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サーベイとは? 意味やアンケートとの違いやメリットを解説

2023年11月22日更新

サーベイとは? 意味やアンケートとの違いやメリットを解説

組織や職場のコンディションを「見える化」するサーベイは、近年、多くの企業で用いられる経営ツールの1つです。言葉として知ってはいるが、詳しくはないという方もいるでしょう。組織の課題解決や従業員の満足度向上のために実施されるサーベイについて、意味やアンケートとの違い、メリットやデメリットなどを含めて解説します。

INDEX

サーベイとは?

サーベイとは従業員の満足度向上などについて、組織の現状を数値化して把握するために行われる調査のことを指します。全体像を把握することで、個々の問題点や課題を発見し、よりよい状態へと改善するために活用されています。具体的には、たとえば従業員が求めている職場環境と現状とのギャップの把握や、組織の課題発見などを目的に活用されています。

サーベイとリサーチやアンケートとの違い

サーベイと意味を混同しやすい単語が、リサーチやアンケートです。どちらも調査するという意味ですが、サーベイが組織が解決したい課題などの全体像を把握するための調査であることに対し、リサーチは特定の目的や内容などの調査、アンケートは具体的な調査方法を表しています。

サーベイとリサーチとの違い

サーベイが組織の課題などの全体像を把握するために広い範囲で実施する調査であるのに対し、リサーチは特定の目的や内容など調査対象が明確であり、より細かく理解するために行われます。リサーチは主に文献や情報を活用して行われ、マーケティング分野で用いられることが多いものです。具体的には消費者のニーズを調べたり、競合他社の動向を調べたりする際に行われます。
リサーチの対象となるのは、特定の条件にあてはまる人や組織であり、誰でもよいわけではありません。サーベイで組織の全体像を把握したのちに、より深く理解するためにリサーチが行われます。

サーベイとアンケートとの違い

アンケートもサーベイと同じような意味に捉えがちですが、サーベイが調査という全体としての概念であるのに対し、アンケートは具体的な調査方法を指します。具体的には多くの人に同様の質問をして、回答を求める調査方法です。たとえば、マーケティングでは、自社ユーザーの満足度や自社サービスのリピート調査として行われています。
一口にアンケートといっても、対象や調査方法はさまざまです。広範囲の人を対象にする場合もあれば、少人数に絞って行うこともあります。Webを使って実施することもあれば、座談会のような形式で行う場合もあるでしょう。

サーベイの主な種類

サーベイの主な種類

一口にサーベイといっても、課題したい解決に応じてさまざまな種類があります。

●従業員サーベイ
●パルスサーベイ
●組織サーベイ
●モラールサーベイ
●エンゲージメントサーベイ
●コンプライアンス意識調査
●アセスメントサーベイ
●ストレスチェック

それぞれのサーベイの内容を整理しておきましょう。

従業員サーベイ

従業員を対象に職場内での環境や人間関係、企業と従業員の関係などの満足度を調査するために用いられます。以下のようなことを目的として行われるのが従業員サーベイです。

●離職率の改善
●生産性の向上
●労働環境の改善

従業員サーベイを行うことで会社の問題点を客観的に把握でき、解決策を見つけられます。浮き彫りになった課題を解決することで、生産性や従業員満足度を高めていくことができます。

パルスサーベイ

パルスサーベイは、従業員満足度の意識調査として用いられる手法です。1週間から1カ月に1回といった短いスパンで簡単な質問を繰り返して聞くことで、従業員の意識をリアルタイムに把握したり、その変化を読みとったりすることができます。一定の期間でPDCAを回していく際には、特に有効です。

参考記事:パルスサーベイとは? 活用目的や導入メリットを解説│PHP人材開発

組織サーベイ

組織サーベイは従業員のモチベーションやエンゲージメント、人間関係などの組織状況の把握と改善のために実施されます。組織サーベイは職場の人間関係や従業員などの状況を、定量的に判断する組織診断ツールの一つとして用いられるものです。組織診断を行うことで、組織や従業員が抱える問題を可視化できます。優秀な人材の離職防止、心身に不調をきたしている従業員へのフォローなども目的となります。

