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パルスサーベイとは? 活用目的や導入メリットを解説

2023年12月 5日更新

パルスサーベイとは? 活用目的や導入メリットを解説

パルスサーベイ(Pulse Survey)は、設問数を限定し、週1回や月1回といった高い頻度で繰り返し行う従業員サーベイです。従業員の状況をタイムリーに把握し、問題があった場合には迅速にフィードバックや支援を行うことで、問題が深刻になる前に対処することができます。今回はパルスサーベイの活用目的やメリット、具体的な活用シーンについて解説します。

INDEX

パルスサーベイとは? 意味や活用目的

パルスサーベイは、従業員エンゲージメントの把握を主な目的として実施されています。従業員の内面の変化をリアルタイムに捉えられるのが特徴です。まずはパルスサーベイの意味や活用の目的を正確に理解しましょう。

「パルスサーベイ」の意味

パルスサーベイの「Pulse(パルス)」は脈拍、「Survey(サーベイ)」は調査という意味をもちます。人間の脈を計測する健康チェックが由来で、健康診断と同じように高い頻度で繰り返し行われるのが特徴です。実施頻度は週1回や月1回、設問は5~15問程度で、主に従業員の会社に対する満足度や健康状態を調査するのに使われます。
パルスサーベイと同く、従業員エンゲジメントを調査する方法として「センサス」があります。センサスは年に一度ほど行われるサーベイで、設問の数は50~150程度になっています。多面的で詳細な調査を行えるため、組織の課題に対して正確な分析ができる反面、実施や結果分析に時間がかかり、なかなか現場に反映できないことから、パルスサーベイが注目を集めるようになりました。

パルスサーベイの活用目的

パルスサーベイは、従業員エンゲージメントの状況をリアルタイムで把握し、早期改善を図ることができます。年1~2回程度の頻度で実施するセンサスでは、問題を特定しても、すでに解決が難しい状況に陥っている場合も少なくありません。たとえば、辞めるかどうかで迷っていた従業員が、時間の経過によって離職の意思を固めるケースが考えられます。その点、パルスサーベイは、従業員の悩みや心配事が小さく深刻な状態に達する前に発見して対処できます。
また、パルスサーベイは設問数が少ないため、大規模なセンサスよりも実施コストを抑えることができます。過去のフォーマットや簡易的なツールを用いれば、専門業者に外注することなく、管理職や人事担当者が自らアンケートの設問を作ることができます。実施や運用の手間が少ないのも、バルスサーベイを活用するメリットの一つです。

パルスサーベイと他の調査方法との違い

パルスサーベイと他の調査方法との違い

従業員のエンゲジメントを調査する方法には、パルスサーベイ以外に、モラールサーベイや社内アンケートがあります。それぞれ調査の頻度や項目が異なるため、それぞれの違いを把握しておきましょう。

パルスサーベイとモーラルサーベイの違い

モーラルサーベイは従業員の意欲の測定を目的として実施します。頻度は年1回から数回程度、設問は数十項目になることが多く、従業員の状況の変化を調べるパルスサーベイとは異なります。「モラール」は直訳すると「士気・意欲」であり、組織のなかでメンバーと協力して目標達成を目指すモチベーションのことを指します。モラールサーベイでは、行動や労働環境、人間関係、管理体制など、従業員の意欲をさまざまな角度から確認する質問が設定されます。

パルスサーベイと社内アンケートの違い

社内アンケートは従業員満足度調査(ES調査)とも呼ばれ、年1回から数カ月に1回の頻度で、会社に対する従業員の要望を知るために実施されます。調査項目は、給与額、休暇の日数、福利厚生などで、会社が従業員に提供する環境に、どの程度満足しているかを調査します。
従業員満足度調査の調査項目には、満足度以外にも、ストレスチェックやエンゲージメントなどの要素が含まれることもあり、自由に設問を考えられるのが一つの特徴ともいえるでしょう。

参考記事:サーベイとは? 意味やアンケートとの違いやメリットを解説│PHP人材開発

パルスサーベイの活用例

パルスサーベイはオンボーディングや従業員のメンタルヘルスチェック、人事施策の効果検証に活用できます。それぞれのシーンでどのように役立つかを解説します。

新規採用者や部署異動した従業員のオンボーディング

パルスサーベイは、新規採用者や部署異動した従業員の悩みや課題を把握したり、早く職場に馴染めるように導いたりする目的で実施されることがあります。オンボーディングとは、HR分野では、従業員を配属先に早く馴染ませ、早期離職を防止することを目的に実施する一連の取り組みのことをいいます。パルスサーベイによって、対象となる従業員の気持ちの変化をリアルタイムで把握することができるため、オンボーディング施策の調査として活用されています。

