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自己啓発とは? 社会人が学び続けることの意味や目的、具体的な方法を解説

2023年1月31日更新

自己啓発とは? 社会人が学び続けることの意味や目的、具体的な方法を解説

変わり続ける時代を生き抜くために、社会人の自己啓発がますます重視されています。リカレント教育やリスキリングが注目を集めるなか、人材開発担当者として、自社における意味や目的を整理し、若手・中堅社員に意識づけをしたいものです。

自己啓発とは? 意味と目的

人材育成の手法は、大きく分けて、OJT、Off-JT、自己啓発の3つといわれます。

1.OJT(On the Job Trainingの略/現場における教育、指導)
2.Off-JT(Off the Job Trainingの略/業務外の教育)
3.SD(Self-Developmentの略/自己啓発)

「自己啓発」とは、社員が自分の意思で、仕事に直接あるいは間接的に関わる知識・スキルなどを学ぶことです。

社会の激しい変化に対応していくために、社会人は積極的に自己啓発を行い、みずからをアップデートさせ続けなければなりません。そうして現在の仕事に必要な知識・能力を身につけたり、キャリアアップに備えたり、資格を取得したり、あるいは退職後に備えたりしていくわけです。実際、世の多くの人々が学習の必要性を痛感し、自己啓発に取り組んでいます。

注目される「リカレント教育」

最近注目されているのが「リカレント教育」です。「義務教育や高校・大学などで学問を修めて仕事に就いたのち、生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返すこと」という意味で、もっと簡単に、「学び直し」「社会人の学び直し」とも呼ばれています。

日本ではこれまで、終身雇用や年功序列といった制度によって一度就職すれば定年まで同じ会社で働き続けることができ、学び直しの必要性を従業員が感じにくい状況でした。しかし、現在では、就職した会社の業種業態やビジネスのやり方が大きく変わることは珍しくありません。こうした変化において、働く人にもそれに適応した能力が必要となってきます。そこでリカレント教育の導入を検討する企業が、少しずつ増えてきているのです。

参考記事:PHP人材開発「リカレント教育とは? 企業主体で実施する方法や具体例・支援制度を解説」

「VUCA」の時代に求められる能力とは

現代は「VUCA」の時代といわれます。「V」は変動性(Volatility)、「U」は不確実性(Uncertainty)、「C」は複雑性(Complexity)、「A」は曖昧性(Ambiguity)を意味します。この不確実で複雑で曖昧で変わり続ける社会に翻弄されず、生きがいをもって幸福に生きていくには、次の6つの能力・スタンスをもつことが求められているといえます。

6つの能力・スタンス

(1)洞察力:見抜く力、感じる力
(2)柔軟性:しなやかな心と行動、とらわれない素直な心
(3)主体性:自ら行動し、責任を取る態度・姿勢
(4)人の心を動かす力:人を感動させ、その気にさせる力
(5)多様性を認める力:異なる価値観にも耳を傾け、理解する力
(6)束ねる力:組織の力を引き出し、動かしていく力

これらを習得していくためにも、自己啓発が非常に重要なのです。

仕事を通じて成長するとは?

上記の6つの力を身につけ、自己成長を図っていくうえで参考になるのが、「ロミンガーの法則」です。アメリカの調査機関であるロミンガー社が、リーダーシップを発揮している経営幹部を対象に行った調査によると、彼らにとって役に立ったできごととは、「経験(70%)」と「薫陶(20%)」と「研修(10%)」だったそうです。
つまり、人が成長するうえで最も重要なのは、「日々の仕事の経験」を通じた学習だということです。その次に「上司や先輩などからの指導や助言」による学びがあり、「研修や自己啓発による能力開発」が続いています。この内容と比率を「ロミンガーの法則」と呼びます。

「ストレッチ目標」の必要性

「人は仕事での経験を通して最もよく成長する」という事実は、社会に出て働いている多くの人が実感しているだろうと思います。成長するためには、実際に現場に出て、商品をつくったり、売ったり、その他さまざまな業務に取り組み、成功も失敗も両方経験することが不可欠です。そして、多くの経験を積めば積むほど、技術的にも精神的にも成長していくことができます。

そこで大事なのは、その時点の自分の実力よりも少し背伸びをした「ストレッチ目標」に向かって仕事をすることです。この「背伸び仕事」にチャレンジすることによって、個人がめきめきと成長し、ひいては組織の発展にもつながります。

危険なのは、日々の仕事が「同じことの繰り返し」になってしまうことです。新しい工夫や困難や挑戦のない反復はマンネリを呼び、モチベーションの低下につながります。つまり成長が鈍化するということです。

参考記事:PHP人材開発「ロミンガーの法則~企業人が学び続ける方法とは?」

人との関わりを通じて学ぶ

人は、さまざまな人との関わりを通じて学習し、成長していきます。子供の頃は親や学校の教師などから薫陶を受け、時には恩師と呼べるような素晴らしい先生に出会い、大きな影響を受けることもあります。よき先輩から学ぶ機会もあるはずです。

社会人になってからも同じです。先輩や上司の行動や言葉から多くを学び、薫陶を受けながら企業人として成長していきます。時には耳の痛い忠告もあるかもしれませんが、上辺だけで褒められるよりも、筋の通ったアドバイスのほうが後々役立つことが多いでしょう。

苦手な人、尊敬できない人にも出会います。そうした人たちの考え方やふるまいからも、反面教師として多くを学ぶことができます。壁をつくらず、とらわれない素直な心で、どんなことでも自分の成長に結びつけていくことが大切です。

「自己啓発」には落とし穴がある

自己啓発もたいへん重要です。変化の激しい時代だからこそ、新しい知識・情報・技術・考え方などをインプットし続けなければなりません。ただし、単に知識を得るだけでは、本当の意味での成長につながりにくい場合もあります。例えば、勉強を通して得た知識・情報をそのまま鵜呑みにしてしまい、自分の頭で再構築して持論を形成できなければ、その知識や情報は、仕事や日々の行動に十分に生かされないでしょう。

しかも、今や情報は誰でも簡単にすぐに手に入ります。ただ情報をもっているだけでは差別化もできないのです。だからこそ、得た情報を自分なりに解釈して、独自の意味を見出したり、新たな発想を加えて独創的なアイデアに転換したりできるよう努めることが重要です。自己啓発を通して知識・情報を獲得しながら、その知識・情報に新たな価値を付加する習慣を身につけていきましょう。

参考記事:PHP人材開発「働く人の成長につながる学びの方程式とは?」

参考記事:PHP人材開発「なぜ新入社員に自己啓発が必要なのか~意義やポイントを解説」

※本記事は、PHP通信ゼミナール『仕事のやりがいを高め、自律的に成長するための「5つの原則」』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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