階層別教育のご提案

公開セミナー・講師派遣

通信教育・オンライン

DVD・テキスト他

リーダーシップ研修とは? 目的や学ぶべき内容について解説

2024年6月13日更新

リーダーシップ研修とは? 目的や学ぶべき内容について解説

「リーダーシップ」といえば、かつては経営層や管理職層の研修メニューと考えられてきました。しかし、イノベーションが求められる現代では、あらゆる階層、職能の人材にリーダーシップが求められ、そのための教育研修が実施されています。では、リーダーシップ研修は、具体的にどのように進めていけばよいのでしょうか。この記事では、リーダーシップ研修を企画する人事の方を対象に、リーダーシップの定義、研修の目的や内容、評価方法までを解説します。

INDEX

リーダーシップとは

「リーダーシップ」とは、そもそも何なのでしょうか。さまざまな定義がありますが、ひと言でいえば「組織のビジョンや目標を達成するためにメンバーの行動に影響を与える力」といってよいでしょう。指導力、統率力などとも表現され、職場やチームを目的に向かって導くことを指します。

リーダーシップと似た言葉に「マネジメント」があります。どちらも組織のビジョンや目標を達成するために必要なものではありますが、マネジメントは「人・物・金・情報といった経営資源を管理すること」です。リーダーシップは「どこへ向かっていくのか」、マネジメントは「何をどのように進めていくのか」であると言ってもよいでしょう。

リーダーシップと聞くと「経営層や管理職に必要なもの」というイメージを抱く方がいるかもしれません。しかし実際には、入社年度や役職、職能に関係なく、すべてのビジネスパーソンに必要不可欠な要素です。

参考記事:リーダーシップを高める目的とは? 定義や種類、効果的な高め方を解説?

リーダーシップ研修を実施する目的

リーダーシップ研修の目的は、仕事でリーダーシップを発揮すべき人材に対して必要な知識やスキルを身に付けさせることにあります。そして最終的なゴールは、リーダーシップを習得した人材が組織メンバー一人ひとりのパワーを引き出し、企業のビジョンや目標達成に貢献し、組織開発を促すことでしょう。

前述のとおり、リーダーシップは経営層や管理職に限らず、すべての人材が身に付ける必要があります。市場の変化が激しい昨今、企業は新たなイノベーションの創出を迫られています。しかし、上意下達、指示命令型の組織はどうしても硬直化し、革新的な技術や発想、新たな価値を生み出すことができません。そのためにも、若手・中堅社員、現場リーダーのリーダーシップ開発を促し、自由闊達で活気のある職場をつくり、イノベーションを生み出していこうという動きが加速しているのです。

リーダーシップ研修の対象者

リーダーシップ研修はマネジメント層のみを対象とするものではありません。すべての社員に経験や役職に応じたリーダーシップ開発が求められています。

  • 若手社員
  • 中堅社員
  • 主任・係長
  • 管理職
  • 次世代リーダー

ここでは、上記それぞれの対象別に、リーダーシップ研修の必要性、実施メリットを紹介します。

舘野泰一 × PHP研究所
「全員発揮のリーダーシップ」
研修プログラムのDLはこちら

若手社員(~入社3年目)

現代のビジネス環境では、若手社員といえども上司の指示を待ち、それに従って動くだけでは、周りの期待に応えることはできません。また、それでは仕事のモチベーションも会社へのロイヤリティも上がらず、突然の離職ということにすらなりかねません。

若手社員がリーダーシップを発揮し、前向きな意欲と感性、発想を仕事に生かすことで、新しい商品・サービスや販売のノウハウが生まれたという事例は多々あります。若手社員の意識と行動が変われば、「リーダー任せの組織」から脱却し、ボトムアップ効果が期待できるでしょう。

参考記事:若手社員のリーダーシップ開発~4つの視点と経験学習サイクル

中堅社員(入社3年目~)

仕事を主体的に進める役割を担う中堅社員は、現場の中核戦力といってよいでしょう。この世代の活性化は現場力を大きく左右するといえます。中堅社員ともなれば社内外の利害関係者を巻き込んで仕事の成果を出していく場面が増えてきますから、自ずとリーダーシップが求められてきます。

リーダーの早期育成という理由から、中堅社員にリーダーシップ研修を実施する企業も増えています。中堅社員がリーダーシップを習得していれば、より大きな仕事ができますし、管理職の不在時やとっさの判断が求められる場面でも、適切に判断し、行動することができます。

参考記事:中堅・若手社員に求められるリーダーシップ行動とは?

