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オールドボーイズネットワークとは? 女性の活躍を阻むネットワークの概要と対策を紹介

2023年3月23日更新

オールドボーイズネットワークとは? 女性の活躍を阻むネットワークの概要と対策を紹介

オールドボーイズネットワークとは、男性中心の組織で培われてきた独特の文化や仕事の進め方、人間関係を指す言葉です。多数派である男性メンバーの間で暗黙のうちに築かれてきたもので、女性や若手の活躍を阻害する要因のひとつとされています。本記事ではオールドボーイズネットワークの内容や弊害、改革のために人事ができることついて解説します。

INDEX

オールドボーイズネットワークとは

オールドボーイズネットワークとは、男性中心社会の企業コミュニティで培われてきた非公式な組織構造です。わかりやすくいえば、社内の派閥や飲み仲間、業界・職種の勉強会など、社内外で見られる男性中心のコミュニティを指します。
ここでは、オールドボーイズネットワークの内容や事例などについて、詳しくみていきましょう。

男性中心に組織された人間関係

日本企業では長く終身雇用や年功序列の制度が続くなかで、多数派である男性が中心となって暗黙のうちにオールドボーイズネットワークが築かれてきました。

オールドボーイズネットワークの男性を中心に組織された人間関係は、組織の中心となり、企業風土や暗黙の了解・根回し文化などのビジネスルールを形成してきました。

女性の活躍を阻む問題のひとつ

企業にはオールドボーイズネットワークで築かれ、共有されたの文化や暗黙のルールがあります。オールドボーイズネットワークは排他的であることが多く、組織のなかで仕事を進めるために必要となるこうした暗黙のルールは、少数派である女性にはほとんど伝えられてきませんでした。これが女性の地位向上・活躍を阻む要因のひとつとされています。

また、オールドボーイズネットワークには組織の上位者が一定数いて、昇格者を男性から選ぶ、必要な会議に女性を呼ばない、資料・情報を共有しないといった無意識の行動をとる傾向があるといわれます。また、ハードな業務や緊急・トラブルの対応は男性が行い、女性はサポート業務を行うものという思い込みがあるのも特徴の一つです。

オールドボーイズネットワークの事例

オールドボーイズネットワークは、男性中心社会である企業コミュニティのなかで、さまざまな形態で組織されていました。

オールドボーイズネットワークの事例には、発言力や影響力がある人のもとに集まる社内派閥や会社帰りの飲み会、経営者の親睦団体などがあげられます。男性はこれらのネットワークで人脈を作り、情報交換や仕事上の便宜を図るなどして独特の文化を築いてきました。

オールドボーイズネットワークの弊害

オールドボーイズネットワークは男性中心の組織であるため女性や若手が入る余地がほとんどなく、さまざまな弊害を生みます。また、変化の激しい時代に新しいものを生み出すイノベーションの創造を阻害するという問題もあります。

オールドボーイズネットワークが組織に存在する場合、その影響により、どのような弊害を生み出すのかをみていきましょう。

女性社員の管理職登用など活躍を阻む

男性中心の組織・オールドボーイズネットワークは、独特の文化やしきたりを暗黙のうちに築き、共有・伝承されてきました。たとえば、日本では古くから「男性は仕事、女性は家庭」という価値観があり、「家族の中でお金を稼ぐのは男性」という意識が根強くあります。時代とともにそうした価値観は過去のものになりつつあるのですが、オールドボーイズネットワークでは、そうした価値観が改められず、今でも主流となっていることがあります。

日本企業の多くは、これまで、新卒一括採用や終身雇用など長期間働くことが前提の雇用システムを採用してきました。また、年功序列制度のもとで昇給・昇格を目指すことが一般的でした。そのため、男性中心のネットワークが形成されやすかったのです。

オールドボーイズネットワークには、基本的に女性の入る余地はなく、男性同士のコネや人脈が重要視され、ゴルフ場や終業後の飲み会など、非公式の場で仕事が進むことさえあります。女性社員は、そうした場所での人脈作りから疎外されていて、暗黙の裡に形成される合意事項などの情報が手に入らないため、仕事の便宜も図られず、実質的に昇進・昇格のチャンスも阻まれてきたのです。

