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サーベイは意味がない? サーベイの種類や問題点・成功のポイントを解説

2023年11月21日更新

サーベイは意味がない? サーベイの種類や問題点・成功のポイントを解説

サーベイは、従業員の会社に対する認識や、社内の状況を確認する調査です。自社の現状を把握し、組織に潜む課題を見つけるために実施します。サーベイに関して「意味がないのではないか」という声もあるのは確かです。果たして本当に実施する意味はないのか、本記事ではサーベイについてさまざまな角度から解説します。

INDEX

サーベイには意味がない?

従業員の会社に対する認識や、社内の状況を確認するために実施されるサーベイですが、「意味がないのではないか」という意見も少なくありません。そこでまず、サーベイの概要や目的、「意味がない」といわれる理由などを解説します。

そもそもサーベイとは

サーベイ(survey)とは一般的に「調査」のことですが、人材開発の分野では、従業員の自社に対する認識や、社内の状況を確認するための調査を意味します。サーベイにより、従業員の会社に対する考えや満足度を把握でき、職場の人間関係や自社への愛着心、貢献意欲などを可視化することができます。サーベイによって得たデータは、具体的な課題の抽出と改善、従業員満足度の向上に活かされます。

アンケートやリサーチとの違い

サーベイは、アンケートやリサーチとは異なります。アンケートとは数多くの人に同じ質問をして統計を調査する方法で、企業活動では主に消費者や顧客に対して行われます。対象や実施方法はさまざまです。
社内を対象に行われるアンケートもあります。例えば「従業員満足度調査」は、職場環境に対する従業員の満足度を把握することを目的に実施されます。主に職場環境の改善や福利厚生の施策を検討するために行います。
一方、リサーチとは、主に文献や情報を調べて行う調査・研究のことです。マーケティングで活用されることが多く、消費者のニーズや競合他社の動きなど、対象を絞って調査します。

サーベイを行う目的

サーベイを実施する目的は、主に自社の現状を把握することです。会社と従業員の関係を把握し、理想と現実のギャップを確認します。
たとえば、売上など目に見える数字は、現状を確認する重要な指標ですが、表には現れない隠れた課題も存在します。サーベイにより、「従業員のモチベーションが低い」「人間関係が悪い」など、数字には現れないものの、企業の生産性に影響する問題をあぶりだすことができます。

サーベイに意味がないと感じる人がいる理由

サーベイによって、企業が抱える隠れた課題を見つけ、改善策を講じることが可能です。しかし、サーベイには意味がないと感じる人もいます。
そのように感じるのは、実施する目的を明確にしていなかったり、数値の分析がしっかり行われていなかったりすることが原因と考えられます。
実施する目的が明確でないと調査の結果を活かすことができず、実施の意味を感じられません。サーベイを実施する場合は、例えば「離職率の改善」や「生産性の向上」といったように、目的を明確にしておくことが大切です。
実施後に数値の分析が十分に行われていないことも、意味がないと感じる理由です。回収した結果を正確に分析しなければ、解決に向けた施策を立てられません。
また、サーベイの結果は従業員にフィードバックすることが、エンゲージメント向上のために必要です。実施したあとのフィードバックがなければ、従業員は会社への信頼度を下げてしまうでしょう。それではサーベイを実施する意味がなくなってしまいます。調査結果に基づいて、適切なフィードバックを行うことが求められます。

参考記事:エンゲージメントの向上~人的資本経営を実践する│PHP人材開発

サーベイの種類

サーベイの種類

サーベイにはエンゲージメントサーベイをはじめ、目的や実施方法の異なるいくつかの種類があります。ここでは、各サーベイの特徴を紹介します。

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントとは、会社に対する従業員の愛着心や帰属意識、貢献意欲のことです。エンゲージメントサーベイの実施によって、従業員が自社の企業理念や経営方針に共感し、同じ目標に向かっているかどうかを確認できます。一般的に、従業員エンゲージメントが高いほど、モチベーションや生産性が高く、離職率が低いと言われます。
実施頻度は、年に1回、あるいは数カ月に1回程度です。

参考記事:エンゲージメントサーベイとは? 実施の目的と効果・進め方を紹介│PHP人材開発

従業員サーベイ

従業員のニーズや状態を調べ、人事制度や就業規則の改定など、さまざまな人事施策に活かすための調査です。人事制度や就業規則は、何かきっかけがないと改定されません。従業員サーベイは、不公平が発生したり、現状にそぐわない点が出てきていたりといった問題がないか、仮説を立て、検証するために行われるものです。
組織改革も従業員サーベイの目的であり、会社の問題点を抽出し、働きやすい環境づくりや従業員満足度のアップ、離職率の低下などを目指します。

