階層別教育のご提案

公開セミナー・講師派遣

通信教育・オンライン

DVD・テキスト他

仕事の人間関係に悩む若手社員をどう指導する?

2022年9月28日更新

仕事の人間関係に悩む若手社員をどう指導する?

学生時代とは異なり、社会では、多様な考えを持った多様な世代の人と一緒に仕事をしなければなりません。若手社員には、苦手意識にとらわれたり、意見の違いでぶつかり合ったりするのではなく、より建設的な方向で物事を考える方法を指導していきたいものです。

INDEX

「プライベートロジック」と「ベーシック・ミステイクス」

人はみな、自分自身が築き上げてきた「プライベートロジック(私的論理)」に基づいてものを見たり考えたりしています。そうした自分流の主観的なものの見方には、多かれ少なかれ、ある程度の「歪み」が含まれているものです。
「プライベートロジックの歪み」が強い人は、事実を正確に認識できず、「ベーシック・ミステイクス(基本的誤り)」を犯してしまう危険性があります。例えば、100人いる職場の中で、3人の人物に嫌われているだけなのに、「職場のみんなに嫌われている」などと思い込んだりすることがあるのです。ベーシック・ミステイクスの代表的なものとして、「決めつけ」「誇張」「過度の一般化」「単純化」「見落とし」「誤った価値観」などがあります。数人に嫌われたことを全員に嫌われたと感じるのは、自分の中で状況を「誇張」し、それが真実だと「決めつけ」、大半の人からは嫌われていないという事実を「見落とし」ているからだといえます。
あるいは真面目で親切な人の中には、「すべての人に好かれたい」と願って、ひたすら「いい人」を演じている場合があります。これも「人から嫌われたらおしまいだ」などと、人間関係を「単純化」してしまう「誤った価値観」が、そうさせているのかもしれません。

「選べない人間関係」では「好き嫌い」ではなく「建設的か否か」で考える

そもそも、どんなにパーフェクトな人でも、「すべての人に好かれる」ことは不可能です。嫌われる要素が何もないように見える人も、そのためにかえって嫉妬されたり、根拠のない逆恨みを買ってしまったりすることがあります。反対に、「すべての人に嫌われる」ことも、その人がよほどひどいことをしない限りあり得ません。
一般的に、「好きな人」の割合は全体の2割くらい、「好きでも嫌いでもない人」は6割くらい、「嫌いな人」は2割くらいだといわれています(個人差はもちろんあります)。ということは、職場においても、誰もがお互いに好きだったり、どちらでもなかったり、嫌いだったりするのが当たり前、というスタンスで物事を考えるべきでしょう。
会社に勤めている限り、配属先の上司や先輩や同僚を選ぶことはできません。仮に、嫌いだと感じる上司の下で働く状況になった場合でも、好悪の感情に振り回されないためには、上司の発言や行動、指示命令が「建設的か非建設的か」で判断するよう努めるべきです。たとえそりが合わない上司でも、指示命令の内容が「建設的」で、その部署の業績も上がっているとすれば、プラスの評価をして気持ちを納得させられるはずです。
特に経験の少ない若手社員ほど、ベーシック・ミステイクスによって感情的に判断することがあるので、そうならないような教育を行っていくことが大切です。

「苦手意識」がある相手との接し方

ほとんど同世代の人たちと過ごす学生時代と違って、社会に出ると、価値観や考え方、経験などが異なる幅広い世代の人たちと接するようになります。そうしたなか、人によっては戸惑いやギャップを感じて、上司や先輩に「苦手意識」を持ってしまうことも少なくないでしょう。人それぞれ生きてきた歴史があり、その歴史のなかでさまざまな経験をし、そこから得た知恵に基づいて行動や発言をしています。年齢が10歳も20歳も違えば、当然物の見方も考え方も違ってくるものです。
違うからといって、相手を嫌ってしまうのは建設的ではありません。まずは、お互いに「違っていて当然」だと認めることが重要です。そのうえで、その人との意見の相違を、「今すぐにすり合わさなければ仕事が前に進まない場合」に限り、解決策を見出すように努力します。それ以外の場合は、「なるほど、そういうお考えもあるんですね」と答えて、相手の意見を肯定も否定もせず、その話題から離れるようにしましょう。

「意見の違い」をすり合わせる方法

人それぞれ異なったプライベートロジックを持って発言したり、行動したりする限り、会社の中で「意見の違い」がぶつかり合うことがあるのは避けられません。そんなとき、いいたいことを飲み込んで相手の言いなりになる「非主張的言動」で受け入れたり、反発して感情を爆発させる「攻撃的言動」で突っぱねたりする人がいます。あるいは要求に屈しながらも、相手の気分を害する「復習的言動」で対人関係を悪くする人もいるでしょう。これでは「意見の違い」をすり合わせたことにはなりません。
例えば上司から、そのときのチーム状況として対応不可能な指示命令が下ったとします。そんなときには、相手も自分も納得できる「主張的な言動」で対応するのが理想です。まずは、チーム全員が別の案件でかかりきりになっていて、すぐに命令通りには対応できないという「事実を伝え」ます。そのうえで、「業務を分割して他のチームと共同で行えるのなら対応可能です」といった具合に「代替案を提示」するのです。
このように前向きな「すり合わせ」を行えば、上司のほうからも現実的な修正案が提示されやすくなると考えられます。

「受け止め方」を変える

相手の言動や行動がどうしても自分とは合わない、と感じる際には、その人に対する「認知」を変えてみるという方法があります。見方を変えることである程度納得できれば、苦手な相手ともうまく妥協してつき合える可能性が高まります。

(1)細かいことをネチネチという人
 ⇒「きめ細かな目配り、気配りができる人」
 ⇒「人が気づかないことに気づける人」

(2)常に適当で人任せな人
 ⇒「おおらかで、こだわりがない人」
 ⇒「他者を信頼することができる人」

(3)上司の顔色をうかがってビクビクしている人
 ⇒「繊細で、現状をしっかり把握できる人」

(4)他のメンバーに対して厳しい人
 ⇒「業務を滞りなく遂行する意欲がある人」
 ⇒「リーダーシップをとろうとする意欲がある人」
 ⇒「妥協せずに目標を追求する人」

(5)要領がいい人
 ⇒「周囲の状況を観察し、臨機応変に対応できる人」

誰にとっても「他人を変えること」はほとんど不可能ともいえますが、自分の見方(認知)を変えることはできるはずです。若手社員に対して、こうした考え方で現状を乗り越えていくよう指導することで、よりよい職場が形成されていくのではないでしょうか。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『アドラー心理学に学ぶ「対人関係力」の高め方』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

PHP通信ゼミナール
『アドラー心理学に学ぶ「対人関係力」の高め方』

PHP通信ゼミナール『アドラー心理学に学ぶ「対人関係力」の高め方』

アドラー心理学をベースに、相手との距離のとり方や感情の伝え方など、対人関係力アップに必要な考え方や手法を学び、重荷や困難に感じることなく、良好な関係を築く術を身につけます。

詳しい内容とお申込みはこちら

中堅/若手社員研修・教育TOPへ

森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

新着記事中堅/若手社員研修・教育

  • 中堅社員研修 意識革新コース(公開セミナー)
  • 若手社員研修 仕事力アップコース(公開セミナー)
  • 舘野泰一監修 若手社員のリーダーシップ開発研修
  • 若手・中堅社員研修DVDビデオ教材
  • 若手・中堅社員向け通信教育

×