「1on1」DVD教材、eラーニングのご活用事例~清水総合開発株式会社様
2022年8月 2日更新
PHP研究所のDVD教材、eラーニングを活用して「1on1」導入を進めておられる清水総合開発株式会社様に、導入のねらいや社内体制づくり、教育方法、社員様の声など、お話ををうかがいました。
清水総合開発株式会社
清水建設株式会社のグループ企業として2000年に設立。「すこやかな場所を 創る 支える」を企業メッセージとして、開発から維持管理まで手がける総合不動産業を展開している。 従業員数は305名(2022年4月現在)。
写真左から
山﨑専吉様(管理本部総務部部長)
坂野公一様(レジデンス事業本部ライフサポート事業部部長)
川瀬健一様(レジデンス事業本部副本部長)
長谷川隆一様(PM事業本部副本部長兼営業企画部長)
※所属部署名・役職名は、取材当時のものです。
INDEX
「1on1」導入のきっかけ
――清水総合開発株式会社様では、DVD『上司と部下がペアで進める「1on1」』 DVD『経験を成長につなげる1on1』 eラーニング『上司と部下がペアで進める「1on1」』をご活用いただいております。
まずは「1on1」を人材育成の施策として導入されたきっかけをお聞かせください。
山﨑様 2021年2月に実施した「従業員意識調査」の結果を踏まえ、「コミュニケーションについて一歩踏み込んだ取り組みが必要」ということになったのがきっかけです。これを受けて、「1on1導入検討チーム」を発足させました。
――「従業員意識調査」で確認されたコミュニケーションの問題というのは、具体的にはどういうものでしたか?
長谷川様 従業員意識調査では「管理職層による担当部署の人心の把握」に課題があるとの指摘がありました。また、当社では日常的な業務報告とは別に、半期に一度、所属長とメンバーが面談する機会があり、そこで部下の成果や目標設定について話し合っていますが、昨今はコロナ禍でリモートワークを推進しており、上司と部下の対面でのコミュニケーションも難しくなっていました。
こういったこともあり、部下のほうからは「自分の話を理解してもらっていないように思う」という声がありましたし、また逆に上司のほうからは、制度的な面談の機会がないので部下に声をかけるタイミングが難しいという話も出ていました。
そこで、一歩踏み込んだコミュニケーションが実現できるような仕組みを導入することとなりました。
導入検討チームの発足
――導入検討チームは、どういう方がメンバーになられたのでしょうか。
坂野様 当社には3つの事業部門がありますので、各事業部門からメンバーを出し、総務部が取りまとめをする形で発足しました。今回は、当社オリジナルで枠組みから考える方針として、各事業部門の現状を共有しながら知恵を出し合ってやっていくことにしました。
まずは経営層が必要性を理解し、継続して取り組める社内体制をつくること。それが「1on1」導入を成功させるための第一歩と考えました。
先行する他社の事例を参考に
――導入に先立って、2021年10月に「PHPカンファレンス『1on1の失敗学』」に参加されました。何か参考になりましたでしょうか?
坂野様 PHP研究所さんのイベントでは、「1on1」にすでに取り組んでおられる企業の実例を聞くことができたのが有意義でした。導入しても運用上の課題が出てくることがわかりましたので、意識浸透を含めたスキル教育を実施するなど、導入のポイントをおさえることを意識しました。
「1on1」の教育研修について
――ありがとうございます。では具体的に、どのような教育を実施されたのかをお聞かせください。
山﨑様 当社ではイントラネットに「学び箱」というラーニングツールを設置していて、その使い方は皆が認識していました。そこにPHP研究所さんのDVDの動画データを設置して、それぞれの都合で視聴してもらうようにしました。
実際に「1on1」を行う上司には、上司向けの動画を視聴してもらい、さらにその上のクラスには、eラーニングで基礎知識や実践方法を学んでもらい、実際にミーティングを行う上司からの相談にも乗れるようにしました。部下側には、部下向けの動画で意義を理解してもらいました。
川瀬様 各人の業務の繁閑もありますし、中途採用の方も含めて継続した教育が必要ですから、当社には、集合研修よりも、動画やeラーニングで個人の都合に合わせて学習するというスタイルが合っていると思います。
「1on1」の実施は現場の裁量で
――「1on1」の実施方法をお聞かせいただけますか?
