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企業文化とは? 重要性や事例、醸成に必要な要素を解説

2024年1月17日更新

企業文化とは? 重要性や事例、醸成に必要な要素を解説

「企業文化」とは、企業とその従業員が共有する特有の価値観や行動規範のことです。ここでは、企業文化の定義や、組織風土や社風との違い、なぜ重要なのか、醸成に必要な8つの要素、そして大手企業の事例などを詳しく解説します。

INDEX

企業文化とは? 組織風土や社風との違い

まずは、企業文化の具体的な意味や組織風土と社風との違いを解説します。企業文化とは、企業とその従業員が意識的、あるいは無意識的に共有して培われる独自の価値観や行動基準のことです。
組織風土との違いは、自然に生まれてくるものであるかどうかや、変化しやすいものであるかどうかという点にあります。また、社風とは会社の特徴や雰囲気まで含むかどうかという点で違いがあります。

企業文化の意味

企業文化は英語で「corporate culture」や「company culture」、または「business culture」と表現されます。企業文化の根底には創業時からの歴史や伝統、実績、経営者の考えが深く影響しており、その内容は企業ごとでさまざまです。
さらに企業文化は、企業のアイデンティティを形成するため、経営活動や事業活動に対して大きな影響を与えるものであり、外部からの企業イメージにも直結します。そのため、いかに自社にあった企業文化を構築するかが重要な課題です。この点を理解することが、企業の成功につながるともいえるでしょう。

企業文化と組織風土との違い

「組織風土」とは、組織に所属する個々の人々の価値観が融合し、組織全体として表面化した価値観のことです。企業文化と組織風土には、主に2つの違いがあります。
企業文化は、企業が掲げる経営理念や行動規範を基盤に、意識的または無意識的に価値観が構築されます。一方、組織風土は、企業内で働く従業員間の人間関係をもとに、自然に生まれてくる価値観によって形成されるものです。
2つ目の違いは、企業文化は外部の影響を受けやすく、状況によっては変化する可能性があることです。対して組織風土は外部の影響をほとんど受けず、世代を超えて継承されるため、変化するのには時間がかかります。

参考記事:人が育つ組織風土 6つの必要条件とは?│PHP人材開発

企業文化と社風との違い

「社風」という言葉は、「企業文化」と同じように使われることがありますが、まったく同じ意味というわけではありません。社風は、従業員が感じるその企業の特性や雰囲気を表します。
企業文化が従業員間で共有される文化を指すのに対し、社風は「活発さ」や「アットホームな雰囲気」「穏やかさ」など、職場の空気感も含んでいることが大きな違いです。社風が存在することで従業員は日々安心して働け、チームの一体感も高まります。
また社風は、企業文化と組織風土が融合することによって形成されるものです。社風を形成する要素の一つとして企業文化があると理解すると、その意味がより明確になるでしょう。このように、社風は企業の個性と雰囲気を反映し、働く人々の絆を強める役割を果たします。

企業文化が重要視される理由

企業文化が重要視される理由

ここでは、企業において企業文化が重要視される理由を解説します。企業文化が重要視される理由は主に次の3つです。

●従業員にとって共通の指針になる
●生産性向上につながる
●人材の定着率向上が期待できる

企業文化を重要視することで、従業員が日々の業務で判断に迷わず迅速に決断できたり、モチベーションや定着率が向上するといったメリットがあります。

従業員にとって共通の指針になる

企業文化が重要なのは、全従業員が企業文化という共通のガイドラインを持つことで、現場での意思決定が迅速に正しくできるためです。ビジネスの現場では、日々決断を迫られることがあり、意思決定の遅れや判断ミスから致命的な結果を招くこともあります。
企業文化が明確になっていると、それが社員全体の共通のガイドラインとして機能するため、従業員が現場で優先順位を迷いなく決定でき、判断ミスを防げるでしょう。
マネジメントにおいても、指示を出す際に企業文化を鑑みることで迷いが解消されるでしょう。

生産性向上につながる

企業文化があることによって、従業員間の協調性やモチベーションを高め、結果として生産性を向上させる可能性があることも見逃せません。明瞭な企業文化が存在する場合、従業員は「自分が会社のために何を達成できるか」や、「その目標を達成するためにどのような行動をとるべきか」を自主的に考えて行動できます。
たとえば「挑戦を重視する」という企業文化があれは、新たなアイデアを提案する意欲的な社員が増えます。また「顧客満足度を重視する」という企業文化があれば、顧客の視点で業務に取り組む社員が増えるでしょう。こうなると自然に社員のパフォーマンスは向上します。
自律的に行動することで、従業員のやりがいや充実感が高まり、モチベーションも向します。結果として、企業の生産性向上に寄与するといえるでしょう。

