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「デザイン思考」におけるアイデア発想の手法・フレームワーク

2021年8月26日更新

「デザイン思考」におけるアイデア発想の手法・フレームワーク

「デザイン思考」には、「アイデア発想」のための手法、フレームワークがいくつも用意されています。ここでは、ユーザーニーズに基づいて新商品のアイデアを出し合い、そのなかから実現可能なものを選択し、選んだアイデアについてメンバー間で理解を深める方法、手順をご紹介します。

INDEX

「デザイン思考」における「アイデア発想」とは

顧客が抱える真の問題を特定し、それに対する適切な解決策を提示するというのが「デザイン思考」の基本概念ですが、そのステップは6つに分けられます。
参照:「イノベーションをもたらす「デザイン思考」とは?」

デザイン思考6つのステップ

そして、今回ご紹介する第4のステップ「アイデア発想」は、次のように定義されています。

アイデア発想:定義した問題に対して、最適な解決策を考える

つまり、第3ステップまでに定めた顧客ニーズを踏まえて、解決策を提示することが「アイデア発想」の目的です。「アイデア発想」の次のステップは「プロトタイプ」になりますが、プロトタイプをつくるには費用と時間の制限があることから、「アイデア発想」のステップにおいては「拡散→収束」の後に「コンセプト化・共有」という手順を踏みます。このステップでは、多くのフレームワークが用意されていますので、順にご紹介しましょう。

「アイデアの拡散」の手法

アイデア拡散に用いられるブレインストーミング、ブレインライティング、SCAMPER法をご紹介します。

ブレインストーミング(ブレスト)

とにかく思いついたアイデアを何でもかんでも発表しあう「ブレインストーミング(ブレスト)」は、チームでアイデアを出し合う方法としてよく知られています。その際、「判断をしない・結論を出さない」「粗野な考えを歓迎する」「量を重視する」「アイデアを結合・発展させる」といった原則を守ることが重要です。誰の意見も否定せず、参加者全員が発言できるよう心配りをすることで、アイデアの種をたくさん集めていくのです。

ブレインライティング

ブレインストーミングのバリエーションに「ブレインライティング」があります。名称の通り、アイデアを「書いて」集める方法です。参加者数は原則6名で、アイデアを書き込むシートを6枚用意します。一人ひとりが手元のシートに5分間で3つのアイデアを書き、これを「1ラウンド」と数えます。2ラウンドでは、6枚のシートをそれぞれ次の人に渡し、次の人は、前の人が書いた3つのアイデアをヒントにしてさらに3つのアイデアを書き込みます。これを6ラウンド、シートが1周するまで続けるのです。最終的に、1枚のシートに「3×6」で18個のアイデアが書き込まれ、6枚で合計108個のアイデアが集まることになります。

SCAMPER法

ブレインストーミングの応用のひとつで、「7つの視点」にもとづく質問をあらかじめ用意し、その質問に答える形でアイデアを出し合う方法です。7つの視点とは、「Substitute(代用)」「Combine(統合)」「Adapt(応用)」「Modify(変更)・Magnify(拡大化)・Minify(縮小化)」「Put to other uses(他用途)」「Eliminate(削減)」「Rearrange(再構成)・Reverse(逆転)」であり、頭文字を取って「SCAMPER(スキャンパー)法」と呼ばれています。

質問例

(1)Substitute(代用)
・何か代用できるものがあるか?
・誰が代わりに関わるか?

(2)Combine(統合)
・何と何を統合できるか?
・複数の目的を統合できるか?

(3)Adapt(応用)
・既存の問題に適用できる類似品はないか?
・過去に似たような状況はなかったか?

(4)Modify(変更)・Magnify(拡大化)・Minify(縮小化)
・どのように変更すればよいか?
・目的やサイズを拡大できるか?
・何かを減らしたり縮小したりできるか?

(5)Put to other uses(他用途)
・現状のままで他の用途・目的に使用できるか?

(6)Eliminate(削減)
・何か省略できるものはないか?
・機能を維持しながら削減できるものはないか?

(7)Rearrange(再構成)・Reverse(逆転)
・再構成して生かせるソースはあるか?
・逆の用途、逆のつくり方はないか?

