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オンボーディングとは?  新入社員の組織社会化を促すために人事ができることを解説

2022年1月13日更新

オンボーディングとは?  新入社員の組織社会化を促すために人事ができることを解説

オンボーディングとは、会社や職場への定着を促し、戦力化するための、新入社員に対する組織的なサポート活動のことです。具体的にどのような施策があるのか、人事部門として新入社員の組織社会化をどう支援していけばいいのか、実施することでどのような効果を得られるのか、事例をふまえて解説します。

INDEX

オンボーディングとは? 意味と語源

オンボーディングとは、新卒・中途採用を含めた新入社員が組織に定着し、早期に戦力として活動するための組織的なサポート活動を指す言葉です。
もともと、オンボード(on-board)は搭乗中という意味で、船や飛行機などに乗り込んでいる状態を指します。会社という乗り物に乗り込む乗組員たち(=新入社員たち)を組織的にサポートすれば、乗組員たちが早く船や飛行機(=職場)になじみ、本来持つ能力を発揮しやすくなるでしょう。オンボーディングも、新入社員たちを早く職場になじませ、各自の能力を発揮しやすくするために実施されます。

オンボーディングの4つの目的

オンボーディングを実施する目的として、次の4つが挙げられます。それぞれの目的を具体的に見ていきましょう。また、目的を達成することで、新入社員や会社にとってどのような意味やメリットがあるのかについても解説します。

1.新入社員の能力を早期に開花させる
2.帰属意識を高める
3.定着率を向上させる
4.部署間・チーム間の教育格差をなくす

1.新入社員の能力を早期に開花させる

新入社員はそれぞれ優れた資質を持っていますが、誰もがすぐに職場で活躍できるわけではありません。自分の長所をどう活かせばいいのか、どういった能力を伸ばせばいいのか、あるいはどういう場面で発揮するのか。適切なアドバイスをして成長を促さないと、徐々に新入社員間に差が生まれ、焦りや悩みが生じることもあります。
全社的にオンボーディング施策を進めることで、新入社員は職場の環境に早期に順応し、それぞれが短時間で本領発揮できるようになるでしょう。新入社員の資質や能力を早期に開花させることができれば、指導期間が短縮され、即戦力としての働きを期待できます。

2.帰属意識を高める

コロナ禍でリモートワークを実施する企業が増えている状況にあって、新入社員の中には、会社組織の一員であるという実感が持てないと感じている人もいるかもしれません。組織への帰属意識が希薄な場合、愛着を持てないだけでなく、仕事に対してやる気が起こらなくなることがあります。
新入社員の帰属意識を高めるためにも、社内情報を共有することや他のメンバーを知ることなどが不可欠です。オンボーディングを実施することで帰属意識を高め、会社の一員であるという実感を高めてもらうことができるでしょう。

3.定着率を向上させる

オンボーディングを実施し、新入社員一人ひとりが会社への帰属意識を持つようになると、会社に愛着を持ち、スランプに陥ったときなども安易に会社を辞めるという選択をしないようになるでしょう。会社への定着率を高めるためにも、オンボーディング施策は欠かせないといえます。

4.部署間・チーム間の教育格差をなくす

新入社員が配属された後は、OJTを中心に、部署単位、チーム単位で新入社員教育を実施することになります。新入社員は、業務に即した指導を受けて、チームの一員として仕事ができるようになってきます。しかし、新入社員の育成を現場任せにしていると、部署の教育方針や指導員の資質によって新入社員の成長に差が出てくる恐れがあります。
人事部門としては、どの部署やチームに属していても新入社員の成長を担保できるように、新入社員の状況をおさえておく必要があります。また、配属先がどこであっても、十分な教育を受けられるような環境を整備しておくことも大切です。教育格差を減らすことで、新入社員の「自分だけが遅れているのではないだろうか」という不安を解消できます。

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オンボーディングプログラム~実施手順と人事の役割

オンボーディングプログラム~実施手順と人事の役割

人事担当者は以下の手順でオンボーディングを進めていくことができます。それぞれ具体的にどのように実施するのか見ていきましょう。

1.目標を設定する
2.プランニング、教育計画を立てる
3.教育体制を整える
4.実施に向けて事前準備をする
5.会社側が求めることを新入社員に理解させる
6.人間関係が円滑になるようにサポートする
7.プランの見直しとフォローを行う

1.目標を設定する

オンボーディングを行う前に、オンボーディングにより到達したい目標、新入社員の目指す姿を明らかにしておきます。
まずは大きな目標、例えば「1年でサポートなしにルート営業を行えるようになる」などを掲げ、その後、その目標を達成するための小さな目標、営業前に資料を作成することや、営業トークのレパートリーを増やすことなどを定めましょう。
大きな目標を設定することで、新入社員は成長の方向性を見失いにくくなります。また、小さな目標を設定することで、新入社員は一つひとつの仕事で成功体験を積み重ねることができ、モチベーションを維持しつつ業務に取り組めるようになるでしょう。

2.プランニング、教育・研修計画を立てる

目標を設定した後、オンボーディングの具体的なプランを立てます。教育内容や研修の実施期間なども計画しておきましょう。企業にもよりますが、オンボーディングは約1年を目安に実施します。配属先と協力しながら1年間で習得してほしいことを列挙し、実施順序を決めておくことがポイントになります。
なお、プランニングするときは、ある程度の余裕を持たせることが必要になってきます。社員によって習熟スピードは異なるので、一人ひとりのペースに柔軟に合わせられるようにしておきましょう。