モラールサーベイ

モラールは「意欲」や「士気」を表す言葉で、モラールサーベイでは、目標に対して前向きに取り組んでいるかどうかなどがわかります。ほかにも同僚や上司、仕事そのものに対してどのような感情を抱いているかも把握できます。モラールが低いと生産性が向上せず、組織としてのパフォーマンスも落ちてしまいがちです。従業員の意欲を高める取り組みの基礎となる重要な調査といえます。

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイとは、自社や製品に対する愛着心を調査する手法のことです。エンゲージメントは愛社精神や帰属意識など、会社とのつながりの強さを表す言葉であり、エンゲージメントサーベイを行うことで従業員の会社に対する思いを理解することができます。
エンゲージメントサーベイと混同しがちなのが、従業員満足度調査です。従業員満足度調査はモラールサーベイの一環として行われるものであり、単純に満足度を調査します。エンゲージメントサーベイとの違いは、働きがいや愛社精神を調査するという点にあるといえます。

参考記事:エンゲージメントサーベイとは? 実施の目的と効果・進め方を紹介│PHP人材開発

従業員エンゲージメント向上プログラム 資料ダウンロード

コンプライアンス意識調査

コンプライアンス意識調査では、文字通り従業員のコンプライアンスに対する意識の程度を調査します。コンプライアンスは法令遵守の意味ですが、近年、企業に対する社会の目は厳しくなってきており、従業員へのコンプライアンス教育は、教育研修の必須項目となっています。従業員へのコンプライアンス意識調査の結果をもとにすれば、従業員の意識レベルに応じた効果的な教育を行うことができます。

アセスメントサーベイ

アセスメントサーベイとは、従業員一人ひとりが持つ能力やスキルを可視化して、人事評価や能力向上へとつなげるための調査のことです。アセスメントは「客観的に調査・評価する」という意味を持つ英語の「assessment」が語源です。客観的に人材のスキルや能力を評価することで、人材配置や育成に役立てることができます。

ストレスチェック

ストレスチェックは、従業員のメンタルダウンを未然に防止することを目的とした調査です。労働安全衛生法第66条の10に基づいて、50人以上の従業員を抱える事業所は年に1回行わなければいけません。従業員は自分自身のストレス状況について回答し、企業は集計・分析したものを本人に通知します。ストレスチェックを行うことは、ハラスメントの防止や職場環境の改善にもつながります。

サーベイを活用するメリット

サーベイを活用するメリット

サーベイの活用には、次のようなメリットがあります。

●従業員の定着率向上・顧客満足につながる
●回答者の考えがデータとして可視化される
●社内トラブルを未然に防げる
●データを次回の施策に活用できる

サーベイを活用することで、従業員満足度の向上につながる有効な人事施策を実施できたり、社内をトラブルを未然に防いだりなどの効果が期待できます。

従業員の定着率向上・顧客満足度向上につながる

サーベイによって組織の課題を把握して改善に取り組むことで、従業員が働きやすい環境を整えることができます。従業員の不安や不満を取り除けば、会社への満足度や定着率が向上します。会社への満足度が向上すると、業務に対するモチベーションやパフォーマンスもよくなります。
その結果、商品やサービスの質が向上するため、顧客満足度の向上にもつながります。顧客満足度が向上すれば売上や利益に好影響をもたらすため、業績の向上も期待できるはずです。サーベイを行うことは、企業に好循環をもたらす重要な施策の一つといえます。

回答者の考えがデータとして可視化される

サーベイを実施することで、対象者の考えを数値化して把握することができます。多くの対象者の回答をデータとして保有しておくことで、従業員が抱えやすい不安や不満、組織や部署ごとの課題なども明確にできるでしょう。課題の早期発見にも繋げられます。

社内トラブルを未然に防げる

サーベイを実施することで、社内トラブルを未然に防げます。サーベイによって抽出された課題や問題点に適切に対処すれば、トラブルが大きくなる前に解決できるでしょう。なかでも、ハラスメントなどの人間関係に関するトラブルは相談しにくく、当事者が1人で抱えてしまいがちです。
そのため、気づいたときには大きなトラブルになっており、人材流出などにつながってしまいかねません。匿名での回答とすることで、安心して相談できる環境を作ってあげることが大切です。