長谷川様 「1on1」のやり方については、ある程度、現場に任せています。実施する上司も、課長が、部長がと決めるのではなく、現状に合わせてフレキシブルに対応してもらっています。面談時間、テーマ、頻度も現場で決めてもらっています。
枠組みをがっちり決めて義務にしてしまうと、形骸化して上司も部下も疲弊するリスクがありますし、継続も難しくなります。
坂野様 それと「1on1」が上司からの事情聴取になるのはよくないですよね(笑)。実施する上司には、部下の話を傾聴するという姿勢を大事にしてもらっています。最初はアイスブレイクで十分ですし、関係性が深まれば、業務上の悩みやプライベートなことも話題になるかもしれません。
たとえば部下から「実は親の介護をしていて」「子育てがたいへんで」という話を聞けば、上司のほうも「そんな状況でも仕事をがんばってくれているんだな」と自然と感謝の気持ちを持てるようになる。上司にとっても、マネジャーとして、人間としての成長の機会になります。
川瀬様 「1on1」を継続していくことで、ショートサイクルで課題を決めて取り組むとか、部下のキャリアプランについて話し合うというようなケースも出てくるでしょう。まずは型をつくって文化を根付かせることが大事だと思っています。
実施後のアンケート調査
――「1on1」について、従業員アンケートを実施されたとお聞きしました。どのような結果でしたか?
坂野様 2022年6月に実施したアンケートでは、ポジティブな回答が多かったので、少し安心しました。
「悩みや不安を話し合う場になっている」
「業務上の課題や問題点を話し合う場になっている」
「お互いの考え方等の理解を深める機会になっている」
といったところが、「1on1」に期待する点、満たされたと思うことで一致していて、まずは有意義であったというのが確認できました。
実施する会議室の確保の問題なども出てきましたので、サポートも検討し、精度を高めていきたいと思っています。
長谷川様 もちろんネガティブな意見もありました。たとえば部下側からは「業務上の問題なら随時相談すべき。雑談も日々顔を合わせているので特にこのような場を設ける必要はないと思う」という意見が出てきました。
実は、我々もこの意見には賛成なのです。「1on1」という特別な機会を設けなくても、部下が気軽に相談し、上司が「それで、どうしたらいいと思う?」という問いかけをする。関係が深まれば、そんなコミュニケーションが日々行われるようになります。これが一つの理想形と考えています。
マネジャーの意識改革と部下の成長
長谷川様 いわゆるZ世代と昭和生まれ世代との意識の開きを埋めていければ、というのも我々のねらいの一つです。
今の若手社員は、上司から指示があっても腹落ちしていないとなかなか行動には移しません。しかし、いま上司になっている昭和世代が若手社員のころは、腹落ちしようがしまいが、上司がやれと言ったらやる、白を黒といったら黒だった(笑)。
いまの若手をどう成長させるかを考えるときに、上司の世代は、部下育成に対する意識や従来のマネジメントを変えていかないといけません。昔の鬼上司のように、「指示に従え」「背中を見て倣え」というのではなく(笑)、まずは部下の話を素直に聞く。まず聞こう、じっくり聞こうというマネジメントスタイルを取り入れていく必要があります。
「1on1」について学ぶなかで、あるいは実践の過程で、部長以上のマネジメント層にも「今までとは違う」「こういうようにするのか」という気づきがあり、コーチングマネジメントの精度アップにもつながっていると思います。
川瀬様 アンケートにもありましたが、部下にとっても、得るものは大きいと思います。「1on1」は上司から回答をもらう場ではないですし、言われたとおりに動くというスタイルでは成立しません。受身ではなく自発的に問題解決に取り組むというステップを踏むことが、若手の成長につながります。
さらに、自分がマネジメントになった時に、こういうふうに部下の成長を促していくのかという認識を持てるところも大きいですね。
――今後、「1on1」にどのように取り組んでいかれますか?
山﨑様 いろいろと取り組んで来ましたが、そうはいっても、まだ一年もたっていません。成果をあげるのは、これからです。
「1on1」は、社員一人ひとりを成長させるための時間だと思います。これからも、継続して教育を続けながら精度を上げていこうと思います。
――本日はお忙しいなか、ありがとうございました。
聞き手:PHP研究所 産業教育普及部