ビジネスゲームを研修にとりいれるには? その種類、獲得できるスキル、メリットも紹介
2023年5月 8日更新
ビジネスゲームとはゲーム体験を通し、ビジネスの考え方やスキルを習得するものです。研修に取り入れることで、目標達成力や問題解決力、チームワーク強化、社内コミュニケーション活性化への気づきを得ることができます。本記事ではビジネスゲームの概要やメリット、実施の際に心がけたいポイントを解説します。
INDEX
ビジネスゲームとは
ビジネスゲームとは、ビジネスで想定される場面をゲームに取り入れ、ビジネスの基本的な考え方やスキルを学ぶゲームです。一般的な研修でもアイスブレイクとしてビジネスゲームを取り入れる場合がありますが、研修のメインメニューとして活用されることもあります。座学だけではなくゲームを通じて疑似体験することで、新しい知識やスキルを定着させたり、行動変容につながる気づきを得る効果が期待できます。
チームビルディングも目的のひとつです。チームビルディングとは、メンバーのスキルを最大限に高め、目標を達成できるチームを作り上げるための取り組みです。ビジネスゲームではメンバー同士が協力し合い、お互いが同じ目標をめざす仲間だという意識を持てるものもあり、チームビルディングの土壌づくりに役立つでしょう。
ビジネスゲームでは、原則として職場での役職や立場は関係ありません。参加した以上は管理職も一般社員も同じ立場でプレイをします。 ゲームのテーマや目的にもよりますが、メンバー構成に偏りをなくすことが研修効果を高めることにもつながります。さまざまな立場やスキルを持つ人がいっしょに参加することで、普段の業務では得られない気づきを与えることができるでしょう。
ビジネスゲームの種類
ビジネスゲームには、さまざまな種類があります。いくつか代表的なものをみてみましょう。
ヒアリングチャレンジ
営業の仕事を体験するゲームです。オンライン・オフラインのどちらでも実施できます。販売員と来店客という設定で、販売員はヒアリングと質問を行いながら商品を提案します。 決められた質問項目から、最大10個まで顧客に質問できるというルールです。
コンセンサスゲーム
コンセンサスとは「意見の一致」「合意形成」といった意味です。 コンセンサスゲームは出題された課題についてチームのメンバー同士で話し合いながら、合意を形成するというゲームです。最終的に各グループで導き出した解決策を発表し、合意を得た過程を振り返ります。
経営シュミレーションゲーム
企業経営の疑似体験を通し、経営に必要なスキルや知識を学ぶゲームです。企業経営の全体像や流れを体験から学べ、現実社会の経営ではできない挑戦を何度もできます。座学研修だけではわからない、実務につながる経営を学べるのがメリットです。
ビブリオバトル
本をテーマに、思考力やプレゼンテーションのスキルを養うゲームです。参加者がこれまでに読んで面白かったと思う本を1人5分で紹介します。発表のあとに紹介された本に関するディスカッションを3分程度行います。 すべての参加者についてこの過程を繰り返し、最後にどの本が読みたくなかったかを参加者が投票します。そこで最多票を集めた人が優勝するというルールです。
マシュマロ・チャレンジ
4人1チームになり、チームで競うゲームです。特にチームビルディングに役立ちます。以下の材料を用意しましょう。
・乾燥パスタ
・テープ
・ひも
・マシュマロ
・ハサミ
・メジャー(測定のため)
チームが協力し合って自立するタワーを立て、タワーの上にマシュマロを置くというルールです。最も高いタワーを作ったチームが優勝というシンプルなゲームで、これまでの記録は99cmということです。
十人十色
他者を理解できるようになるというゲームです。5名程度のグループに分かれ、チームから1人を選んでその人の好きなものや考え方などをあてます。回答者は質問された事柄について、3つの選択肢の中から選びます。残りの参加者は答えを予想し、一致すればポイントが加算されるというルールです。質問は好きな食べ物や趣味など、自由に決めてかまいません。他者の好みを考えることで相手の理解を深め、人それぞれ好みや趣向は違うことを再認識できるゲームです。
参考記事1:「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」で主体性とチームワークを引き出す(松永直樹 ボードゲームソムリエ)
参考記事2:自主責任経営が体感できる 「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」(体験レポート)
参考記事3:ボードゲームを活用したセルフマネジメント研修・チームビルディング研修プログラム(無料配布中)
ビジネスゲームで身につくスキル
ビジネスゲームでは、ビジネスで必要なさまざまなスキルが身につきます。ここでは、ビジネスゲームで身につけられる代表的なスキルを4つご紹介します。
コミュニケーション力
ビジネスにおいては、人間関係の構築や対外交渉などのためにコミュニケーションが欠かせません。ビジネスゲームではゲームを通してメンバー同士がコミュニケーションをとるため、ビジネスに必要なコミュニケーションスキルが自然と身につきます。
課題解決力
ビジネスゲームでは、課題に取り組み解決する能力も養われます。課題解決に特化したゲームもあり、取り組む過程で参加者は課題の本質を探り、解決方法を考えます。課題解決プロセスを実践的に理解し、解決のための知識やスキルの習得が可能です。身につけたスキルは、実務で問題に直面したときにも役立つでしょう。
主体的に行動する能力
ビジネスゲームでは、参加者一人ひとりが自ら考えてプレイするため、主体性が身につきます。「主体性をもて!」という講義を受けるよりも、ゲームで体験的に学ぶ方がゲームに参加するほうが行動変容につながる示唆を得られることでしょう。