データを次回の施策に活用できる

回収したデータは、次回の施策に活用できます。漫然と施策を立てるのではなく、データを活用すれば数字に基づいた効果的な施策を講じることができます。たとえば特定の部署で残業に対する不満が多いと判明した場合、適切な人員配置を行って一人ひとりの業務量を減らすことで従業員の満足度が向上します。

サーベイ実施に伴うデメリット

サーベイには前述したようにメリットがありますが、次のようなデメリットが生じる可能性があります。

●従業員に負担をかける可能性がある
●従業員から不満や反発の声があがる可能性がある

サーベイの実施は従業員にも負担があるため、意味をきちんと説明しないと不満や反発の声があがる可能性があるでしょう。またサーベイの結果、改善が見られない場合にも不信感を抱かれてしまいます。

従業員に負担をかける可能性がある

サーベイの実施が、従業員の負担になってしまう可能性があります。サーベイを適切に実施するには、時間を割いてアンケートに回答してもらう必要があります。日々の業務が忙しい中、アンケートに時間を割くこと自体を負担に感じてしまう人がいるかもしれません。できるだけ負担を少なくするように、答えやすい設問にするなどの工夫が必要です。

従業員から不満や反発の声があがる可能性がある

サーベイを実施する際にはメリットや意味を丁寧にしないと、不満や反発の声があがる可能性があります。納得感を得られないまま実施すると、回答してもらえなかったり、適当に回答したりする従業員が出るかもしれません。
また、サーベイを実施してもフィードバックがなかったり、改善を実施しなかったりする場合、従業員に不信感を抱かれる場合があります。「時間を割いてサーベイに協力しても結果につながらない」と思われないためには、従業員の声を聞いて改善を重ねるという姿勢を示していく必要があります。

サーベイ導入の5ステップ

サーベイ導入の5ステップ

効果的なサーベイを行うためには、正しい導入ステップを踏んで実施することが重要です。サーベイを導入する際には、以下の流れに沿って行いましょう。

●組織課題の分析・目的の明確化
●調査項目の設計
●実施方法の検討
●調査結果の分析とフィードバック
●改善策の実行

1.組織課題の分析・目的の明確化

サーベイを導入する際の第一歩は、組織課題の分析と目的の明確化です。組織として、サーベイによって解決すべき経営課題が何であるかを明確にしておきましょう。従業員満足度を高めたいのか、もしくは定着率を高めたいのか、解決すべき課題によって実施するサーベイの内容が違うはずです。サーベイによって解決すべき課題を明確にすることで、効果的に実施できます。

2.調査項目の設計

サーベイを導入する目的が明確になったならば、次は調査項目を設計します。どのように設計するかによって得られる結果が違ってくるため、効果的なサーベイを実施するためにも、設問の設計は非常に重要といえるのです。設問をゼロから作り上げるには時間的にも作業的にも困難であるため、ある程度パッケージ化されたモデルを利用するとよいでしょう。

3.実施方法の検討

設問内容を決めたならば、次は実施方法を検討しましょう。実施方法には、次の2つが挙げられます。

●オープンアンケート
●クローズドアンケート

オープンアンケートは無記名での調査であるため、率直な回答が得られやすいです。企業としても事前のリストアップが不要であるため、負担は軽いでしょう。ただし無記名であるだけに、曖昧な回答がかえってくる場合もあります。
クローズドアンケートは、特定の回答者の正確な情報が保たれるものです。回答内容に責任感が生まれ、データをさまざまな切り口から分析できます。

4.調査結果の分析とフィードバック

調査結果が回収できたら、分析を行います。分析する際のポイントは、当初設定した目的に照らし合わせることです。調査結果の良し悪しにとらわれず、結果はあくまで現状として把握するようにしましょう。
回収した結果は、必ず従業員にフィードバックしましょう。フィードバックする際は結果の良し悪しにかかわらず、ありのままを公表してください。結果の公表を怠ってしまうと不信感につながり、エンゲージメントを低下させるばかりか次回のサーベイの精度にも影響が出てしまいます。