パルスサーベイ

簡易な質問を短期間に繰り返し実施する調査です。実施の目的は従業員サーベイと同じであり、1週間から1カ月に1回といった短いスパンで繰り返します。数十分ほどで回答できる簡単な質問を繰り返しながら、従業員が職場に満足しているかなどを確認します。
短い間隔で実施することにより、現状の問題を素早く把握し、状況の変化をリアルタイムで把握することが目的です。迅速な改善を図ることができるため、従業員満足度の向上に大きな効果が期待できる調査とされています。ただ、高い頻度で行われるため、従業員の負担にならないよう配慮が必要です。

組織サーベイ

組織の現状を把握するために実施するサーベイです。従業員のモチベーションやエンゲージメント、人間関係などを把握し、組織の問題点や課題を解決するために行います。組織に対する従業員の認識のほか、各部署間における意識の差なども把握できます。
組織サーベイにより組織の状態を数値化でき、組織改革や組織開発に関する課題の抽出が可能です。調査結果をもとにした改善を実施することで、従業員の離職防止にもつながります。

モラールサーベイ

モラール(morale)はフランス語で「やる気」や「士気」と訳され、組織の目標達成のために積極的に貢献しようとする意欲・態度を指します。モラールサーベイでは、従業員のモラールの程度を調査します。モラールが高い組織は高いパフォーマンスを発揮でき、業績アップが期待できます。自社の従業員のパフォーマンス発揮には、どのような要素が影響しているかを把握し、モラールを低下させている課題・問題点について必要な対策を講じることができます。

参考記事:サーベイ(組織調査)ツールを選ぶ7つのポイント│PHP人材開発

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サーベイを実施するメリット

サーベイの実施により、会社はどのようなメリットを得られるのかをみていきましょう。

組織の課題を可視化する

サーベイを行うメリットとして、まず、組織に潜む課題や従業員の認識を数値化できるという点が挙げられます。
組織の課題を可視化し、それに基づいた改善策を実施することで、 従業員は自分たちの意見がしっかりと受け止められ、活かされていると感じます。従業員の満足度やエンゲージメント向上につながるでしょう。
近年は環境の変化が激しく、ITやテレワークの導入などで働き方も変わってきています。それによって、従業員の仕事に対する意識やモチベーションも変わってくるでしょう。
定期的なサーベイの実施により、変化する組織の状況を可視化できれば、組織課題の早期解決につながります。従業員のエンゲージメントもさらに高まるはずです。

従業員の定着率を向上させる

サーベイの実施で、従業員の定着率が高まるというメリットもあります。
終身雇用制を見直す企業が増えるとともに、転職によってキャリアアップを図るという考え方が広がり、人材の流動化が進んでいます。また、労働人口の減少で、高齢者や女性の戦力化も企業に必須の課題といえるでしょう。そうした状況において、企業が人材を確保するためには、職場の課題を早期に見つけ、改善し、さまざまな立場の人が働きやすい環境を整えることが求められます。
サーベイでは、働く人の声をもとに客観的に問題点や課題を把握できることから、改善策を実施することで働きやすい職場づくりができます。従業員満足度が高まり、定着率の向上につながるでしょう。

サーベイを実施するデメリット

サーベイの実施には、デメリットも存在します。どのような問題があるのか、事前に把握しておく必要があります。

手間やコストがかかる

サーベイの実施には、手間やコストがかかります。人事担当者が設問を設計して実施する場合には、準備や実施に時間や手間がかかります。分析やフィードバックの業務も増えることになります。その分の残業が発生すれば、人件費としても負担増になるでしょう。
また、外部のサーベイツールを利用するにはコストがかかります。そうした手間やコストについては、事前に検討しておきましょう。