主任・係長

主任・係長といった肩書がつく頃になれば、すでに現場をまとめるリーダーとしての役割が課せられているはずです。とはいえ主任・係長は管理職に比べてマネジメント経験が不足しており、権限や裁量の範囲も限られています。そのため、上司の方針をふまえたうえで現場をまとめ、適切な意見具申でチームをよりよい方向に導いていくリーダーシップが強く求められます。

そうしたことから、この階層には役割の再認識、コミュニケーション能力の向上などを目的に研修プログラムを組むケースが一般的です。そして、初級管理者、現場監督者と呼ばれる主任・係長は、長いキャリアの中でリーダーシップを磨き高めるのに絶好の階層といえるでしょう。

管理職・マネジャー

リーダーシップ研修はマネジメント研修とともに、管理職昇格時の定番メニューといってよいでしょう。主任・係長時代よりも大きな職責を担うわけですから、より高レベルなリーダーシップが問われることになりますが、具体的には下記の3点が求められます。

  • 方向性を示す
  • 要望する
  • 引き出す(コーチングの考え方と基本姿勢)

特にこれからのリーダーシップには「引き出す」がキーワードになります。変化の激しい時代、管理職が孤軍奮闘して業績を確保することが難しくなっていることは、すでにお分かりかと思います。現場の情報やアイデア、部下の主体性と可能性を「引き出す」リーダーシップが今、強く求められているのです。

参考記事:リーダーシップスタイルの6類型とは?

次世代リーダー(抜擢人事)

事業の継続性を維持するためには、次世代リーダーの早期育成が必要不可欠です。そのため、そこで、将来的に経営の重要なポジションを担うであろう人材を対象に、勤続年数などに関係なくリーダーシップ開発を進める企業が増えています。

一般的には40歳前後の管理職クラスを対象にすることが多いものの、近年では若手社員の中から選抜し、より早い段階で人材発掘や育成を狙う企業もあるようです。「年功序列」より「実力主義」が求められる現代では、「抜擢人事」はけっして珍しいものではなくなっています。

現代社会で求められる「リーダーシップ」とは

現代社会において企業は、めまぐるしく変わる経営環境のなかで競争力を高めていかなければなりません。社会の変化にともない、求められるリーダーシップの形も変わりつつあります。

従来のリーダーシップといえば、「役職や権限、才能やカリスマ性に依存する、人をまとめる力」といったイメージが一般的でした。これらは現在においても、リーダーシップのひとつの側面ではあります。ただし近年では、従来のイメージとは異なる以下のリーダーシップ論が浸透しているのです。

  • 全員発揮のリーダーシップ
  • 学習できるリーダーシップ
  • 周囲に影響を与えるリーダーシップ

それぞれを詳しく解説します。

全員発揮のリーダーシップ

「全員発揮のリーダーシップ」とは、職場にいる人であれば誰にでも発揮できる力を指します。「リーダー」と「リーダーシップ」は同義とは限らず、管理職以外でもリーダーシップを発揮できるという考え方です。

例えば、天性の才能を持った特定の人物をリーダー役とし、リーダー役個人のリーダーシップに依存するケースを考えてみましょう。リーダー役が行うべきことや正解をきちんと理解し、ミスなく・迅速に・大量に実施できるのであれば、上手く業務がまわるかもしれません。

しかし昨今は、「決まったことを迅速かつ大量に行う時代」から、「まだ正解がわからないことを探索的かつ実験的に行う時代」へと変化しつつあります。そのため、リーダー役個人のリーダーシップのみに頼ってしまうと、以下のようなリスクが考えられるのです。

  • ほかのメンバーの自発性が下がり「指示待ち人間」が増える
  • リーダー役への恐れや遠慮から、組織内のコミュニケーションが希薄になる
  • リーダー役個人の力で乗り越えられない問題に対処できない

このようなリスクは、メンバー全員がそれぞれリーダーシップを発揮することによって回避できます。また、一人ひとりがリーダーシップを備えることで、組織全体の活性化も期待できるでしょう。