若手社員の成長を阻む

オールドボーイズネットワークは、女性社員の活躍だけでなく、コミュニティに入れない若手社員の成長も阻害します。
ネットワーク内で仕事の方針や重要事項が決まり、人間関係が構築されていくなかで、飲み会に参加したり休日にゴルフ場へ足を運んだりしない若手は企業の中で少数派になります。仕事へのモチベーションを下げ、成長意欲もなくなるでしょう。

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イノベーション創出を阻害する

オールドボーイズネットワークは、イノベーションの創出を阻害します。高度経済成長の時代にはオールドボーイズネットワークのような男性主導の組織でもうまくいっていましたが、現代はダイバーシティ&インクルージョンが求められる時代です。

ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様な人材を活かし、それぞれの能力が発揮できるようにするための取り組みです。個々の能力を認め、チームワークで組織の目標を達成します。

ダイバーシティ&インクルージョンのもとでは多様な価値観から新しいアイデアが生まれ、イノベーションを促進することが可能です。これに対し昔ながらのオールドボーイズネットワークが残る状態では、イノベーションを起こしにくくなるでしょう。

参考記事:ダイバーシティの推進~人的資本経営を実践する│PHP人材開発

オールドボーイズネットワークを変える10か条

ダイバーシティマネジメントを推進するNPO法人J-Winでは、男性自身が男性特有の行動に気付くことがオールドボーイズネットワークの壁を低くする、という考え方に基づき、次の10カ条を掲げて男性の行動変革を呼びかけています。

変えられる行動10か条

第1条:行動(成功体験)の押し付け
成功体験はあなたの宝物として心にしまっておきましょう

第2条:上司への忖度
上司の顔色よりも部下の行動の成果を見ましょう

第3条:男女間の不公平
仕事の進めやすさ、振りやすさに関係なく、平等に仕事が分担できるよう、マネジメントしましょう

第4条:傾聴がない
話の腰を折らず、最後までしっかり聴きましょう

第5条:理解不足
一人ひとりの仕事に対する価値観を尊重しましょう

第6条:放置
仕事の目的、背景をしっかり説明した上で、部下に仕事を任せ、伴走しましょう

第7条:男性固有のネットワーク
部下から誤解を招くような固有のネットワークは避けましょう

第8条:男性固有のイベント
物事はオープンな場所で決めましょう(喫煙所、飲み会、ゴルフ場等では決めない)

第9条:生活リズムの男女差
・歩行や食事のスピードに配慮しましょう
・冷房のかけ過ぎに注意しましょう

第10条:合間(ランチタイム、移動時)の使い方
歩行中もランチタイムも(部下との)貴重なコミュニケーションの機会と捉えましょう

出典:NPO法人J-Win「J-Winレポート37号」

オールドボーイズネットワークの改革に人事ができること

オールドボーイズネットワークの改革に人事ができること

オールドボーイズネットワークが根強く残る組織は、風土改革が必要です。これからの時代に企業が成長するには、女性社員や若手社員をはじめ多様な人材が平等に機会を与えられ、活躍できなければなりません。そのためには、人事教育担当部門が先導して改革に取り組むことが必要です。

オールドボーイズネットワークの改革に人事ができること、しなければならないことについて解説します。

多様性を受け入れる風土を醸成する

オールドボーイズネットワークを改革するには、多様性を受け入れる風土の醸成が必要です。閉ざされたコミュニティで受け継がれてきた約束事やルール、仕事の進め方を見直し、誰からもみえるよう可視化しなければなりません。そのためには、人事が主導してダイバーシティへの取り組みを推進していくことが必要です。

古くからオールドボーイズネットワークが根付いた文化は、改革が難しい部分もあるでしょう。オールドボーイズネットワークの世代は、ダイバーシティ&インクルージョンの価値観を理解し受け入れることに抵抗を感じるかもしれません。

異なる価値観を受け入れ、変容することは簡単ではなく、多様な価値観が混在することで対立や誤解が生まれることもあるでしょう。

ダイバーシティを推進することだけを目的とすると、オールドボーイズネットワークの反発も予想されます。今後の社会で企業が生き残り、成長していくための取り組みであるなど、ダイバーシティに取り組む意義をしっかり共有することが必要です。