5.改善策の実行

サーベイの結果をもとに、改善策を立案して実行します。サーベイはデータ収集が目的ではなく、改善へ向けて動き始めるために行うものです。サーベイ結果をもとにして企業が改善に向けて動いている姿が従業員に伝われば、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながります。

サーベイ活用時の注意点

サーベイを効果的に活用するためには、次のような注意点に気をつけましょう。

●サーベイの目的や結果を従業員と共有する
●従業員の負担にならない質問を設計する
●匿名による回答を検討する

サーベイの目的や結果を従業員と共有する

サーベイを成功させるには、従業員が不安を抱くことのないように、目的と結果を共有する必要があります。サーベイの内容にもよりますが、サーベイを実施する目的は従業員の満足度向上や、組織改善であることが一般的です。そのため、調査に協力してもらえるように目的と方法を周知し、結果を従業員に共有するようにしましょう。

従業員の負担にならない質問を設計する

サーベイでは、忙しい業務の合間を縫ってアンケートに回答してもらう必要があるため、少なからず従業員の負担が発生します。できるだけ従業員の負担にならない設問とすることで、サーベイの精度を高められるでしょう。回答は記述式ではなく選択式にしたり、数分で回答できる内容にしたりすることで、従業員の負担を軽減できます。

匿名回答を実施する

サーベイの精度を高めるためには、アンケートにおいて匿名回答を検討するとよいでしょう。従業員が回答する際、記名式だと正直に回答しにくい場合もあります。匿名方式であれば個人が特定されないため、人間関係などの質問に関しても正直に回答することができます。

サーベイツールを選ぶ際のポイント

サーベイは、自社ですべてを行うのはリソース的にも困難です。そのためサーベイツールの利用がおすすめです。サーベイツールを選ぶ際のポイントは、次の3つです。

●サービス内容
●費用対効果
●使いやすさ

サーベイツールはサービスごとに特徴があるため、目的に応じたツールを選ぶようにしましょう。たとえば自社の課題からパルスサーベイを行うのがよいと判断したのであれば、パルスサーベイに特化したツールを利用します。離職率の低下防止や従業員のメンタルヘルスケアなど、サーベイの目的に応じたツールを選ぶように心がけましょう。
費用対効果もツール選びの際には重要なポイントです。豊富な機能を持ったサーベイツールでも自社の規模に合っていなければ、十分な効果を発揮することはできません。料金体系としては1ユーザーごとに料金が発生するものや、月額払いのものなどさまざまです。どのプランが自社に合っていて、費用対効果に優れているかをよく検討してからツールを導入しましょう。
サーベイツールは使いやすさも重要です。従業員が回答しやすいような操作性や画面表示など、回答する従業員がストレスを感じないツールを選ぶ必要があるでしょう。ツールによってはコンサルタントが調査結果をサポートしてくれるものや、面談サポートを行ってくれるものもあります。サーベイは一度実施して終わりではなく、改善と検証を何度も行う必要があるため、使いやすさにも留意するようにしましょう。
体験版を利用できるツールもあるため、複数のツールを比較検討しながら決めていくのも一つの方法です。

参考記事:サーベイ(組織調査)ツールを選ぶ7つのポイント│PHP人材開発

まとめ:サーベイを活用し組織の全体像を把握しよう

組織の課題を解決するため、あるいは従業員のモチベーションやエンゲージメントを向上させるために、サーベイは欠かせません。一口にサーベイといっても、従業員のメンタルヘルスケアや満足度向上など、目的に応じてさまざまな種類があります。そのためサーベイを行う際には、解決したい課題を明確にする必要があるでしょう。
サーベイの実施には、従業員の負担が伴います。そのためサーベイを実施する目的やねらい、結果や改善策などを示していき、共感を得られるようにしましょう。負担を軽くするために設問を答えやすくしたり、匿名回答にしたりするといった配慮も必要です。
サーベイをうまく活用して、組織の課題解決と従業員の士気向上へとつなげましょう。

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