参考記事:新しいリーダーシップ教育の理論と立教大学経営学部の実践

学習できるリーダーシップ

「全員発揮のリーダーシップといわれても、組織のメンバー全員に才能があるわけではない」と感じるケースがあることでしょう。

現代社会で求められる全員発揮のリーダーシップは、「学習で身に付けられる」というのが学習できるリーダーシップの考え方です。リーダーシップ開発・教育の研究が進んだ現代においてリーダーシップは、「才能やカリスマ性を備えた選ばれし人材がもつもの」から「学習可能なもの」という認識へと変化してきています。

特に、リーダーシップを実際の現場で発揮し、その行動を他者からのフィードバックをもとに振り返る「経験学習型リーダーシップ教育」は、注目を集めている手法のひとつです。

周囲に影響を与えるリーダーシップ

現代におけるリーダーシップには、単にメンバーをけん引するだけではなく、「周囲にポジティブな影響を与えられる能力」も求められています。組織を導きながら良い影響を与えるには、メンバーの意見を聞いたり引き出したりしながら、周囲を積極的に巻き込んで動かす必要があるでしょう。

役職や権限に関係なく、メンバーそれぞれがこの新しいリーダーシップを発揮するためには、「何のために周囲を巻き込むのか」という視点をもつことが重要です。また、以下のような「人の心を動かすための努力」も必要になるでしょう。

舘野泰一 × PHP研究所
「全員発揮のリーダーシップ」
研修プログラムのDLはこちら

リーダーシップを高める方法

前述したようなリーダーシップを実際に身に付け、高めるためには、どうすればよいのでしょうか。効果的な方法として、次の3つが挙げられます。

  • 周囲と積極的にコミュニケーションをとる
  • 仕事への問題意識をもつ
  • 研修や講座で学ぶ

それぞれの方法について詳しく紹介しましょう。

周囲と積極的にコミュニケーションをとる

組織やチームのメンバーとの積極的なコミュニケーションは欠かせません。周囲とのコミュニケーションがしっかり取れていれば、円滑に業務を進められるだけではなく、組織やチーム全体が直面している問題に気が付きやすくなるためです。メンバーもリーダーに話しかけやすくなり、個人的に抱えている業務上の悩みを相談しやすい環境が生まれます。研修を企画する場合には、リーダーから積極的に、周囲とコミュニケーションを取るよう仕向けることが重要です。

仕事への問題意識をもつ

与えられた仕事をこなすだけではなく、仕事への問題意識をもたせることも大切です。実際に問題が発生してから行動していては、リーダーとしての職責を果たすことはできません。

  • 現場に隠れた課題やリスクはないか
  • 目標達成を阻害する要因はないか
  • メンバーのモチベーションをは高いか、低いか
  • 自身は適切な判断・行動ができているか

日頃からそうした意識で仕事に向き合えば、問題発生を未然に防ぐことができ、いざというときにも迅速で的確な指示を出せるようになるでしょう。リーダーシップは仕事を通じて磨き高めることが一番です。

研修講座で学ぶ

リーダーシップを高めるために、研修講座を活用することも効果的です。特に外部のプロ講師による研修には、リーダーシップを鍛えるための新たな気付きを得やすいというメリットがあります。外部のプロによる意見やアドバイスは、受講者自身に足りてないものを見つける良いきっかけとなり、スキル向上に大いに役立つちます。

また公開型の外部研修では、同じような立場で悩みや課題感を持つ受講者同士の相互研鑽という効果も期待できます。全く異なる業種・職種の人とグループディスカッションや意見交換をすることで、ふだんの仕事にはない「気づき」を得ることが期待できます。入社3年目、5年目、昇格時など、刺激を与えるという目的で公開型の研修講座にの参加を促すのはとてもよい方法です。

リーダーシップ研修で教えるべき内容

社員にリーダーシップを正しく身に付けてもらうために、人事担当者は研修でどのようなことを教えればよいのでしょうか。当然のことですが、リーダーシップ研修を実施する際は、各階層に応じてリーダーとして求められるスキルを明確化しておく必要があります。主には以下の内容が考えられます。

  • リーダーシップの定義
  • チームビルディング
  • コミュニケーションスキル
  • エンパワーメント

それぞれ詳しく解説します。

リーダーシップの定義

まずは研修対象者に、リーダーシップの定義を正しく理解してもらいましょう。「リーダーシップとは何か」がわからない状態では、適切にリーダーシップを発揮することが難しいためです。

