立ち直ってもらうために、どのような考え方を教えるといいでしょうか。

「学習性無力感」に支配されないために

私たちは、状況によっては、失敗という痛い経験や、それにともなう逆境がトラウマになり、「無力感」というネガティブな感情に支配されてしまうことがあります。

たとえば、仕事でうまくいかなかったときに、ほかの分野でも失敗するのではないかと考えてしまったり、失敗が原因で上司に非難されると、周りの人も自分のことを批判しているような被害者意識をもってしまったりします。これが「学習性無力感」です。

失敗から立ち直るには、こうした感情の流れを断ち切る必要があります。そのためには「失敗体験」そのものを冷静に分析し、理解する必要があるのです。

参考記事:レジリエンスとは? 意味や高める方法を解説│PHP人材開発

失敗には3種類ある

失敗

失敗は、大きく次の3種類に分類することができます。

(1)予防できる失敗
不注意や不勉強が原因で発生する失敗。典型例は、多忙や睡眠不足による集中力低下が原因で起こるケアレスミス。

(2)避けられない失敗
業務のプロセスそのものに問題があったり、そもそも技術的に困難だったりすることで発生する失敗。

(3)知的な失敗
新しいアイデアを試したときや、革新的な知識の可能性を探る実験などにおいて発生する失敗。

失敗への対処 3つのポイント

では、失敗を経験したときにはどのように対処したらいいのでしょうか。その対処には3つのポイントがあります。

1)失敗経験をしたら、3種類の失敗から分類する
2)不必要に自責の念をもたない
3)失敗の種類に応じて適切な対応をとり、積極的に学習する

たとえば「予防できる失敗」は、事前の準備を怠ったために起きてしまった失敗であることから、反省し、学習ツールを活用するなどして、大きな失敗につながる前に原因を理解し、同じことを繰り返さないように学ぶべきでしょう。「避けられない失敗」であれば、その原因は「複雑さ」にあることが多く、仕事の手順を見直してみることも有効と考えられます。

まずは先述の3種類のうちどの失敗に分類されるかを検討し、必要以上に自責の念をもたないよう注意しながら適切に対応します。さらに、それを自らの学習につなげることが大切です。

PTG(ポスト・トラウマティック・グロース)とは?

失敗を糧として、その後大きく成長できる人もたくさんいます。いわゆる修羅場を切り抜けると、経験値が増して、人はより強くなれるものです。これは「PTG(ポスト・トラウマティック・グロース)」と呼ばれ、「トラウマ後の成長」「心的外傷後成長」と訳されています。

そのためにはあえて一人の時間をつくり、日常生活から離れてみるのも良い方法です。いうなれば「知的でポジティブなひきこもり」になるのです。
一人になって気持ちが落ち着いたら、過去の逆境体験を思い出し、そこからどうやって立ち直ったのか、何がきっかけで好転したのかを客観的に見つめ直してみましょう。そこに逆境を乗り越えるためのヒントがあるはずです。

事実そのものよりも、「そのとき自分なりにどういう意味づけをしたのか」を振り返ることがポイントです。過去の痛い経験が何らかの気づきを得た瞬間が、その人が「成長した瞬間」です。その気づきは困難を跳ね返す強さとなり、レジリエンスの獲得に一歩近づいたことになるのです。

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サポーターの存在がレジリエンスを高めてくれる

サポーター

心理学の研究において、「人との親密な関係が人生の満足感や幸福感の源になる」ことが実証されています。また、レジリエンスの研究においては「精神的な落ち込みから早く立ち直れる人ほど、まわりに『心の支えとなる人』が存在する」ことがわかっています。

つまり、人と親しく交流し、その人から叱咤激励してもらえることで、困難な状況から再起する力が高まるということです。支援してくれる人物を「サポーター」と呼び、支えてもらえる行為を「社会的支援」といいます。

質の高い人間関係がポイント

レジリエンスが高まるようなサポートを得るためには、「質の高い人間関係」を築くことが不可欠です。職場で質の高いつながりをつくるには、次の4つの要素が重要となります。

(1)助け合いのある関わり
相手が助けを必要としているとき、タイミングよく思いやりをもって接すること。

(2)リスペクトのある関わり
相手に対して敬意を払い、失礼な態度を取らないこと。

(3)信頼性のある関わり
相手を信頼し、相手に対して誠意をもち、それが行動にも表れていること。

(4)遊び心のある関わり
一緒にイベントに参加したり、楽しみながら共同作業をしたりして、悩みごとが吹き飛ぶような心理的軽快感が得られていること。

サポーターになり得る人とは

サポーターになり得る人は、職場の同僚や上司に限りません。学生時代からの親友、恩師、家族、信頼できるカウンセラーのほか、犬や猫などのペットも心の支えになる場合があるでしょう。孤独な決断を迫られる企業経営者は、かかりつけ医や税理士、異業種の経営者仲間、趣味の仲間がサポーターになることもあります。いずれにしても、少なくとも「5人」くらいのサポーターをもつべきだと考えられています。

サポーターに感謝を表す

心理学の研究で、「感謝のポジティブ感情が豊かになると、ストレス耐性がつく」ことがわかっています。感謝の気持ちをもつことで、「今ここにあるもの」に注意が向くため、過去や未来にとらわれて起こる「ネガティブ感情」が解消されるのです。

サポーターへの感謝を表す方法としては、その人に対する感謝の言葉を日記につけたり、本人に直接手紙やメールを送って感謝の気持ちを伝えたりするといいでしょう。普段あまり意識していないかもしれませんが、親も大事なサポーターです。父の日や母の日、誕生日といった機会に感謝の気持ちを伝えることもできます。

失敗したときや逆境にあるときだけでなく、日々の仕事においても私たちは周りから大いに助けられています。新入社員や若手社員なら、それはなおさらのことです。先輩・上司や同僚の小さな支援にも目を向け、感謝する習慣をもつことが自らの成長につながることを、日々の仕事の中で教えていきたいものです。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『レジリエンスの高め方入門コース』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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