リーダーシップ
ゲームでは参加者が意見を出し合い、お互いの役割を理解しながら主体的に取り組むことが必要です。その過程で、リーダーシップを発揮することも求められます。組織の目標を達成したりチームワークを維持したりするために、リーダーシップは欠かせません。座学でリーダーシップを身につけることは難しく、ゲームを通して体験的に学ぶことが近道といえるかもしれません。
研修にビジネスゲームを取り入れるメリット
研修にビジネスゲームを取り入れることで、さまざまなメリットが得られます。 ここでは、特に大きな効果が期待できる5つのメリットをご紹介します。
疑似体験しながら学べる
成功・失敗体験を通して学べる ビジネスゲームでは、現実のビジネスで想定される成功と失敗を経験できるのがメリットです。課題を解決したときは現実と同じような達成感が得られ、リスクのない失敗からは新たな気づきも得られます。成功・失敗経験を重ねることで、実際の業務において困難な課題に直面したときでも解決に向けて取り組める姿勢が育まれるでしょう。
社内コミュニケーションが活性化する
ゲームのプロセスでは参加者同士が相談して戦略を練るなどの交流を行うため、自然とコミュニケーションが活発になります。力を合わせて課題をクリアすることで達成感を共有でき、参加者間の交流がより深まるでしょう。その結果、ゲームで交流を深めたメンバーは職場に戻っても親しく会話を交わすようになり、社内コミュニケーションが活性化します。 これにより、 風通しが良く、心理的安全性(自分の意見を誰に対しても安心して発言できる状態)が保たれた職場づくりにつながるでしょう。
参加メンバーに連帯感が生まれる
ビジネスゲームには協力型のゲームがあります。競争型ではないので、お互いが協力し合うことによる連帯感を生みだすことも期待できます。連帯感はチームワーク、チームビルディングの基礎といえます。
モチベーションアップにつながる
ビジネスゲームは楽しみながら取り組むことができるので、研修参加のモチベーションアップにつながります。「座学ばかりで眠くなる」「理屈ばかりで学びがない」などと評判の悪い研修会が、ビジネスゲームを採用することで一変することがよくあります。
ビジネスゲームを実施する際のポイント
ビジネスゲームを行っても、その場限りの盛り上がりで終わってしまっては意味がありません。スキルを身につけ、行動変容をもたらし、成果を職場でも活かすためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
目標を明確にする
ビジネスゲームは楽しみながら取り組める一方で、実施の目的があいまいになりがちです。何を目的に取り組むのかわからなければ、参加者もゲームから得られる効果を十分実感できないでしょう。「楽しく盛り上がって終わり」ということにならないよう、目的を明確にして参加者に共有するようにしてください。例えば、「各人が課題を解決できるスキルを身につける」「新しいプロジェクト立ち上げに向けてチームビルディングを行う」「チームワークの大切さへの気づきをもたらす」といった目的が考えられます。
フィードバックを行う
ゲームはうまく進行し、楽しかったものの、職場に戻ったら何も変わらないといったことのないよう、ゲーム後には必ず振り返りやフィードバックを行いましょう。参加者のプレイには普段の思考や行動パターンが反映されるので、そこをしっかり振り返り、フィードバックを与えるのです。ゲームが終わった後は、必ず参加者にプレイを通して感じたことを発表させてください。プレイ直後は問題意識が高まっていますので、講師、メンバーからのフィードバックがとても有益です。
なお、フィードバックには、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックがあります。 ポジティブフィードバックとは、前向きな表現を使って参加者の成長を促す方法です。否定的な表現はなるべく避け、良い部分を伸ばす方向でアドバイスします。ネガティブフィードバックは、良くなかった点を指摘して改善を促す方法で、問題点を自分で考え、解決することを促進します。参加者の学びの定着や成長のためには、ポジティブフィードバックが大切です。ネガティブフィードバックを行う場合でも、改善策を提示するなど前向きな方向で行うようにするとよいでしょう。
ボードゲーム「松下幸之助《理念経営》実践ゲーム」について
ビジネスゲームにはさまざまなものがあり、上手にに活用することで研修効果が高まることをご紹介してまいりました。ここでPHP研究所が開発したボードゲーム「松板幸之助《理念経営》実践ゲーム」についてご紹介いたします。
「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」は、松下電器(現パナソニック)を一代で世界的企業へと築き上げた松下幸之助の「経営の本質」、そして人やチームを成長させる「人の活かし方」を整理・体系化し、3年以上の月日をかけて完成しました。物をつくる前に人をつくることを大切にしていた松下幸之助の経営哲学や理念、そしてその鍵となる「コミュニケーション」「チームマネジメント」「タイムマネジメント」「個性の尊重」「使命の発見」「経営感覚」の要素が、いたるところに落とし込まれています。
人やチームが成長するには何が必要なのか。
組織が成果を出すためには何が必要なのか。
この答えがゲームの中に隠されており、プレイする中で松下幸之助の考えに触れることができます。マネジメント研修、チームビルディング研修から新入社員研修や内定者懇親会まで活用可能です。ゲームを効果的にリードし、プレイヤーの学びや気づきを引き出すコツを体得していただく研修もご用意しておりますので、ぜひ貴社の研修での活用をご検討ください。