従業員のメンタルヘルスチェック

パルスサーベイは、メンタルヘルス対策にも使われます。職場では、仕事の成果へのプレッシャーや人間関係、残業などが原因となり、程度の差はあれ誰しもストレスを抱えているものです。働く人の心と身体を健康に保つことは、企業の重要な課題の一つといえるでしょう。
パルスサーベイの実施によって従業員の変化を把握できれば、人事部門からの早期のフォローが可能で、重大な事案となるのを防ぐことができます。
労働安全衛生法に基づき、従業員が50人以上の企業では年1回のストレスチェックが義務付けられていますが、メンタル面の変化をリアルタイムで追うには、短い期間での調査が必要です。年1回のストレスチェックとあわせてパルスサーベイを採り入れる企業が増えているのはそのためです。

参考:厚生労働省こころの耳「ストレスチェック制度関係 Q&A」
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou/qa/

人事評価や人事施策の効果検証

パルスサーベイは、人事評価や人事施策を実施した後の従業員を定点観測し、効果の確認やフォローの必要性を見極める目的で実施されることがあります。たとえば、配置転換や昇進等について、本人が満足し、今までと異なる立場でイキイキと働くことができているかどうかは、組織にとって重要な問題です。パルスサーベイによって、従業員がモチベーション高く働けているかを把握できれば、管理職や人事担当者によるフォローを適切に実施することができるでしょう。

パルスサーベイの導入メリット

パルスサーベイが、企業にもたらすメリットは少なくありません。ここでは、主なメリットをご紹介します。

従業員の状況をタイムリーに把握し的確にフォローできる

短い間隔で実施するパルスサーベイは、従業員の状況の変化をタイムリーに把握できる方法です。モーラルサーベイや社内アンケートのように年1回の実施であれば、リアルタイムでの変化をつかむことはできませんが、パルスサーベイではタイムリーに対策を講じることができます。
たとえば、順調に業務をこなしているように見える従業員であっても、実は、内面で仕事上の悩みを抱え、メンタル不調に陥っていた、という場合もあるでしょう。パルスサーベイでは、従業員のそうした変化をとらえて適切なフォローを施すことで、未然に問題解決を図ることができます。

従業員のエンゲージメントが向上する

パルスサーベイを通じて、従業員が抱える問題や悩みを迅速にフォローすれば、彼らの企業に対するエンゲージメントが向上します。自分の気持ちに理解を示し、解決策まで提示した所属先への愛着や信頼が増すためです。エンゲージメントが高まると、従業員は積極的に行動し、企業への貢献を意識して自発的に動くようになる傾向があります。
組織の生産性向上が企業の収益拡大につながり、従業員に報酬や福利厚生の充実などで還元できるようになれば、採用活動にも少なからず良い影響があるでしょう。

内省の機会が得られる

サーベイの結果を上司が受け取り、人事面談や1on1に生かすことができます。従業員は上司からのアドバイスによって、自らの成長につながる内省の機会を得られます。
自分自身の問題点や課題を客観的に捉え常に改善を図るのは難しいものです。パルスサーベイによるフィードバックは、たとえネガティブな内容であっても本人が納得しやすく、内省の機会となって本人の成長につながるでしょう。

調査コストが抑えられる

パルスサーベイは、センサスや他の調査と比べると調査項目数が少ないため、事前の設計や実施後の分析にかかる業務と人的コストを抑えやすいというメリットがあります。昨今はオフィス向けの簡易型のサーベイツールが登場しているので、うまく利用すればさらに人的コストの削減が期待できます。
項目数が多いセンサスは自社での対応が難しく、専門業者への外注を余儀なくされる場合も少なくありません。数十万~数百万円の予算がかかるのが一般的です。その点、パルスサーベイは、回数は多くても負担は少ないことから、比較的実施しやすいサーベイであると言えるでしょう。