近年のリーダーシップ論では、「リーダーシップは管理職に限らず全員が発揮するもの」と定義されています。リーダーシップの定義を通じて、チーム全体がリーダーシップを発揮することで、組織がより良い成果を生み出せることを理解してもらう必要があるでしょう。

チームビルディング

チームビルディングも、リーダーシップ研修に取り入れたい要素のひとつです。チームビルディングとは、個人とチームの能力やスキルを最大限に発揮して目標達成できるチームづくりを行う方法を指します。チームビルディングに取り組む過程でチームについて学ぶことで、以下のようなリーダーシップの習得が期待できるのです。

  • 組織やチームを方向付けるビジョン形成と共有
  • メンバーを自律的・協力的に行動させるための働きかけ
  • メンバーが相互に助け合い、失敗をカバーし合う関係性の構築

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは、リーダーシップ研修で特に教えるべき重要な内容のひとつです。リーダーシップを発揮するには、メンバーとの関係を良好に保ちながらチームや組織をまとめ、目標達成を目指す必要があるからです。

コミュニケーションスキルを高めることによって、リーダーシップの発揮に役立つ以下の効果が期待できるでしょう。

  • メンバーと信頼関係を築ける
  • メンバーのモチベーションを高められる
  • ビジョンや目標を共有しやすい

自分の意見をメンバーに明確に伝える能力だけではなく、周囲の意見に耳を傾ける傾聴力も求められます。

エンパワーメント

リーダーシップ研修では、エンパワーメントへの理解を促すことも大切です。「力を与える」という意味を持つエンパワーメントは、ビジネスでは「個人やチームが持つ潜在能力を引き出す環境を整える」ことを指します。具体的には、管理者が持つ権限を部下などに委譲し、部下の自発的な判断や意思決定を促すことで、本来持っているパフォーマンスを引き出すといった意味で用いられるものです。

リーダーシップ発揮においては、チームメンバーのエンパワーメントが欠かせません。また、チームメンバーのエンパワーメントが進めば、メンバー自身がリーダーシップを発揮しはじめるようになります。そのため、リーダーシップ研修でエンパワーメントを学ばせる意義は大きいでしょう。

参考記事:リーダーシップ行動のチェックリスト~自己理解を深め、自分らしさを発揮するために?

リーダーシップ開発の効果測定に有効な多面評価

教育研修の「効果測定」の方法に悩んでいる人事担当者は多いかもしれません。特にリーダーシップ研修のような「意識変革」や「行動革新」がテーマで効果が抽象的になりがちな研修は、その効果測定が難しいものです。

そこでヒントとなるのが「多面評価(360度評価)」です。上司はもちろん、同僚や部下、他部署の社員など、複数の関係者から評価を受ける「多面評価」は、リーダーシップ開発にとても有益です。

コンピテンシーは保持している本人が気付いていないものもあります。他者がフィードバックを行うことで、より客観的な強みや改善点の理解に役立ちます。

多面評価は主に管理職層に導入されるものですが、主任・係長、中堅社員へ対象を広げる会社も増えてきています。研修→業務での実践→フィードバック→改善のサイクルを繰り返すことでリーダーシップ行動も定着します。気づきもたらす多面評価の導入を県うしてみてはいかがでしょうか。

まとめ:効果的なリーダーシップ研修で自社のリーダーを育成しよう

企業を取り巻く環境の変化が目まぐるしい現代において、リーダーシップは社会で活躍するすべてのビジネスパーソンが身に付けるべきものといえます。個人の天性のカリスマ性や才能に依存するのではなく、日々の仕事や教育研修で全社員が身に付け、周囲を積極的に巻き込みながらポジティブな影響を与えることが期待されます。

リーダーシップ研修ではチームビルディングやコミュニケーションスキル、エンパワーメントなども学べるプログラムにするとよいでしょう。

役職者に限定することなく、若手社員の段階からリーダーシップ開発を促す教育研修を企画し、組織にイノベーションをもたらしたいものです。

舘野泰一 × PHP研究所
「全員発揮のリーダーシップ」
研修プログラムのDLはこちら

新着記事企業は人なり~PHPの人づくり・組織づくり

  • 公開セミナー
  • 講師派遣・研修コンサルティング
  • 通信教育
  • eラーニング
  • DVDビデオ教材

×