参考記事:PHP人材開発「新入社員の育成計画を立てる5ステップ。教育効果を高めるポイントも紹介」

3.教育・研修体制を整える

社内研修やOJTなどのほかに、通信教育、Eラーニングなどでの教育、あるいは外部研修への派遣といった選択肢も準備しておくといいでしょう。人事部門として教育体制を整えておくことで、各部署で新入社員の個性やニーズ、課題に合わせたオンボーディングを実施できます。
外部の研修・セミナーを利用する場合は、教育係や上司と研修内容を共有し、学んだことを活かせるようにOJTに繋げていきます。

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4.実施に向けて事前準備をする

新入社員の育成担当係やメンターを選定し、必要に応じて教育・研修を実施するなどの準備をしておきましょう。また、新入社員が学ぶべきことをまとめたマニュアルなどを作成し、伝え漏れ、教え漏れがないように工夫するといいでしょう。
また、OJTについては、新入社員の性格などにも配慮して教育係を選定しましょう。教育担当者によって指導内容や基準が変わらないように、事前に方針をすり合わせておくことも必要です。

参考記事:PHP人材開発「メンター制度が注目される理由は? 導入の手順や注意点を解説」
PHP人材開発「OJTとは? 人材育成における意味や目的、可能性を解説」

5.会社側が求めることを新入社員に理解させる

新入社員が自発的に努力できるように、会社の経営理念や方針を伝え、求める社員像を具体的に示し、業務を遂行する上での心構えなどもていねいに説明しましょう。必要に応じて、資料なども準備しておきます。
また、同じく配属先の部署やチームの方針などを説明しておくことも大切です。チームが果たすべきミッション、具体的な業務内容を示し、新入社員が目標を見失わないように継続してサポートします。

6.人間関係が円滑になるようにサポートする

オンボーディングは、会社から新入社員に向けた一方的な指導ではありません。新入社員が乗組員として早くなじみ、働けるようにする取り組みなので、新入社員自身が自発的に「学びたい」「早く先輩たちに追いつきたい」と思えるようになることが大切です。
そのためには、上司や先輩からのサポートや同期たちの励ましが得られる環境づくりが欠かせません。つまり、新入社員が円滑な人間関係を構築できるような環境を用意しておくことが必要です。
人事部門としては、定期的に社内の交流イベントを開催したり、職場のメンバーと作業する機会を増やしたりすることで、新入社員の円滑な人間関係づくりをサポートしていきましょう。

7.プランの見直しとフォローを行う

オンボーディングの期間は、目指している効果が得られているか、目標に照らして定期的にチェックをしましょう。期待した成果が得られていないときは、プランの見直しを検討します。
また、新入社員だけでなく、メンターや指導係などをフォローするのも人事部門の仕事です。問題点に気づき、早めにフォローすることで、新入社員の成長スピードを上げていきましょう。

上司のオンボーディング取り組み事例

オンボーディングを成功させるために、新入社員の配属先の上司が実施できることとしては、次のものがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

・コミュニケーションのサポート
・会社の方針や価値観を伝える資料の作成
・横のつながりを広げるイベントの開催
・社内ルールや業務マニュアルの作成

コミュニケーションのサポート

新入社員が職場で、チームメンバーや同僚とコミュニケーションをスムーズに取れるようにサポートすることは、上司の役割の一つです。
例えば、社内SNSを用意する、チームで仕事に取り組む、ミーティングをこまめに実施する、上司から積極的に声掛けをするなどにより、新入社員はコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。

部門の方針や価値観を伝える

新入社員が組織の一員としての意識を持てるように、部門の方針や価値観を詳しく説明することが必要です。一度伝えて終わりではなく、折にふれて何度も伝えるとともに、新入社員が繰り返し見て覚えられるよう、必要に応じて資料を準備しておく必要もあります。

横のつながりを広げるイベントの開催

部署内で、横のつながりを広げるイベントを開催します。研修などの学びの機会とは別に、チームメンバーと仲良くなる機会を設けることで、より早く会社になじめるようになるでしょう。また、他の社員の個性を知ることでコミュニケーションがとりやすくなり、新入社員が心理的安全性が確保しやすくなります。

業務ルールやマニュアルの準備

新入社員が入ってくる機会に、「仕事の見える化」をするのもお勧めです。各担当者が仕事内容を整理して、新入社員でも分かるようにマニュアル、ルールとして明文化しておきます。新入社員だけでなく、既存社員の業務理解が深まり、仕事の効率化にもつながります。

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まとめ:オンボーディング施策は、人事を中心に全社で実施

新入社員が早く組織の一員としてなじめるように会社全体でサポートし、早期に戦力化することは、企業の重要課題です。オンボーディングを実施し、計画的に社員を育成していきましょう。
新入社員だけでなく、中途採用の社員もオンボーディングの対象です。組織的にサポートしていきましょう。オンボーディングは、働きやすい環境の構築や、職場風土改善にもつながります。人事部門として、積極的に取り組んでいきましょう。

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