参考記事:サーベイ(組織調査)ツールを選ぶ7つのポイント│PHP人材開発

パルスサーベイ導入時の注意点

パルスサーベイ導入にはデメリットもあるため、十分な検討が必要です。ここではパルスサーベイのデメリットをご紹介します。

運用には一定のコストがかかる

パルスサーベイのコストは小さいとはいえ、完全に無料で実施できる方法ではありません。短期間で繰り返し実施することから、実施準備や結果分析などで人的コストもかかります。
また、サーベイツールは調査の結果を踏まえた対策立案の部分をカバーしていないことが多く、社内担当者が問題点をピックアップして効果的な対策を打ち出すという業務を担います。しかし、これは簡単なことではありません。結果によっては、問題を抱える従業員への個別対応が必要になります。最悪の場合、従来業務が圧迫されて効果的なパルスサーベイができなくなるケースもあります。

回を重ねると不誠実な回答が増えやすい

パルスサーベイは、回を重ねるごとにマンネリ化し、従業員から十分な回答を得られなくなるというデメリットがあります。頻繁に似たような質問をされると、従業員は真剣に答えなくなってしまうのです。さらに、調査結果に対する会社側の対応に不信感を抱いていれば、まじめに回答しても改善されないと考え、対応がおざなりになるかもしれません。
不誠実な回答を防ぐためには、あらかじめ従業員にパルスサーベイの必要性を丁寧に説明することから始めるといいでしょう。実施目的や調査方法を明らかにして、なぜ高い頻度で似たような質問を投げかけられるのかを理解できれば、快く協力してもらえます。あわせて調査結果がどのように活かされるのか、活用方法や運用方法をきちんと伝えるのも大切なことです。

細かな実態までは把握しづらい

質問項目が少ないパルスサーベイでは、回答に至った背景や理由など、詳細な実態までは把握しにくいことがあります。問題への対策を考えるためには、サーベイに加えて、人事担当者や上司が面談を行うなどで実態を把握する必要があります。

参考記事:サーベイは意味がない? サーベイの種類や問題点・成功のポイントを解説│PHP人材開発

パルスサーベイの効果的な質問例

パルスサーベイの効果的な質問例

パルスサーベイの質問項目は、大きく以下の3つに分かれます。

・従業員の満足度や幸福度に関する項目
・業務に関する項目
・経営理念への理解度に関する項目

それぞれの項目について質問例をご紹介します。

従業員の満足度や幸福度に関する項目

  • 業務を通じて学び、成長できている実感はありますか?
  • 上司や同僚に自分の意見を伝え、評価される環境はありますか?
  • 職場には気軽に雑談できる仲の良い存在はいますか?
  • 大きなプロジェクトの参画をはじめ、積極的にチャレンジできる環境はありますか?
  • 仕事でやりがいを感じる瞬間はありますか?
  • 所属先のスキルアップや研修制度は整っていると感じますか?
  • 人事制度の仕組みや評価指標には納得していますか?

従業員が企業に対して抱く想いを、簡単な質問を通して把握します。これらは、従業員満足度やエンゲージメント向上などの施策立案に資する項目です。満足度や幸福度というと抽象的ですが、具体的には成長している実感、人間関係、チャレンジジングな環境、福利厚生などが該当します。

業務に関する項目

  • ワークライフバランスには満足できていますか?
  • 現在の仕事内容や業務量に満足していますか?
  • 上司や同僚とのコミュニケーションは良好ですか?
  • 自分の仕事が会社に貢献しているという実感はありますか?

業務量は、多すぎても少なすぎてもエンゲージメントの低下を引き起こす恐れがあります。また、従業員が所属組織の成果獲得に貢献していると思えることがやりがいにつながります。業務に関する項目の聞き取りは非常に重要です。

経営理念への理解度に関する項目

  • 企業の経営理念やビジョンを理解していますか?
  • 経営理念は組織に十分浸透していると思いますか?
  • ビジョンが日常業務に影響を与えていると感じる機会はありますか?
  • 経営理念やビジョンは、経営陣の意思決定に反映されていますか?

従業員が企業の使命を理解していないと、経営陣の考えが不明瞭だと感じ、エンゲージメントの低下につながります。企業側としては常に発信しているつもりであっても、十分に伝わっているかどうかは従業員に聞かないと実態が分かりません。パルスサーベイは、従業員への経営理念の浸透度を推し量る大切な場でもあります。

まとめ:パルスサーベイを人事施策に役立てよう

パルスサーベイは、通常の業務では見えにくい従業員の状況や変化を把握するための調査です。リアルタイムで迅速なフィードバックに役立て、エンゲージメントの向上へとつなげます。また、昇格昇任や部署異動をした従業員のフォローアップにも有効です。比較的取り組みやすい調査といえますが、デメリットもありますので、事前に把握したうえで有効に取り入れていきましょう。

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