従業員の負担になる

従業員に回答してもらうために業務時間を削ることになり、負担をかけます。通常の業務以外にサーベイの回答に時間が取られてしまい、本来の業務を定刻内に終えられない可能性もあるでしょう。特に、年に1度といった頻度で行う大規模なサーベイは、回答に時間を要するため、従業員の負担にならない方法を工夫する必要があります。
また、サーベイの主旨を理解できない従業員からは、業務に支障があると反発される可能性もあるでしょう。従業員の反発があると回答にも影響し、精度が下がる可能性があります。正確な結果を得られなければ組織の課題を抽出できず、実施の目的が果たせません。
さらに、サーベイの実施後に結果が何にも活かされず、フィードバックもなければ、従業員の不満につながります。エンゲージメントの低下を招き、本来の目的とは逆の結果になってしまうでしょう。不信感が高まれば、次回以降の調査への協力も得られません。

サーベイを成功させるポイント

サーベイを成功させるポイント

サーベイを成功させるには、従業員の理解を得ることや、負担を減らす工夫をするなど、いくつかの押さえるべきポイントがあります。

目的を明確にして従業員に周知する

サーベイを実施する際は、目的を明確にして従業員に共有することが大切です。実施する背景や目的を説明し、調査結果は誰がどのように分析するのか、分析結果をどのように活かすのか、実施後は誰がフィードバックを行うのかについてわかりやすく伝えましょう。
従業員の回答が上司や同僚などに漏れることはなく、自身が不利益を被ることないことを伝えることも大切です。安心してもらうことで、正直な回答を得ることができます。
しっかり説明することで従業員の理解を得られ、協力してもらうことができます。調査には真摯な回答を得ることができ、正確なデータを取得できるでしょう。

従業員の負担を減らす工夫をする

サーベイは従業員の業務時間に実施されるため、どうしても負担をかけてしまいます。そのため、できるだけ負担を減らす工夫を考えることが必要です。
特に導入した当初は頻度を少なめにし、質問項目も負担にならない数を設定しましょう。回答方法はPC・スマートフォン・タブレット端末など複数の種類を用意しておけば、回答しやすくなって負担を軽減できます。
サーベイの回答期間は長めに設定しましょう。期間が短いと業務との兼ね合いで負担となり、余裕をもって回答できなくなるかもしれません。前向きに回答してもらえるよう、できる限り余裕のある期間を設定します。部署ごとに忙しい時期は異なるため、繁忙期を避けた期間を設定することも大切です。

匿名回答で実施する

従業員の正直な回答を引き出すためには、匿名で回答できる仕組みにすることが大切です。記名式の場合、従業員にプレッシャーを与えることもあります。回答によって不利益を受けないと説明されても、記名するとなると疑念を払拭しきれません。
「評価に影響するのではないか」「回答が上司に知られるのではないか」と考えてしまう可能性があります。そうなると本音で回答しづらくなり、率直な意見を引き出すことは難しくなります。正確な調査結果を得るためには、匿名回答での実施が望ましいでしょう。

本音をヒアリングできるようにする

質問を作成する際は、求める回答に誘導しないように注意し、本音を引き出せるような設問を用意しましょう。
本音を引き出す設問の設定は心理学などの知識も要求されるため、難しい場合は外部のサービスを利用するという方法もあります。
また、サーベイの成果を得るためには、定期的な実施が効果的です。抽出した課題に対する改善策を実施し、その効果が得られているかをチェックするために再調査をするという繰り返しにより、サーベイの効果が発揮されます。そのため、効果を確認できるような質問や、改善策を実施したあとの変化を確認する質問などを設定することが大切です。前回と同じ設問も用意すれば、変化の確認ができるでしょう。

サーベイの結果を施策に反映させる

サーベイの目的を達成するためには、調査結果を分析して組織に潜む課題を見極め、改善に結び付けることが欠かせません。調査結果に対して具体的なアクションを起こすことで、従業員は「自分たちの意見が活かされている」と感じ、会社への信頼感を高めるでしょう。
人事施策の効果を確認するためには、検証が必要です。再度サーベイを実施して効果を検証し、分析の結果、新たに抽出した課題を踏まえてさらに適切な施策を実施するというサイクルを回します。その繰り返しで、確実な課題解決と組織の発展を図ることができます。
また、サーベイの分析結果を従業員にフィードバックすることも、忘れないようにしましょう。分析により抽出した課題を従業員と共有し、改善策を組織全体で見つける仕組みを作るためにもフィードバックが大切です。

まとめ:サーベイを意味のあるものに活用しよう

サーベイは、従業員への質問によって自社の現状を把握するために行われ、見えない課題を数値にして可視化できるのがメリットです。解決に向けて施策を立て、改善に取り組み、さらにサーベイを実施するというサイクルを回すことで、会社の成長・発展を目指します。

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