「アイデアの収束」の手法

アイデアが出尽くしたら、今度は実現可能で成功率が高そうなアイデアを選抜する段階に入ります。そのために用いられる、Dot Voting、2×2マトリックスをご紹介します。

多数決でアイデアを絞り込む「Dot Voting」

もっともシンプルなアイデア選択方法は、一緒に議論してきたチームのメンバーによる「投票」、つまり多数決です。ここでは「Dot Voting(ドット投票)」の方法をご紹介します。事前準備として、ブレスト等の方法で出てきたアイデアを、付箋一枚に一つずつ書き込んでおきます。

Dot Votingの手順

(1)投票の選択基準を決める。(「ロングセラーをねらう」「自社のビジョンを表現する」「顧客へのインパクトを重視する」など)

(2)一枚に一つのアイデアを書き込んだ付箋をホワイトボードに貼る。必要に応じてそれぞれのアイデアの提案者が説明を行う。

(3)参加者に3票から5票程度の投票権を与えて、丸いドット型のシールを採用したいアイデアの付箋の下に貼る。その際、一人ずつ投票すると、後半で投票する人が得票数の多いアイデアに投票しがちになるので、できるだけ全員で一斉に貼るほうがよい。

話し合いでアイデアを絞り込もうとしても、議論が白熱してまとまりにくい場合がありますが、最終的に投票で決めれば参加者の負担は少なく、時間もかかりません。

アイデアの位置づけを視覚化する「2×2マトリックス」

下図のような「2×2マトリックス」をホワイトボードに書き、一枚に一つのアイデアを書き込んだ付箋を適切な場所に貼っていく方法も有効です。個々のアイデアがどういう位置づけにあるかが視覚的に分かりやすくなるため、アイデアを絞り込みやすくなります。

2×2マトリックス

「デザイン思考」においては、上の図のように「実現可能性」と「顧客にとっての価値」という観点で軸を設定すると、アイデアの是非が判断しやすくなるでしょう。その他、「開発・運用コストの高低」「自社のリソースが活かせる・活かせない」といった軸を工夫することで、それぞれのアイデアを適切に評価し、選択肢を絞っていきます。

「アイデアのコンセプト化・共有」の手法

アイデアを絞り込むことができたら、開発メンバー間、あるいは自社内で「アイデアの共有」を行っておくことが大切です。その後、試作品(プロトタイプ)をつくったり製品化を進めたりするうえで、「メンバー間の理解度の差」を埋めておくことが不可欠だからです。ここでは、「ストーリーボード」と「NABCフレームワーク」をご紹介します。

「ストーリーボード」でアイデアを共有

「ストーリーボード」という手法では、ユーザーが商品を活用している様子を、いわば四コマ漫画のようなスタイルで表現し、商品のイメージを共有しやすくします。

ストーリーボードをつくる手順

(1)シナリオを作成する
想定されるユーザー(ペルソナ)を主人公にして、「何らかの問題で困っているシーン(1~2コマ分)」「商品やサービスを利用するシーン(1~3コマ分)」「問題が解決したシーン(1コマ分)」のシナリオを考える。

(2)考えたシナリオを絵にする
ユーザーと商品とのインターフェースや、商品がユーザーにどのように作用するのかが理解しやすいように、シナリオを絵で表現する。上手な絵である必要はなく、例えば登場人物は、丸と棒で描いた落書き程度の人間で構わない。

(3)キャプションをつける
必要に応じて、各コマの下にキャプション(説明文)を加えると、さらにわかりやすくなる。

「NABCフレームワーク」でアイデアの理解を深める

絞り込まれたアイデアを共有するうえで、「Need(顧客ニーズ)」「Approach(技術やサービスなどの解決方法)」「Benefits(顧客価値とビジネス価値)」「Competition(競争相手)」の4つの観点で説明する「NABCフレームワーク」という方法も有効です。

 NABCフレームワーク

上図のように、ホワイトボードに十字線を引いて、NABCをそれぞれ書き込み、会議などで説明をすることで、これから新しく開発を進めていく商品の理解を深めていくことができるでしょう。

アイデア発想における心構え

アイデア発想のステップにおいて、拡散、収束、コンセプト化・共有のそれぞれの段階で求められる心構えを抑えておくことも大切です。

●拡散
どのようなアイデアも否定せず、肯定的な返事をした上で議論につなげていく姿勢が求められます。参加者の間に、何を言っても否定されない、大丈夫だという安心感が醸成されれば、多くのアイデアを得ることができます。

●収束
アイデアをできる限り客観的に見ることが求められます。客観的な視点が不足していると、自分の出したアイデアに固執してしまったり、他の人のアイデアに率直に意見を述べることができなくなってしまったりということにつながります。また、否定的な見解を述べる際にも、言い方の工夫が求められます。前向きなニュアンスを含めて伝えると、良い雰囲気を保ちながら議論を前に進めることができるからです。

●コンセプト化・共有
相手の発表内容を自分の言葉で表現し、メンバー間のイメージのすり合わせをすることが大切です。

本稿でご紹介したフレームワークや手法の効果を最大限に高めるには、使う人のこうした心構えが大切になってくるのです。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『顧客視点からはじめる「デザイン思考」入門コース』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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