人材の定着率向上が期待できる

企業文化が明確に定義されていると、人材の採用が容易になり、定着率も向上します。まず採用では、自社の企業文化を外部に積極的に発信することで、そこに魅力を感じる優秀な人材が入社を希望する可能性が高まるでしょう。さらに「自社の企業文化にマッチしているかどうか」を基準として応募者を評価することで、採用後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
企業文化にマッチした社員は、ロイヤリティが高く、パフォーマンスを最大限に発揮できます。企業に対する不満が少ないため、早期離職の可能性も低くなるでしょう。
優秀な人材の定着率が向上することは、結果として生産性の向上につながり、競争優位性を高める要素となります。優秀な人材の定着が事業成長に直結することは、明らかです。

企業文化の醸成についての注意点

企業文化には前述したようなメリットが期待できる一方で、デメリットや注意点も存在します。企業文化の醸成を図る際の注意点は、主に2つです。

1つ目の注意点として、排他性が高まる恐れがあることが挙げられます。独自性が強い文化には、排他性を生み出しやすい傾向があります。たとえ能力が優れている人であっても、企業文化に合わないと感じると、ほかの従業員から孤立する可能性があるのです。
これが続けば、その従業員は退職を余儀なくされるかもしれません。また、独自性が強いほど、外部の組織や個人が接近しにくくなる可能性もあります。

2つ目は、新しいアイデアが生まれにくくなることです。企業文化に固執すると、同じ思考パターンや行動パターンを持つ人材が集まりやすくなります。その結果、思考や行動が画一化し、既存の枠に囚われやすくなます。その結果、新たな発想やイノベーションが生まれにくくなる可能性があるでしょう。

企業文化に過度に固執することは、企業のイメージ悪化や業績の低下につながる可能性があります。明確な企業文化を持つ一方で、社内外に対して寛容であり、必要に応じて柔軟な対応(企業文化の見直しなど)を行うことが重要です。

組織風土の変革には「松下幸之助のマネジメントに学ぶ5つの原則」

企業文化の形成にかかわる8つの要素

企業文化は、主に8つの要素で形成されています。順にご紹介します。

●ビジョン(Vision)
●果たすべき使命(Mission)
●価値観(Values)
●人材(People)
●慣行(Practices)
●場所(Place)
●ストーリー(Narrative)
●外部からの影響(Environment)

1.ビジョン(Vision)

ビジョンは、企業が目指す理想の未来像であり、企業の理念や志を表現するものです。これは、企業文化を形成するために重要な第一歩といえます。ビジョンを明確に示して明文化することで、企業はその実現に向けた価値観の形成が可能です。社員が行動を決定する際の基盤ともなるでしょう。さらに社会貢献などをビジョンに組み込むことで、社外への訴求力も増します。
ビジョンがあいまいだったり複雑でわかりにくいものであると、企業文化として社内に浸透しにくくなる可能性があります。そのため、「魅力的」で「明瞭」かつ「簡潔」なビジョンを掲げることが重要です。

2.果たすべき使命(Mission)

ミッションは、企業が事業を通じて達成したい目標や果たしたい役割を表します。これは、企業活動を行う上での基本的な考え方ともいえるでしょう。ミッションが社内に浸透すると、従業員は自社の存在目的や価値、そして自分の仕事の意義を理解し、より高いモチベーションで働けます。抽象的な概念であるビジョンとは異なり、ミッションは社内に対するメッセージ性が強く、企業文化を育てる上で重要な要素です。

3.価値観(Values)

価値観は企業が「何を重視するか」「何を重視しないか」を示す基準や行動指針を表します。「コアバリュー」とも呼ばれ、企業文化を形成する上で欠かせない要素です。価値観は、企業のビジョンやミッションを達成するために必要な行動パターンや判断基準、思考法を示します。これは、従業員の仕事の質や成果に直接大きな影響を与えるものです。従業員全員が共感できる価値観を掲げることで、一体感を生み出し、よりよい成果を生み出すことが期待できます。

4.人材(People)

人材は企業文化を育むための重要な要素です。企業のビジョンや価値観に共感する人材が増えるほど、企業文化はより強固になります。そのような人材は離職率が低く、多くの成果を生み出せるため、経営の安定化や生産性の向上にもつながるでしょう。採用時に企業文化との適合性を重視する企業が増えており、これは企業文化との一致が、企業にとっても人材にとっても成功のための重要な要素であることを示しています。

5.慣行(Practices)