管理職向け研修を実施する

ダイバーシティの推進には、オールドボーイズネットワークのメンバーがダイバーシティについて理解し、受け入れるための研修が必要です。なかでも、オールドボーイズネットワークを形成している管理職を対象に研修を開催し、オールドボーイズネットワークが組織に与える弊害への気づきを促しましょう。組織の要となる管理職が多様な価値観を受け入れることに前向きにれば、組織風土も変わっていくでしょう。研修では、ダイバーシティ推進への不安を取り除き、これからの働き方について見直すきっかけを与えることがポイントになります。

1.オリエンテーション
講師からダイバーシティを推進する目的や必要性を説明し、各自がどのように取り組むべきかを考えてもらいます。
さらに、参加者が抱える現在の悩みを共有し、参加者同士も話しやすい場をつくります。


2.ダイバーシティ&インクルージョンを理解する
多様性を受け入れる風土を醸成するために必要なポイントを理解し、それを推進する管理者としての役割や行動を学びます。
理解するポイントは、以下の2つです。
●制度の仕組みと運用方法
●個々の違いを尊重し、受け入れること

3.オールドボーイズネットワークの存在に気づく
オールドボーイズネットワークがあることを理解し、多様性の推進を阻む無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に気づく講義です。管理者が陥りやすい主なバイアスを知り、その対策について学びます。
ワークにより自分自身の偏見に気づき、職場で意思決定を行う際に注意する点も確認します。

4.職場の関係性と自らの在り方を見直す
若手社員や女性社員との人間関係を見直し、適切なコミュニケーションをとる方法について学びます。また、部下や後輩の成長を促す支援について、考え方とスキルを習得します。

女性の活躍を推進する「女性リーダー研修」を行う

オールドボーイズネットワークの弊害をとりのぞき、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するために、女性社員向けの意識改革研修を実施するケースもあります。
女性活躍については、女性活躍推進法の制定など、国も先頭に立って推進しています。2022年4月には法改正があり、従業員数が101人以上の企業に、自社の女性活躍に関する情報を公表することが義務付けられました。

女性社員を対象とした研修は、主に以下の2つに分けられます。
 ●女性一般職を対象にする研修
 ●女性リーダーを対象にする研修

女性一般職を対象にする研修は、さまざまなライフイベントがある女性社員が、キャリアを継続できるようにする目的があります。
女性リーダーを対象にした研修は、長期的なキャリア構築の重要性や家庭と両立するためのノウハウを学びます。さらに、女性がキャリアアップを目指すマインドの醸成も目的です。女性リーダー研修には、成果を上げ活躍できる女性リーダーを育成し、女性リーダー同士の社内人脈を築くことで相互サポートを促進する狙いもあります。

また、女性リーダーが活躍するためには、上司の意識改革や支援が必要です。上司向け研修で、女性リーダーの活躍を支援する職場風土を作ります。

ここでは、女性リーダー研修の例をご紹介します。

1.オリエンテーション
研修全体の目的とゴールを確認し、自分がこの研修で何を得たいのかを明確にします。


2.ステップ アップする意義を話し合う
ステップアップすることの意義と、キャリアについて確認します。ステップアップすることで起こる環境変化や働き方についてを考え、自らのキャリアにどのようなメリットがあるのかを事例などをもとに学びます。

3.ワーク実施
よりよい未来を作る力を養うためのワークです。ワークでは自分のリソースを知り、リーダーとして他者のリソースに気づき活かすことの重要性を認識します。また、ワークを通じてリーダーシップとは何かを学びます。

参考:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」

まとめ:多様な人材が活躍できる組織風土をつくろう

オールドボーイズネットワークは、高度成長期以降、男性中心の社会において築かれてきたものです。労働人口が減少していくなかで、企業がこれまでのように成長を続けるには、女性社員や若手社員の活躍が欠かせませんが、オールドボーイズネットワークが存在すると、その障壁となってしまいます。

企業で働く人たちが多様な価値観を受け入れ、働く人すべてがその力を発揮できるように、人事部門が先導して、組織風土改革を進めていきましょう。

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