慣行とは、企業内で日常的かつ継続的に行われる行動のことを指します。どんなに素晴らしいビジョンや価値観があっても、それが社員の慣行として定着していなければ、期待する成果が得られません。ビジョンや価値観を設定するだけではなく、それを具体的な慣行に落とし込むことが重要なのです。
ここで大切なのは企業からの積極的な働きかけであり、「どのような企業文化を築きたいか」を深く考え、それを実現するために制度を見直したり、環境を整備したりする必要があります。これによって企業文化はより強固なものとなり、組織全体の成長に寄与するでしょう。

6.場所(Place)

場所は、企業文化を形成する上で重要な要素です。本社や支社の立地は、毎日そこに出社する従業員の働き方に大きな影響を与えます。立地だけではなく、オフィスのレイアウトや環境も「場所」に含まれる要素です。それらは企業の価値観を反映し、従業員の働きやすさや生産性につながるため十分に検討する必要があります。

7.ストーリー(Narrative)

ストーリーとは企業が創業した際のエピソード、創業者の背景、商品やサービスの開発過程など、長年にわたって社内で語り継がれる企業特有の歴史のことです。すべての企業には独自のストーリーがあり、同規模で同様の商品やサービスを提供する企業でも、そのストーリーは企業ごとに異なります。これらのストーリーが繰り返し語られることで、企業文化はより確固たるものになるでしょう。

8.外部からの影響(Environment)

企業文化は永遠に不変であるわけではありません。現在、企業をとりまく経営環境や社会情勢は急速に変化しています。このような外部環境の影響を受け、企業文化も適応して変化させていかなければなりません。定期的に機会を設け、「これからどのような方向を目指すべきか」という目標とともに、企業文化を見直すことが重要です。そして、その企業文化が時代の流れと一致しているかを見極める姿勢が求められます。これにより、企業は持続的な成長と進化を達成できるでしょう。

大手企業における企業文化の事例

大手企業における企業文化の事例

最後に、大手企業における企業文化の事例をご紹介します。紹介する企業は次の3社です。

●トヨタ自動車
●メルカリ
●サイボウズ

事例を見ていくと、それぞれの企業に独自の企業文化があることがわかるでしょう。トヨタ自動車では人を大切にすること、メルカリではミッションとバリューを明確にすること、サイボウズでは自由度の高い働き方を大切にしています。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、「人間性尊重経営」を経営理念として掲げ、人を大切にするという文化を深く根付かせています。この理念の背景には、「知恵を働かせて改善するのは人間だ」という信念があるのです。
2020年には「幸せの量産」をミッションに設定し、企業活動を通じて顧客だけではなく、従業員や取引先を含む社会全体の豊かさを追求しています。これはトヨタ自動車が社会貢献を重視し、持続可能な社会の実現を目指していることを示しています。

参考:トヨタフィロソフィー

メルカリ

メルカリは、明確に定義されたミッションとバリューを従業員の行動の指針としています。メルカリのミッションは、「新たな価値を創造する世界的なマーケットプレイスを構築する」ことです。その実現のために、メルカリは3つの核心的なバリューを掲げています。

・Go Bold(大胆にやろう)
・All for One(全ては成功のために)
・Be a Pro(プロフェッショナルであれ)

社員が行動や意思決定をする際に基準とするのがこのバリューです。バリューは、評価基準や採用のフレームワークにも反映されています。ミッションと3つのバリューが、まさにメルカリの企業文化を形成しているのです。

参考: mercan (メルカン)「メルカリの3つのバリューとワーディングへのこだわり」

サイボウズ

サイボウズでは「100人いれば100とおりの働き方がある」という考えを持ち、多様な働き方を尊重する文化を確立しています。たとえば、「週3日の勤務で趣味を大切にし、その分仕事の成長はゆっくりでいい」という選択をした場合、それを尊重しているのです。
サイボウズ株式会社では、「自分で選択し、自分で責任を持つ」という原則に基づき、自分で選んだ行動をとり、その結果に対して責任を持つことを奨励しています。このような自由度の高い企業文化が人々を引き寄せ、企業への貢献を促し、従業員の定着を促進しているのです。サイボウズの業績が持続的に向上している要因は、従業員の高い満足度によるものといえるでしょう。

参考:サイボウズ株式会社「ワークスタイル」

まとめ:目指す将来を言語化し企業文化を醸成

「企業文化」とは、企業とその従業員が共有する独自の価値観や行動規範のことです。企業文化を設定して社内外に発信することは、従業員にとって共通の指針になり、迅速な意思決定を実現したり、従業員のモチベーションや定着率が向上したりするなど多くのメリットがあります。
企業文化には、ビジョンやミッションなど8つの構成要素があり、これらが組み合わさって企業独自の企業文化が形成されています。自社の目指す将来を言語化し、魅力的な企業文化の醸成を目指しましょう。

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